よんばば つれづれ

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日本一シンプルなというか、質素なお雑煮

松飾りもとれ、七草の節句も過ぎてしまったが、雑煮の話である。私の住むこの東三河地域のそれは、日本一シンプルなものだと思う。シンプルと言えば聞こえが良いが、ようするに質素、貧相だ。豊橋は質実な土地柄なので分からなくもないのだが、あの見栄っ張りで派手好みの名古屋でもそうだというから面白い。

 

どんな風に質素かと言うと、すまし汁に具は餅菜(あまり栽培されていないらしく、近ごろのスーパーでは見かけないので、私は小松菜を代用する)だけ。それに角餅を焼かずに入れる。餅が柔らかくなったら、最後に花かつおのトッピングをして終わりだ。赤味噌文化の地域なのに、雑煮は味噌仕立てではないのも面白い。

 

子供のころは、この雑煮の上でくねくねと踊っている花かつおが不思議だった。ついでながら、当地域では「にかけ」と呼ぶ、具はかまぼこと刻んだ油揚、それに薬味のねぎだけのこれまたシンプルなかけうどんにも、花かつおをトッピングする。

 

どなたかのブログのコメント欄で書いたのだけれど、私が小さかったころ、正月の朝、この雑煮を作るのに母が「お餅何個?」と家族に声を掛けると、「5個!」だの「6個!」だのの返事が飛び交った。そのころ小学校に上がっていたかどうかの一番チビの私でさえ、3個とか4個と答えていたように思う。当時は昭和三十年代、日本人は餅も米も非常にたくさん食べていた。

 

以前ある講演を聴いて書いたエントリ

日本人はひとり1日7合も穀類を食べていた! - よんばば つれづれ

 

青森の婚家は雑煮というものを作らない家だったので、残念なことに津軽の雑煮というものを知らずに過ごした。でも甘い餅だけではどうも正月を迎えた気がせず、ひそかに自分の分だけ雑煮(もちろん故郷式の)を作って食べたりしていた。

 

結婚して最初に住んだ神奈川で迎えた正月は、自分は愛知、夫は青森だから平等になどと考え、本を見て関東風の雑煮を作ったりもした。実はそもそも夫のふるさと津軽では大晦日に「年越し」といってお膳でごちそうを食べるという、全く違う文化だったのだけれども。

 

シンプルと言うか実に質素な雑煮だけれど、やはり小さなころから食べなれている味だからか、これが美味しいし、この雑煮を食べるとしみじみ「ああ、正月だなあ」と感じる。これに父の読み上げる百人一首の声が聞こえたら・・・。

 

 

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写真を撮らずに食べてしまったので、ウェブサイトからお借りした「愛知の雑煮」

私は菜っ葉をもっとたっぷり、花かつおももう少したっぷり乗せるのが好み。