先日『炎昼』を読み、面白くて第一巻の『破曉』を読んだ。順序が逆になったが、ほとんど問題なく楽しむことができた。
この巻に取り上げられた人物は、絵描きや物書きといった文化人だ。そして、その中に一人だけ意外な人物が入っている。それが誰であるかは、お読みになってのお楽しみ。
今回は教科書に出てくる人物は少ないかもしれないが、この本で描かれるように歴史上の人物を知ることができたら、歴史の勉強もどんなに楽しくなることだろうと思う。同時にさまざまな本にまつわる蘊蓄があるので、前回の『炎昼』同様、本好きにはたまらないことと思う。
店を訪れる客の置かれた状況に沿って、その人が必要とするに違いない書物を、本の海のような書楼の中から的確に選び出す弔堂の主。もと僧だという、知のかたまりのようなこの不思議な主を、私の脳内では木村草太さんが演じている。先日の講演会では髪が少し伸びてスポーツ刈りのようになっていたが、弔堂主の出てくる場面になると、どうしても、「報道ステーション」に出ていらした頃の坊主頭の草太さんが、白い和服姿で私の頭に浮かんでしまうのだった。