よんばば つれづれ

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逆効果になったお祝い

昨日郵便受けに、今年の統一地方選で市会議員から県会議員に鞍替えした代議士からの封書が届いていた。「祝電在中」と表示されている。はて、議員先生からお祝いしていただくようなことはないはず(そもそもなぜ私の住所を知っている?)だけれどもと、いぶかしい思いを抱きながら中を見ると、敬老のお祝いだった。

 

がーーーん!という感じだった。自分の孫が「おばあちゃん敬老の日おめでとう」などと言ってよこしたのなら喜びもするが、人生100年時代などと言われ、90代の方も珍しくない今日この頃、68歳の私に敬老の祝いや「益々のご長寿を」とは、悪い冗談かと思ってしまった。

 

いや、高齢者にくくられることは重々承知しているが、まだ長寿を祝われる歳とは思っていなかったし、社会保障費の負担になるばかりだから、あまり長生きはしたくないけれど・・・と日頃から悩んでいる身には、つい嫌味にも感じられてしまう。

 

この政党の議員さんは、こうしたことに非常にマメだ。16日の町内の敬老の集まり(ちなみに私は接待する側で出席)には、おそらく例年通りこの党の国会議員先生から祝電が届くだろう。

 

こんなことに気を配るより、考えて欲しいことはたくさんあるのだけれど・・・。しかしこんな風に思う私はへそ曲がりで、大部分の人たちにはこうした気配りが好感を持たれ、票につながるからこそ、行われることなのだろう。

 

それにしても、私の年代へこれは・・・やっぱり逆効果じゃないだろうか。

 

 

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時代に翻弄された恋『恋歌』朝井まかて著

今回の『恋歌』は、7月に朝井まかてさんの『眩(くらら)』の感想をアップした折り、AO153(id:A0153)さんがコメントでご紹介くださった作品だ。

 

明治時代に『藪の鶯』を書いた三宅花圃が語り手となって、短歌の師である中島歌子が幕末の水戸でたどった数奇な人生を描く。物語の大半は、その中島歌子が綴った手記の形をとっている。将軍や暗殺された老中田沼意次はもちろん、天狗党や諸生党に属した実在の人が数多く登場し、史実に脚色も加えて、非常に興味深い話が語られる。

 

 

水戸藩上屋敷の目と鼻の先という地の利もあって、定宿の指定を受ける池田屋の娘登世(のちの中島歌子)は、ある日宿で見かけた水戸藩士林忠左衛門以徳(もちのり)に心を奪われ、舞い込む縁談には目もくれない。

 

以徳のほうも犬を介して言葉を交わした登世に惹かれ、桜田門外の変で揺れる世情を背景に、運命の二人はついに結ばれることになる。やっと思いがかない、武家の習慣に戸惑う兄嫁を、冷たい目で突き放す小姑の「てつ」の仕打ちもものともしない登世だったが、そんな幸せも長続きはしなかった。

 

以徳は藩の勢力争いや開国をめぐる不安な政情の中で、武士としての信義から、激しい争いに身を投じていく。やがて形勢が逆転し諸生党が力を得ると、天狗党に対する憎しみの報復は苛烈を極め、身分の低い武士の妻子までことごとくとらえて衛生状態も劣悪な牢に入れた。

 

登世も義妹のてつとともに牢に入れられ、夫の友人の妻女や年端もいかぬ子供たちが日々処刑されるのを間近に見るようになる。この極限状態での女や子供たちの描写が胸を打つ。身分の高い武士の妻たちの、どこまでも気品高く凛とした態度。寒さに身を震わせる状態のなか、新入りのものに自分の筵を与え、明日は死ぬかもしれないというのに、子供たちに論語を暗唱させる。

 

地獄のような囚われの日々を、登世はひたすら以徳に生きて再び会うという希望にすがって耐える。

 

数か月ののち、多くの妻女や子供たちが命を落とし、生き残った者も幽鬼のようになりながらも、解き放たれる日が来た。一族郎党処罰され身を寄せるべき縁戚もなく、登世はてつとともに以徳に会える可能性の高い江戸へ行くことを選ぶ・・・。

 

 

天狗党という名称は、新選組芹沢鴨にまつわる知識として知っていたが、幕末の水戸藩でこのような悲劇があったことは全く知らなかった。男は損得からであれ信義ゆえであれ人生を自分で選びとるが、女や子供はその巻き添えを食う。それでも、誰を恨むでもなく毅然として処刑されていった武家の妻や子たちがいた。教育というか、刷り込みというか、美しくも悲しい。自由の時代の私など、天を恨み人を恨み、あらん限りの力でジタバタしそうで、みっともないことこの上ないであろうと思う。

 

終章で思わぬ登場人物が現れ、恨みや報復の連鎖が消える。許すことの難しさや素晴らしさを思わずにはいられない。

 

愛する夫と、結果的に今生の別れになったその時に、夫の歌に返した自分の作があまりにありきたりで情けなく、なんとしても良い歌を詠めるようになりたいと和歌の道に精進し、一世を風靡する女流歌人中島歌子となったという登世。人間としては問題も多い人だったようだが、こうした激しい人が、私は嫌いではない。

 

君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ

 

中島歌子の辞世の歌だという。

 

 

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増税前の駆け込み需要はいかに?

9月に入り、消費税の増税まで一か月を切ったのだけれど、駆け込み需要というのは今回どうなのだろう。軽減税率の準備が大変で、レジスターの生産や店側の準備が追い付かないというニュースは聞くが、駆け込み需要のニュースはあまり聞かないように思う。

 

そんなことを思っていたら、数日前にアルファブロガーのちきりんさんもこの件について書いていた。

 

chikirin.hatenablog.com

 

増税幅も少ないし、それ以前にそもそも欲しいものがない時代だ。以前IKEAのカタログがポストに入っていて、表紙から最後までしっかり見たけれど、一つも欲しいものがなかったことを書いた。

 

yonnbaba.hatenablog.com

 

そんなわけで我が家も高額商品にしろ、買い置き可能なものにしろ、特に増税前に買おうという計画はない。ただただ、軽減税率によって起きる煩わしさ(別に消費者側はどうってこともないのだが)のあれこれをニュースで聞くたび、腹立たしい思いをしている。行政の中枢にもばかばかしいと思っている人は少なくないだろうに、だれも「王様は裸だ!」と言い出せる人はいない。

 

ところで、ちきりんさんが書いている、「個人間取引には消費税が発生しないので、今後中古車や中古マンションも、ネットを介した個人間売買が生まれてもおかしくない」という点は興味深い。メルカリの不動産版ができるかも?

 

 

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お店は煽っているようですが・・・。

 

うっかり、ぽっかり・・・ネジを巻かなきゃ!

9月に入り、子供たちの学校も今日から始まった。

 

それなのに、ああそれなのに!うっかり下校の見守り当番を忘れてしまった。7月に当番表を作ってメンバーに配って回った時、私の相棒の方(ご高齢なので下校時間がイレギュラーになると対応が少々難しい)に、「9月の最初が当番にあたります。月曜日は給食がなくて下校時間が12時なので要注意です。」なんて言っておきながら自分が忘れてしまった。情けない限り、トホホ・・・。

 

7月の後半から8月末までは、日本語教室も国際協力コスモス会も夏休みで、スケジュールがたいそうゆったりしていた。9月に入ったのだから、その夏休み気分にも終止符を打たなければいけないのに、まだのんびり気分が抜けていなかった。しっかりネジを巻いて、通常営業に戻らねば!

 

 

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お母さん、しっかりねっ!    byオーガスト

2年ぶりのファミリーサポート

確か去年の8月頃もファミリーサポートの依頼が来た。股関節が痛んでいたが、マッサージに通って治す(治るつもりでいた)つもりで依頼を受けた。ところが、だんだんその日が近づいてきてもまるで痛みは改善せず、申し訳なかったがお断りの電話を入れた。その後、年が改まったあたりにも依頼があったが、手術後2、3か月でまだ体に自信がなく、やはりお断りした。

 

今までにも何回か書いているが、ファミリーサポートとは:

yonnbaba.hatenablog.com

 

そして今回、身体の調子が良ければ・・・と打診があり、やっとお引き受けすることができた。調べてみたら、2017年の8月が最後だったので、ちょうど2年ぶりだった。

yonnbaba.hatenablog.com

 

スタッフの方が手術後の体に負担のないように配慮してくださった(赤ちゃん組はママと離れたとたん泣きじゃくって、ずっと抱っことかおんぶになることもある)のか、大きい子たち(2歳以上児)の担当だった。最終日ながらもまだ夏休み中とあって、小学生の子も3人ほど含んでの20人の予定だった。

 

ふたを開けてみると、2歳未満時のほうで泣く子が続出したらしく、大きい子の組に兄弟のいる子が、少しは気がまぎれるのではないかと連れてこられ、結局22人になった。お兄ちゃんやお姉ちゃんがいても、いったん大泣きを始めてしまった子は簡単には泣き止まない。それでもひとしきり泣いた後は、やはり兄弟の顔が見えるのが安心感につながるのか、なんとか遊びだす。

 

やっとあちこちの大泣きが収まった頃、今度は私のそばでそれまで機嫌よく遊んでいた2歳5か月の女の子が、「ママー、ママー」と大泣きを始めてしまった。抱っこして背中をとんとんしてあやしていると、しばらくは泣きじゃくっていたがやがてヒクヒクというしゃくりあげに変わり、そのうち静かになり、やがて私の肩にピトッと頭をつけて眠ってしまった。

 

ああ、この感触!やわらかであまやかなおさなごの重み。こちらに自分の体を任せきってくるその疑いを知らぬ存在に、骨の髄までトロトロになりそうな快感を覚える。ずっと抱っこしていたいくらいだったが、ほかの方たちが心配してくださるので、途中からベッドに寝かせた。幸い目覚める様子はみじんもなく、そのまま1時間ほどお昼寝し、目が覚めた時はちょうどおやつの時だった。

 

 

1年に何回声がかかるかという程度しか依頼がないのに、去年は股関節が悪くなる前にも体調不良で一度お断りした。そろそろもうファミリーサポートの援助会員は辞めた方がいいのだろうかと思ったりもしたが、やっぱりこうして小さな子と関わると楽しいし、せっかく手術で足も回復したのだから、もう少し登録しておこうかなという気になる。今日のメンバーの顔ぶれを見ても、明らかに私より先輩と思われる方がまだたくさんいらした。健康に注意して、いましばらく楽しませてもらうことにしよう。

 

 

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嵐の前の静けさ!の保育室。

 

人間の愚かさと崇高さを考えさせる『ヒトラーの忘れ物』

深夜に放送された映画を録画して観賞。2015年デンマークとドイツの共同製作作品。原題はUnder sandet(Land of Mine)。

 

舞台は1945年5月、ドイツが降伏したばかりのデンマークだ。捕虜となったドイツ兵たちが延々と歩かされている道を、1台のジープが通りかかる。一人の兵士が抱えているもの(デンマークの国旗かと思う)に目をとめた運転者は車を止めてその兵士につかつかと歩み寄り、「それはお前の持ち物か?!」と怒鳴りつけいきなり激しく殴りつける。目をそむけたくなるほど乱暴に何度も・・・。

 

その男はデンマーク軍のラスムスン軍曹で、このシーンでいかにこの男がドイツ兵に対して非情であるか強く印象付けられる。軍曹の任務は、ナチス・ドイツが砂の中に埋めたとされる200万個の地雷を、ドイツ兵を使って撤去させることだった。

 

軍曹のもとに配属されたのは十数人のドイツ兵。しかし全員高校生(なかでも、双子の兄弟など中学生かと思われる頼りなさ)くらいの少年兵だった。それでもノルマ達成のため少年たちに問答無用の厳しい態度で接し、作業を進める。

 

一つ間違えば命を落としかねない危険と隣り合わせで、しかも1時間に何十個などと責められる過酷な作業をしながら、食べ物は何日も与えられず少年たちは飢えにも苦しみ、近所の農家に家畜の餌を盗みに入る。しかしその餌にはナチスに恨みを持つ農家の主婦がわざとネズミの糞などを混ぜていて、それを食べた彼らは激しい下痢に苦しむ。

 

何日も役務者と監督するものの立場で生活を共にするうち、軍曹は次第に少年たちに同情し、用事で部隊に出かけた折りには食料を盗んで戻り、少年たちに食べさせる。

 

そうした日々が続いたおかげで、飢えて弱っていた少年たちも、作業の休憩時には軍曹とサッカーに興じるほどの元気を取り戻す。信頼関係が生まれて穏やかな時間を過ごす彼らを悲劇が襲う。軍曹の愛犬が、処理済みの区域になぜか残っていた地雷を踏んで吹き飛ばされてしまうのだ。

 

数を確認し間違いなく処理したと少年兵たちは言うが、愛犬を失った悲しみから、軍曹はまたもとの非情な人に戻ってしまう。

 

小さな生き物を愛する優しい双子の兄は、作業中に二重に埋められていた地雷の犠牲になって吹き飛ばされ、一人残された弟は精神を病んだようになってしまったり、家畜の餌に故意に糞をいれた農家の主婦の娘が、地雷未処理の区域に入り込んでしまうなどのエピソードも綴られる。

 

ほとんどのシーンが地雷撤去などの地味で過酷な場面であり、見るのが少々辛い部分もあるが、少年たちが巻き込まれた運命の過酷さや、彼らを使役する軍曹の辛さも十分に感じさせ、戦争のむごさを見事に描いている。

 

ナチスの犯した罪を糾弾しながら、それに苦しんだものも立場が代われば似たような罪を犯してしまうという点を鋭く突く。そのいっぽうで、戦争という異常な状況の中にあっても、人と人は分かり合えるし、最後は、自分の信義をどこに置くのかが問われると訴えてくる。深夜の時間帯でもあり、さして期待もせずに見たが、素晴らしい作品だった。

 

 

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この映画は地雷撤去を強要された2000人以上のドイツ兵のうち、約半数が命を落としたり手足を失ったという史実をもとに作られたそうで、捕虜、しかも相手は少年兵なのにこのような作業をさせるのは国際法違反ではないかと思ったが、デンマークはドイツの軍事保護国であり交戦国ではなかった、つまり敵国兵ではないので、ジュネーブ条約の適用外だったようだ。

 

吹奏楽の東海大会見物と居酒屋「おいでん(三河弁で、いらっしゃいな)」

孫の吹奏楽部が県代表として東海大会に出場することになり、その会場が浜松ということで、前日の土曜日に息子夫婦が我が家に来て、大会当日の昨日は私もいっしょに会場であるアクトホールまで出かけた。

 

結果は、彼らとしては大健闘したものの、全国大会への出場権を手にすることはできなかった。けれども十分力を発揮してやり切った満足感があるのか、結果発表後に会場から出てきたメンバーは、どの子の顔も爽やかだった。

 

全国大会への切符を手にする代表3校は、ほとんど毎年私立の学校だそうだ。嫁の話によると、やはり資金の潤沢な私立は、楽器や練習環境の良いことは言うに及ばず、楽器の保管も温度調整の効いた部屋だったり、こうした大会の時に楽器を運搬するにもそうした配慮のなされた専用車両を持っていたりするのだそうだ(孫の学校では、普通のトラックに毛布でくるんで載せている)。

 

それでも本人たちがしごく明るい表情だったし、事前予想以上の力を出して、東海大会に出場できたのだから、上出来だったと言える。家族のひいき目(耳?)か、当日の演奏がなかなか良かったため、ひょっとして番狂わせが?という期待を抱いてしまった分、落胆が深くなったが、孫のおかげで楽しい経験をさせてもらった。

 

ところで、長野県が東海大会に出るというのが不思議な気がするのだけれど、高等学校の吹奏楽コンクールはそういうことになっているらしい。

 

 

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大ホール内部。アクトシティのサイトより。

 

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終演後ホールの外で部員たちの出を待つ人たち。

 

息子たちが浜松駅でそれぞれの職場への土産を買い、電車で豊橋に戻ると7時頃。私は彼らと行きたいレストランがあったのだが、今回は終了時刻が読みにくく、予約ができないというのでそのレストランはまた次のお楽しみとして、昨日は駅前の居酒屋に寄ることになっていた。で、私は、以前marco(id:garadanikki)さんがご主人との旅行中に豊橋に宿泊した折りに行かれ、いい店に出会えたと紹介していらした「おいでん」に行こうと決めていた。

四国旅 1 豊橋 - garadanikki

 

 

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ねぎもトマトも大好きな私は、早速九条ねぎ胡麻サラダとトマトスライスを注文。ねぎをこんな風に食べるのは初めて。モリモリ食べられて幸せ。トマトがまた、美しいだけでなく、どうして?と不思議に思うほどの美味しさだった。素材の良さプラス、料理人の切り方のみのシンプルな勝負。

 

もちろんメインの肉やホルモン、そしてお酒も、文句なし。一つだけ注文を付けるなら、締めの食べ物がみなボリュームたっぷりで、3人とも少々おなかが苦しく(美味しいのでついつい完食)、デザートにたどり着けなかった。

 

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私の締めは鶏冷麺。嫁は鶏釜めしで、息子はまかないカレー。

 

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いちおうメインのお肉を焼いているところも・・・。

(ウインナといい、カレーといい、私の育てた息子の味覚は「オコチャマ」だな・・・。)