よんばば つれづれ

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東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展

素晴らしい展示だった。東山魁夷の作品ももちろん素晴らしかったが、唐招提寺の建具周りまで再現したような展示で臨場感が味わえ、作品の幽玄な世界を堪能することができた。

 

今回の展示は、「唐招提寺御影堂の修理が行われるに際し、通常は非公開となっているこの障壁画の全貌を紹介するとともに、あわせてスケッチや下絵などを展示して、構想から完成にいたるまで画家が歩んだ足跡をたどります(豊田市美術館のHPより)」というもので、作者が鑑真和上への敬意を込め、全身全霊で制作した大作に酔いしれることができる。

 

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なぜか涙が込み上げてしまうほど、心揺さぶられる。墨の作品も素晴らしいが、私は青い色の絵画になぜか惹かれることが多いので、やはりこの作者の青い色はたまらない。

 

豊田市美術館は展示スペースも広く収蔵作品も多いので、全部をじっくり見ようと思うと大変だけれど、この障壁画展だけ見ても充分満足できる。会期は今度の日曜まで。

 

 

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豊田市美術館

人生三度目の救急車は添乗で!

第一子のお産の時、初めてで分からないため、陣痛を我慢し過ぎたのか破水してしまい救急車を呼ぶ羽目になった(お産そのものは大変安産だった)。仕事を辞めた4年前、前から興味のあった演劇を始め、その帰りの夜道で交通事故に遭ってしまい、幸いとても軽傷だったのだけれど、居合わせた人が救急車を呼んでくれてしまったのでお世話になり、救急病院に行った。

 

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今日人生第三回目の救急車は、初めて119番に電話して出動を要請し、添乗要員として乗った。近所の一人暮らしのお年寄り(民生委員の見守り対象になっている方)が自転車で転倒し、動けなくなってしまったのだ。すぐ来てもらえるご家族もいないということで、隊員の方が「付き添ってもらえますか?」と聞いてきたので、承諾して乗り込んだ。

 

救急車を呼んだのが4時前で、7、8分で到着し、救急隊員が本人にいくつか問診したりという準備があって、おそらく10分か15分後に出発、市民病院の救急外来に運び込まれた。

 

検査の結果は大腿骨骨折で、現在手術室の空きがないので夜になるが、できればなるべく早く、今日のうちに手術をした方が良いと言われた。麻酔を含め3時間かかるとのことで、7時から始まれば終わるのは10時、何があるか分からないのでできれば付いていてほしいと言われたが、家族ではないし、もしも緊急なことがあれば連絡をもらうということで帰らせていただいた。

 

それでも手術室に入るのを見届け、病棟に行ってそちらのナースから説明を聞いたりしたので、家に帰り着いたのは7時半を回っていた。それから名古屋にいるという弟さんに連絡をしたり、転んでいるのが見つかって家に運ばれるとき、近所の方たちのお世話にもなったりしたので、2、3連絡をしたりして、ふだん5時半か6時には夕食にしている私だけれど、今日はすっかり遅くなってしまった。

 

まだ私は家族がいないからいいけれど、もしいたら、こんな時きっと家族は店屋物か外食になってしまうだろう。まあ、こんなことはそうそうあることではないし、私もひとり暮しのうえ、何かあっても子供たちはすぐには駆けつけられないので、きっとご近所さんたちのお世話になることだろう。情けは人の為ならず、なり。

 

 

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手術室前の廊下から、たそがれゆく街を眺める(手術室前の廊下には、ドラマのような手術を待つ人のための椅子は、置かれていなかった)。

三日間、信州に行っていました

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雪を残した北アルプスが遠くに望める、ここは信州安曇野の地。先週の土曜日に到着した。滞在した三日間、ずっと好天に恵まれたが、6月とは思えない肌寒さ。いくら信州とはいえ、少々気温低めだそうだ。

 

 

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蔵造りの街並みが美しい松本中町通り。入ってみたくなるお洒落なお店ばかりなのだけれど、日曜の夕方5時前の時刻、残念ながらすでにほとんどのお店が営業終了。それでもなんとか滑り込めたお店で、木彫りの可愛い二匹の猫が寄り添う人形と、イアリングを買うことができた。

 

 

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実は今回信州に来たのは、孫の所属する吹奏楽部の定期演奏会を聴くためだ。無事に全プログラムを終了して、会場前で聴衆と交流。3年生部員は両手に抱えきれないほどのプレゼントをもらっていた。まさに「青春してる!」という感いっぱいで、若さがまぶしい光景だった。

 

 

旅の空にあっても、不穏な政治への危惧は頭を離れなかった。明日からまた、全力で通常営業再開だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

京極夏彦著『書楼弔堂 破曉』弔堂主の脳内キャストは木村草太さん!

先日『炎昼』を読み、面白くて第一巻の『破曉』を読んだ。順序が逆になったが、ほとんど問題なく楽しむことができた。

 

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この巻に取り上げられた人物は、絵描きや物書きといった文化人だ。そして、その中に一人だけ意外な人物が入っている。それが誰であるかは、お読みになってのお楽しみ。

 

今回は教科書に出てくる人物は少ないかもしれないが、この本で描かれるように歴史上の人物を知ることができたら、歴史の勉強もどんなに楽しくなることだろうと思う。同時にさまざまな本にまつわる蘊蓄があるので、前回の『炎昼』同様、本好きにはたまらないことと思う。

 

店を訪れる客の置かれた状況に沿って、その人が必要とするに違いない書物を、本の海のような書楼の中から的確に選び出す弔堂の主。もと僧だという、知のかたまりのようなこの不思議な主を、私の脳内では木村草太さんが演じている。先日の講演会では髪が少し伸びてスポーツ刈りのようになっていたが、弔堂主の出てくる場面になると、どうしても、「報道ステーション」に出ていらした頃の坊主頭の草太さんが、白い和服姿で私の頭に浮かんでしまうのだった。

 

 

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久々のスタンディング、シール投票と、スイカ

久しぶりに駅前スタンディングに参加した。昨年の参院選のあと、私たち豊橋スタンディング+(プラス)は、スタンディングをするのを、原則週に一度、金曜日ということにして続けて来た。でも先週から、今は緊急時だから、なるべく毎日都合のつく人が立つということにしている。

 

今日は6人だった。同時刻に連合東三河の人たちが「働き方改革」のティッシュ配りをしていた。私たちがスタンディングを終えたあとは、「共謀罪」のティッシュ配りをするとのことで、愛知県高等学校教職員組合の方がいらしていた。色々な組織が、それぞれに頑張っているのを実感する。

 

スタンディングを始めて20分くらいしたころに、いつもシール投票をする人が来て、手伝ってほしいと言われ、二人でシール投票を呼び掛けた。

 

今日のシール投票のテーマ

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足を止めてシールを受け取ってくれる人は少ないが、参加してくれた方はほとんど「真相解明」派。「分からない」と、北朝鮮のことが心配でそちらをやって欲しいから「これで終わり」という方が一人ずついた。

 

広場のベンチに座っていた2人の女子高校生、1年生と2年生だと言う。その2年生の方の子が、この「もり、かけ」問題は知らないけど、北朝鮮のことが心配だと言う。1年生の子はどちらもまるで分らないと言う。

 

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そこで、「もり、かけ」問題をざっと説明した後、その先輩さんにはこちらのテーマで参加してもらった。「対決したら戦争になるし、戦争しても勝者はない。いいことないから、戦争にならないように話し合ってほしい」ととてもしっかりした意見を述べてくれた。後輩さんは「脅威ってなに?」と、実にあどけない。

 

先輩のほうは、政治が自分たちの生活に関係あるということをちゃんと分かっていた。「18歳になれば選挙権も持つし、よく考えて、必ず投票に行ってね」と言うと、しっかり頷いていた。こういう若者に出会えると嬉しくなる。

 

 

ご近所さんにいただいたスイカ、嬉しい初物!

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『難民高校生』仁藤夢乃著―絶望社会を生き抜く「私たち」のリアル―

著者は現在27、8歳で、どこにも自分の居場所がないと感じているような若者を、大人や社会につなぐ仕事をしている。この本は、かつて月のうち25日は渋谷の盛り場で過ごしていたという著者が、一人の大人との出会いで立ち直るきっかけをつかみ、現在のような生き方に至るまでを記したものである。

 

ほとんど家にも帰らず学校にも行かず、盛り場で暮らす高校生と聞くと、よほど悪い条件の揃った特殊な子という先入観を持ちやすいが、著者は単身赴任の父親と仕事を持つ母親、そして妹という、それほど珍しくはない家庭環境で、中学生の半ばまでは、活発でどちらかといえば真面目な子どもだったと言う。

 

それが、思春期にありがちな、校則に素直に従うのはカッコワルイ、というほどの軽い気持ちから校則違反をし始め、きちんと説得もできず頭からダメな生徒と決めつける教師たちに反発を感じ、どんどん深みにはまっていく。また、両親の間に亀裂の入り始めた家庭も、彼女にとって安らげる場所ではなく、同じような状況の友人たちと盛り場に自分の居場所を見出すようになる。

 

著者は社会活動家の湯浅誠氏の「〈貧困〉というのは”溜め”のない状態のこと」という言葉を引いて、高校生は「金銭的な溜め」はもちろん、「人間関係の溜め」も「精神的な溜め」も持っていないと言う。だから家庭や学校に居場所がなくなると、あっけなく「難民」状態になってしまうというのだ。

 

そんな、渋谷の盛り場でホームレス状態の彼女たちの現実が、著者の友人たちの実例で紹介される。当然、「女子高校生」であることを武器にするような働き方に落ちていく子が多いのだけれど、憤りを覚えるのは、15や16の未成年者であることを承知の上で、雇用者側になるのも顧客の側になるのも、れっきとした大人の男たちであることだ。

 

そんなすさんだ生活を送り高校も中退し、未来に何の希望も展望も持っていなかった著者が、そうした世界から抜け出すことができたのは、一人の大人との出会いがあったからだ。

 

彼女のような高校中退者や不登校者、中卒などの人がもう一度学んだり大学受験に挑戦するための予備校で、彼女は、ミニスカートにヒールの靴で農作業に参加するような自分を、何の色もつけず、ただ「仁藤夢乃」個人として見てくれる講師「阿蘇さん」と出会う。

 

それまで出会ってきた大人たちとは決定的に違う、安心し信頼できる阿蘇さんに、彼女の言うことやすることに「なんで?」「なんで?」と聞かれるたび、それまで諦めたり投げやりにろくに考えもせずにいたことを真剣に考え、自分で自分の心ときちんと向き合わざるを得なくなる。

 

そうして彼女は徐々に変わっていき、阿蘇さんが支援するジャパニーズ・フィリピ―ノ・チルドレンやドヤ街の人々などの存在を知り、社会に目を向けていく。予備校の農園作業で初めて書いた感想には「のうえん。楽しかった。虫。」としか書けなかった彼女が、AO入試で大学を目指すまでになる。

 

念願の大学に入り、かつて渋谷の路上で「自分は、こうした苦しんでいる若者のことを忘れない大人になる」と思った通り、若者と社会をつなぐきっかけの場を作る活動をするようになる。フェアトレードと若者の関心が高いファッションを結び付けた、フェアトレードファッションショーなどを成功させ、メディアにも取り上げられたりするようになったころ、東日本大震災が起きる。

 

それまで出会った学生やNPO団体から復興支援のためのプロジェクトの設立に協力を頼まれたりして現地に足を運び、被災地にも苦しみながら生きている高校生たちがいて、都会のように学校や家庭を離れてたむろしていられる居場所もない分、よけいに生きにくい思いをしていたことを知る。

 

そうした高校生たちを取り込みながら、地元の和菓子屋さんと協力して被災地支援のための新しい菓子を開発販売し、成功に導いていく。

 

著者仁藤夢乃さんは現在女子高生サポートセンターColabo代表理事として、「居場所のない高校生」や「性的搾取の対象になりやすい女子高生」の問題を社会に発信するとともに、そうした少女たちの自立支援を行っているそうだ。

 

高校時代、親からも教師からも全くだめな人間として扱われ、渋谷で難民のように暮らしていた著者が、一人の大人との出会いでここまで変われたのだ。大切なことは、相手を一人の人として見ること、と彼女は言う。

 

自分の身近にかつての彼女のような女子高生がいたら、私はその子をまっすぐ一人の人間として見られるだろうか。自分をちゃんと大切にして生きていく道の方へと、背中を押してあげられる大人になれるだろうか。

 

いま一緒に勉強している中学生のNちゃんを見ても、現代のティーンエイジャーは私たちの頃とは比べ物にならないほど、息苦しい世界で暮らしているのだなあと感じる。そんな子供たちを救えるのは、やはり大人だろう。大人が嘘をつかないこと。素直に正直に生きることを心掛け、子供たちの人格をきちんと尊重して向き合い、自分にできないことを無理に押し付けたりしないことだろう。

 

若い人たちが、希望を持てる未来を用意することが大人の役目なのに、どこでどう間違って、こんなに不安な未来にしてしまったのだろう。大人の一人として、出来得る限り、少しでも、明るい未来にするよう努力しなければ・・・。

 

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ゴミゼロ運動、ゴロツキゼロ運動など

5月の最終日曜日の今日、豊橋市はたぶんあちらこちらの町内で、市民総出でゴミゼロの一斉清掃をしていたことと思う。暑くて汗だくになる年もあるが、今日は爽やかな風が少し強めに吹いていて助かった。

 

ゴミゼロ清掃については毎年のように書いているので、今年はここまでにする。

 

3年前のエントリ

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そして、午後は第10回目の「住み開き よんばばんち」だった。またしてもなにか魅力的なイベントと重なったらしく、今回はなんと参加者1名!せっかく来てくださった方には、多彩な意見を聞く機会を作り出せなかったことを申し訳なく思うが、これから長く続けていく間には、またこんなこともあるだろう。ゼロということだってあるかも知れない。それでもドアを開けて待つことにする。

 

 

閑話休題。自分たちに都合の悪いことが報道されそうになると、やんごとない方さえ利用して話題作りをし人々の注目をそらす。自分たちの関与を証言されると、今度はその人のあら捜しをして、人格否定するような低劣なゴシップを流す。なんと卑劣なやり口であろう。

 

でも、今日スタンディングのフェイスブックに、素敵な記事が紹介されていた。

 

「あったものをなかったものにできない。」からもらった勇気 – キッズドア 渡辺由美子 オフィシャルブログ

 

前川氏の人柄を実によく表すエピソードだ。今回の証言をしたことに付随する権力側の汚い対応で、ご本人はもちろん、ご家族や周囲の方々はどれほど嫌な思いをなさっていることか。せめて、私たちはこうした素敵な話を拡散することで、勇気ある証言者の応援をしたい。

 

先日から、私は渋谷区富ヶ谷富ヶ谷ハイム201にお住まいになる方に宛てて、毎日葉書を差し上げることにした。文面は「国の私物化やめてください」。6月から葉書は62円に値上がりするけれども、それでも月2000円にも満たない。その方がご自分のしたことを認めて、大見得を切ったことを実行なさるまで、出し続けようと思う。

 

私一人ではなんでもないが、これが毎日何百枚、何千枚と届いたら・・・と想像すると、ちょっと面白い。そんなふうにならないかしら。

 

f:id:yonnbaba:20170528193623j:plainチームワークで悪辣な力を排除しよう!