よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

本、動画等感想

猫好きはついニンマリ『ねこのことわざえほん』高橋和枝著

珍しく画像から始めてみた。 いつもの市民館の図書室で、ついこういう本を手に取りたくなる心境のこのごろだ。 中身は三十余のことわざが、「人の場合」と「ねこの場合」に分けてあげられていて、一つひとつ楽しいイラストが描かれている。 ねこと暮らしたこ…

女たちそれぞれの愛『四色の藍』西條奈加著

主人公は藍染めの店紫屋のおかみ環(たまき)。貧しい暮らしのため子供のころから働き通し、料理茶屋の仲居をしているときに紫屋の主人茂兵衛に見初められ後妻となったが、もともとは武家の娘だ。 年の離れた夫に大切にされる幸せな日も長くは続かず、ある日…

『新源氏物語』の進捗状況

仕事をやめ、図書館の本を借りるようになって7年近くたつが、今まで全て貸出期間内に返却してきた。時には借りているところにリクエスト本が届いて5冊になってしまったこともあったが、それでも期間内に返却することができた。 けれども、今回の『新源氏物…

なかなか沁みる『コタキ兄弟と四苦八苦』

テレ東さんの深夜ドラマがまたやってくれた。今期も私にとっては視聴意欲の湧くドラマが少ない中、金曜深夜の『コタキ兄弟と四苦八苦』が渋い。とりわけ樋口可南子さんがゲストの第4回は出色だった。 元予備校講師で現在「休職中」の兄一路(古舘寛治)と「…

久々の源氏

この間読んだ本があまりに軽い調子の作品だった(結局半分もいかずに脱落)ためか、少し重厚なものが読みたくなった。 勤めていたころは、持ち運びに便利な文庫本を中心に通勤読書をしていた。そのころはまだキンドルもなく(今はあるのにほとんど出番がない…

エールを送る

元旦に届いた友人からの賀状に、「年末の検診で乳ガンが発覚 元気だけが取り柄の私としては、本当にショックです」とあった。一昨年、子供の頃のお誕生日会の記憶を頼りにサプライズのプレゼントを贈ってくれ、昨夏には15年分のお喋りを楽しんだあの友人だ…

『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子著

今日の豊橋は空は青いけれど風がとても強い。豊橋らしい冬の日ともいえる。昨日また青森からお米やリンゴが届いたので今朝お礼状を投函に出たのだが、向かい風になると、意識的に頑張って足を出さないと進めないほどだった。 それでも衣料品の防寒性が進歩し…

今年の読書

前回の『あやかし草紙』のエントリーに、marcoさん(id:garadanikki)から「凄い量の本を読まれるんですね」とのブックマークコメントをいただいた。上質な書籍紹介を物し古書を収集なさる、読書人として敬愛するmarcoさんからこのような言葉をいただいて、乱…

おちかが結婚し三島屋の百物語はどうなる?『あやかし草紙』宮部みゆき著

許婚者を自分と兄妹のように育った男に殺され、そのうえその当人も自殺してしまうという悲惨な事件を境に心を閉ざしたおちかは、叔父夫婦が江戸で営む袋物屋「三島屋」に身を寄せる。周囲の人々の愛情に包まれ、またなぜか店の黒白の間を訪れる客のふしぎ話…

不思議な雰囲気をたたえる『夢の栓』青来有一著

著者は1957年発刊の、ビルマ奥地の山岳民族に愛されて、ついには王位についたという日本兵の手記『カチン族の首かご』という本に触発されてこの物語を書いたという。 素朴な信仰、南の国、夢、などのキーワードでつながる5つの中篇が集まっている。そくそく…

欠けたもののないような女性も・・・『いろは匂へど』瀧羽麻子著

ヒロイン紫(ゆかり)は、京都の二条通りで祖母の代からの小さな和陶器の店を営んでいる。彼女の両親は、幼かった紫が少々疎外感を感じるほど仲が良く、今は父の仕事でカナダに住んでいて、母親は時折り彼女に電話してくる。 父の転勤に振り回されたためか、…

逃避行の中で成長する母と息子『青空と逃げる』辻村深月著

※大変申し訳ないことに、著者名の文字を間違えていた。謹んで訂正致しました。 主人公は本条早苗と小学5年生の力(ちから)の母子。早苗は舞台女優だったが、同じ劇団の俳優である拳(けん)と結婚し、今は舞台に立っていない。 彼女たちの所属した劇団は、…

媚びず頼らない十代が清々しい『お縫い子テルミー』栗田有起著

『お縫い子テルミー』 祖母と母のもと、学校に行くことなく、定住する家も持たずに育った照美は、15歳のときに南の島を出て、東京の歌舞伎町を目指す。そこでなら女一人でも生きていけると思ったから。 その街で女装の歌手シナイちゃんを知り、恋に落ちる。…

林業と山里の暮らしが魅力的な『神去(かむさり)なあなあ日常』三浦しおん著

作品は2007年~2008年に徳間書店のPR誌『本とも』に掲載され、2009年に単行本として出版されたものだ。映像化しても魅力的なものになりそうだなどと考えながら楽しく読んでいたのだが、やはり5年前に染谷将太くんの主演で映画化されていた。 いい加減な高…

GYAO!で『パディントン2』を観る

台風19号は温帯低気圧に変わって北海道沖の海上に去ったが、またしても甚大な被害を残した。亡くなった方もあり、まだまだ被害のただなかにいる方も少なくないことと思う。のんきにブログの更新などしていることが、申し訳ないような気分だ。 昨日はその台風…

『雨のち晴れ、ところにより虹』吉野万理子著

夫婦、母娘、女友達、初恋の人・・・など、大切な人とのちょっとした心のすれ違いと和解を描く6つの短篇集。第五話の『ブルーホール』だけが少々趣が異なるけれど、そのほかの作品には、共通の人物がさりげなく登場していたりして、鎌倉や逗子を舞台にして、同…

爽やかな二人の恋に拍手『これは経費で落ちません!』

今日は11月のチャリティー・アート展にむけて、”言い出しっぺ”が関わる2つのグループ合同のミーティングを行った。 今まではほとんどの企画をスタンディングが主導してきたけれど、もう一つのグループ(今のところ「スイミー」という仮の名をつけている)は…

心地よい端正な超短編集とエッセイ『空の冒険』吉田修一著

直前に読んだのが、数年前に本屋大賞を受賞した作家の近刊で、これが受賞作とは作風が違うのかも知れないが、小学生か中学生の作文のようなしろもので、いちおう途中離脱はせず読み通しはしたものの、読み終わったときは変な疲れ方をしていた。 そのあとで本…

ドラマ『パンとスープとネコ日和』から群ようこさんの『三人暮らし』を読む

先日Huluで久しぶりに『パンとスープとネコ日和』を見た。 やっぱり、心が穏やかになってとても良いドラマだと思う。主人公のアキコを演じる小林聡美さんはじめ、もたいまさこさんや光石研さんなど荻上監督の作品でおなじみの俳優陣もいいし、アキコが始める…

「いちにじゅうパジャマでもいいみらい」とか、『それしかないわけないでしょう』ヨシタケシンスケ著

大人にも人気の絵本作家、ヨシタケシンスケさんの作品。 私が子供のころの未来は、いつもバラ色だった。今、未来のことを考えると、日本はもちろん、世界に目を向けても、想像される未来は暗い。60年前に比べて現在の社会は物質的には豊かになったけれど、子…

時代に翻弄された恋『恋歌』朝井まかて著

今回の『恋歌』は、7月に朝井まかてさんの『眩(くらら)』の感想をアップした折り、AO153(id:A0153)さんがコメントでご紹介くださった作品だ。 明治時代に『藪の鶯』を書いた三宅花圃が語り手となって、短歌の師である中島歌子が幕末の水戸でたどった数奇…

人間の愚かさと崇高さを考えさせる『ヒトラーの忘れ物』

深夜に放送された映画を録画して観賞。2015年デンマークとドイツの共同製作作品。原題はUnder sandet(Land of Mine)。 舞台は1945年5月、ドイツが降伏したばかりのデンマークだ。捕虜となったドイツ兵たちが延々と歩かされている道を、1台のジープが通りか…

平凡な女の平凡でない生き方『風化する女』木村紅美著

会社を三日も無断欠勤したため、上司の手配でアパートのふとんの中で硬くなっているのを発見された四十三才の「れい子さん」。 この後に続く「会社では九時から五時まで口をへの字形にむすび、ふちのない眼鏡をかけ、長い髪は黒いゴムでひとつに束ねて、もく…

生きること、死ぬこと・・・『リメンバー・ミー』を観て

何十年ぶりかでディズニー映画を見た。6月に孫の吹奏楽部の演奏会で信州に行った折り、嫁が貸してくれたDVDの『リメンバー・ミー』だ。 彼女は私がディズニー作品にあまり興味がないのを知っていて、自分もまるで見るつもりはなかったのだが、息子(私か…

北斎の娘と渓斎英泉が魅力的な『眩(くらら)』朝井まかて著

一昨年NHKで宮﨑あおいさんが主演したドラマの原作本である。ドラマも大変見ごたえがあって記憶に残る作品(2017年度の文化庁芸術祭大賞を受賞したそうだ)だったが、この原作も素晴らしいものだった。どこまでが史実でどこからが創作か分からないが、北…

誰の立場で読みますか『私が誰かわかりますか』谷川直子著

人は誰も老いる。いくらお金があっても、どんなに強大な権力を握っても。そして最後まで尊厳が守られるかどうかも、わからない。その「老い」の周辺でオロオロするさまざまな立場の人間たち。配偶者・息子・娘・嫁・親戚・・・。 物語の中心となるのは、再婚し…

京のみやびと茶道を堪能『雨にも負けず粗茶一服』松村栄子著

面白いと思ったらやはり人気があるようで、シリーズ化されているようだ。 『至高聖所』で芥川賞を受賞したという著者(寡聞にして存じ上げず)の、青春エンターテインメント小説で、楽しくスイスイ読めてしまう。花嫁修業(死語!)でほんの少し習っただけの…

面白かった村田沙耶香さんの脳世界

村田沙耶香さんという作家に興味を覚え、最近めったに読まないエッセイ集を読んだ。『となりの脳世界』。 自分ではない誰かの脳を借りて、そこから見える世界をのぞいてみたいなあといつも思っているという村田さんが、デビューから15年の間に、あちこちで書…

スクリーンで会いたい!『とっぴんぱらりの風太郎』万城目学著

以前なにかの書評で目にして、読みたいと思ってメモしておきながらそのままにしていて、その後marcoさんのブログを読んでますます興味を募らせた。 garadanikki.hatenablog.com それからさらに半年。やっと『とっぴんぱらりの風太郎』を読んだ。といっても、…

どこの教室にもいそうな女の子の物語『マウス』村田沙耶香著

『コンビニ人間』に魅了されるあまり、もう少し村田沙耶香さんの著書を読んでみたいと思った。けれども、ネット上で紹介されているあらすじを読むと、『コンビニ人間』とは違って、少々私には読むのが辛そうな傾向の作品が多い。そうしたなかで、これなら・・・…