よんばば つれづれ

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『放浪の天才画家 山下清展』へ

今日はNHK文化センターに行く日だったので、帰りにすぐ隣にある美術博物館によって、「放浪の天才画家 山下清展」を鑑賞して来た。

 

この間から美術館に併設されている喫茶が改装中になっていたので、そこの営業が始まっていなければ昼食を食べることができないので、絵画鑑賞は次回にしようと思ったが、幸いこの企画展の開催に合わせてオープンしたらしく営業が始まっていた。

 

以前の喫茶店は食事したいと思っても、サンドイッチのほかはいかにも業務用の冷凍品をレンジでチンしましたという感がありありのピラフくらいしかなかったけれど、 今回新装オープンした「ポールダール」はカフェレストランを名乗っており、

和食、洋食など地産地消にこだわった食材を手作りで提供します。また、美術博物館が実施する各種企画展とのコラボメニューを提供するほか、テイクアウトもできます。

と美術館のサイトのお店の紹介ページで謳っている通り、地元にちなんだ美味しそうなメニューが用意されていた。

 

私は、7種類のミニ丼から2種類を選ぶと、赤だしとお新香が付く「ちぎり丼味比べ」というのを選んだ。「ちぎり」という言葉も豊橋と関係の深い言葉で、当市ではいろいろな所に使われている。 

 

豊橋市徽章である千切(ちぎり)マークは、江戸時代に吉田藩主であった 松平大河内家の馬印「千切小御馬印(おうまじるし)」に由来しており、 この馬印を真横から見てデザイン化されたものが現在の千切マークの基となっています。

                        豊橋市のホームページより                       

豊橋市のマーク

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さて、腹ごしらえも整ったところで、絵画鑑賞へ。

 

昭和三十年代頃一大ブームを巻き起こし、多くの映画やドラマも作られた山下清は、そうした作品の中で実像とは少々違う姿に描かれ、そのイメージが人々に定着してしまった。今回の展覧会では、画家の真の姿や思いに迫ることをテーマにしていて、作品の量はもちろん、書き記したノートや葉書、関連する書籍や衣類、リュックまで展示され、とても見ごたえがあった。

 

しかし、やはり何と言っても最も山下清らしく、圧倒的な迫力で迫ってくるのはちぎり絵の作品だった。なかでも、フライヤーにもチケットにも使われている「長岡の花火」は素晴らしかった。気の遠くなるような緻密な貼り絵技巧に触れるには、実際に見る以外ない。

 

もちろん日本画にしても油絵にしても、どんなに優れた印刷技術をもってしても実物の力を写すことはできないが、山下の1ミリにも満たないような細微なこより技法を駆使したちぎり絵は、見なければとても信じられないようなものだ。

 

非常に目を酷使したために、晩年(と言ってもまだ40代なのだけれど)にはかなり視力が落ちてしまっていたらしい。49歳での余りにもあっけない死は、常人の何倍ものエネルギーを創作活動に注ぎ込み続けた結果ではないかと思ってしまう。

 

あまりにも有名になってしまい、次から次へと創作を求められて、山下清本人はどう感じていたのだろうか。幸せだったのだろうか。この間「中途半端」と自分の才能のなさを嘆いた私だけれど、こうしてたぐいまれな才能を賦与されて生まれた人の人生に触れると、あらためて、太宰治がベルレーヌの詩からとったという、「選ばれてあることの恍惚と不安と二つ我にあり」という言葉が迫ってくる。

 

 

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胸が締め付けられます

少し前から、「リキ丸くん」さんのブログに時々登場する黄色い迷い猫ちゃん。今日もこの子のお話だった。

 

rikimarutti.hatenablog.com

 

この子の話題が出てくるたびに、胸が締め付けられる思いだ。あまりに無防備そうで人懐こそうなので、いっそう哀れを誘う。そんなに人間を信じ切っていたら、いまにおかしな人と出会って大変な目にあいかねない・・・。

 

どこかで元の飼い主が心配して探し回っているかも知れないけれど、リキ丸くんさんやその周辺の方々の努力の範囲には、情報がひっかかって来ないようだから、迷って来たとしたらかなり遠くから来てしまったのかも知れない。

 

元の飼い主は心配だろうが、この際いっそ、どなたか里親になってくれたら・・・と思う。でも、引き取ってしばらくしてから元の飼い主が判明したりすれば、それもまた胸の痛む話になってしまう。

 

ペットにマイクロチップを埋め込むということを時々目にする。環境省のサイトにも情報があった。

環境省_マイクロチップをいれていますか? [動物の愛護と適切な管理

 

このサイトによれば「利用者は急増しています」とあるけれども、どれくらい普及しているのだろうか。私はまだ、チップを入れているという飼い主さんを知らない。「動物に過度な痛みや負担はない」ということなので、外出もさせている飼い主さんや、室内飼いでも万一の場合を考えれば、これを埋め込むのも一つの方法かもしれない。

 

我が家は猫たちがいた時は、夏でも決して窓を開けなかった。網戸にすると猫は簡単に開けてしまうし、工夫して網戸が動かせないようにすると、無理にバリバリやって網を枠から外してしまう。今年の夏は二十年ぶりに網戸を通る風を味わった。

 

 

ただ私が知らないだけで、迷った子や捨てられた動物はこの黄色い猫ちゃんだけではない。この子が救われたところで、ほかの動物たちすべてが救われるわけではない。考えても、自分にどうする力がある訳でもなく仕方のないこととは思うのだけれども、知らなければ知らぬが仏だが、知ってしまうと辛い・・・。

 

今回、新幹線の中で見つかった蛇にしても、見つけた方もビックリなさったことだろうが、見つけられた蛇だって、さぞ不安で怖ろしかったことだろうなあと、何にでもすぐ感情移入してしまう単純な私は、蛇にまでちょっとあわれを覚えてしまう。すべて悪いのは人間なのだ。

 

昨日はニュースで、絶滅が心配される象の密猟をなくすために、世界中で国内まで含めて象牙の取引を全面的に禁止することを呼びかけているが、日本は長い象牙利用の文化もあり、国内取引の禁止には反対していると伝えていた。

 

色々なことを知れば知るほど、心穏やかではいられなくなる。だからといって目を、耳を、塞ぎっぱなしで暮らすことはできない。無力な私は、ただただ、自分たちで生き方を選べない動物や子供たちや弱い立場の人たちが、少しでも心穏やかに暮らせますようにと、祈るばかりだ。

 

 

黄色い猫ちゃん、リキ丸くんさんも願っていらっしゃるように、寒くならないうちに安住の地が見つかりますように!

 

 

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多様な生物がいなくなって悲しいのは人間。

中途半端

今日は市の郷土文芸作品展の表彰式。ネットから投稿できたので軽い気持ちで短歌を投稿したところ、先月半ば過ぎに招待状が届き、講評会もあるようなので後学のために出席してみようと予定していた。

 

ところが、今日もまた雨である。出かけるのが苦手な私、しかも入賞したとはいえ、去年のお月見会(ビギナーズラックと映画『みんなの学校』 - よんばば つれづれ)と同じく滑り込みの佳作だ。雨の中頑張って出かけるほどでもないか・・・と、結局横着な気持ちが勝ってしまった。

 

 

子どもの頃から何事も中途半端だった。作文でも書道でも絵画でもあるいは弁論でも、いちおう入賞はする。でも、校内の賞どまりか、せいぜい市の大会までいく程度。読書感想文と弁論で県の大会までいったのが最高記録だ。どれもそこそこのレベルには到達するけれど、それだけ。

 

こんなにいろんな分野でかろうじてひっかかるより、ひとつでいいから人並み外れた才能が欲しいといつも思っていた。ところが才能がないばかりか、何に対してもちょっとずつ興味は持つけれども、寝食を忘れてのめり込むほど惹かれるものもいまだに見つけられないでいる。

 

pikoamedsさんが「僕が好きなことってなんでしょうか」というエントリを書いていらしたが、私もまさに同じ思いだ。

 

pikoameds.hatenablog.com

 

 

こんな自分であるため、次男が大学時代に絵の勉強を放り出してバンド活動に夢中になり、プロを目指したいと言った時、そんなことはとても現実的には難しいことだと諭すのが一般的な親の在り方なのだろうが、その役目を果たしてくれたのは次男のバイト先の大将ご夫妻で、私は心配には思いながらも、結構自分の夢も託すような気持ちで応援してしまった。まあ、結局好きなことで食べていくことはなかなかに困難なことだったのだけれども・・・。

 

色々な方のブログを読んでいても、趣味が高じて仕事になったり、各地のマラソン大会に挑戦なさったり、興味のある分野の知識では玄人はだしと思えるほど博識であったり、素晴らしい能力や強い好奇心をお持ちの方がたくさんいらっしゃって感心する。

 

それに引きかえ自分のブログは、取り上げることも一貫性がなく支離滅裂で、いくらかでも秀でた知識を有する分野もない。このままこうして命の果てる時まで、「私の好きなものはなんだろう?」「夢中になれることがないだろうか?」と彷徨い続けるのだろうか。

 

 

モーゼスおばあちゃん(アメリカの国民的画家グランマ・モーゼス)が本格的に絵を描き始めたのはなんと75歳のときというから、まだまだ私も何かに目覚めれば、一事を成し遂げることも全く不可能という訳ではないかもしれないと、希望だけは捨てないで、彷徨いつつ生きていくとしようか・・・。

 

 

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近所の小学校の垣根の土手に群れて咲く白い彼岸花

 

 

※pikoamedsさん、あとになりましたが勝手に言及ごめんなさい。ブログにコメントしたかったのですが、ちょっと長くなりそうだったこともあり、こちらで書かせていただきました。

 

 

テレ東の『模倣犯』に酔った

一昨日、昨日と二夜連続で放送された宮部みゆきさんの『模倣犯』がとても良かった。今までかずかず宮部作品がドラマ化されているが、残念なことに出来の良い作品は少なかったように思う。だから今回も見るのが少々不安だったけれど、私が今まで見た宮部さん原作のドラマでは一番良かったように思う。

 

原作を読んだのはだいぶ前だけれど、たまたま、最近になってこの作品の続編ともいえる『楽園』を読んだ。主人公の前畑滋子がこの「模倣犯」での経験がトラウマになっているらしく、物語中でしばしばこの事件のことが語られる。だいぶ忘れてしまっていたため、自分の読書記録を見直したりネットで調べたりして思い出したところだったので、私の中ではタイムリーだったということもあるかもしれない。

 

原作とは違う所や、「それはないでしょ」と突っ込みたいところもないではないが、圧倒的に作品の出来が良かったので、それらをあげつらうよりは素直に賞賛したい。テレビ東京がこれだけの顔ぶれの役者陣を揃え、こんなに満足度の高いドラマを作ったことに盛大な拍手を送りたい。

 

原作でも私は孫娘を殺された豆腐屋の有馬老人が一番印象的だったのだけれど、それを演じた橋爪功さんがまた素晴らしかった。悲しみに耐えて豆腐を作り続け、平凡な日常を続けることこそが犯人に対する抵抗だという静かな強さも良かったし、人を翻弄して面白がる電話の犯人に、「おまえは単なる人でなしの人殺しだ」と啖呵を切る場面も出色だった。

 

けれども、なんといってもドラマの最後で真犯人が逮捕された後、「終わったなんてとんでもない。なんにも終わっちゃいない。娘を元通りにしてくれ、孫娘を返してくれ!」とひとり夜の公園で地べたを転げ回って慟哭するシーンは、見ていた人皆の涙腺を絞ったことと思う。

 

犯罪は、犯人が捕まったからといって決して終わるものではない。残された家族の悲しみの深さ。理不尽に愛するものを奪われた苦悩の大きさ。どれほど罪深く、つぐなうことも修復することもできない大変なことかを思い知らされる、ドラマ史にも残るような素晴らしい場面だったと思う。そしてこの場面がこの作品の質をも数段高めたように思う。橋爪さん、特別に好きな俳優さんではなかったけれど、あっぱれでした!

 

橋爪さん以外も、ベテラン俳優も若手もみんな素晴らしい演技だった。スタッフ、キャストの力が相まって相乗効果を起こし、みなが最高の力を出せたのだと思う。

 

ボリュームのある原作で登場人物も多いのに、うまくサイドストーリーの人物まで取り込み、しかもすべての人物に命を通わせて描いていた。このあと同じ「テレ東移転プロジェクト」のスペシャルドラマで、湊かなえさんの『望郷』が続くらしい。湊さんは「食わず嫌い」で読んだことがなくドラマもほとんど見たことがないのだけれど、これは見るしかないかなと期待が高まる。

 

 

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今日のコスモス会は料理教室で、クレープを作りました。

右の皿の下の緑色のはインドネシア風だそうです。

 

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だいぶ食べちゃってますが、インドネシア風の中身。

たっぷりのココナッツを黒砂糖で煮絡めたソース(名前を教わったのに忘却)が入っています。すごく甘いのかと思ったのですが、それほどでもなくおいしかったです。

 

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調理風景。

 

 

マッサージチェアの修理

購入して12年ほどになるマッサージチェアが動かなくなってしまった。当時まだまだ当分働き続けなければならないと思っていたので、自分を励ます意味と、ちょうど母が同居していた時でもあったので母も使えるしと思い、大奮発をして買った。

 

その頃ちまたではマッサージの店が流行り出してどんどん新規開店していたので、会社から駅までの道にも何軒もマッサージ屋さんがあった。人の手で思うように揉んでもらったら、さぞ気持ちが良いことだろうとは思うけれど、私は人に自分の体や手や足を預けることが苦手なのだ。その点相手が機械なら気楽だ。

 

最近はコンパクトなマッサージチェアも出てきているが、当時のものはかなり大きくて、電器屋さんが玄関ドアの内側の新聞の入る部分を取り外して、やっとギリギリ搬入できた。今になると、不要になった時にはどうするのだろうと心配になる。またお金がかかることだろう。

 

でも、使ってみると、それはそれは極楽だ。このお陰で、疲れをためないうちにもみほぐすので、この十余年ひどい腰痛を起こさずに過ごすことができた。腰痛とは長年の付き合いで前触れが分かるので、怪しいと思うとすぐマッサージチェアにかかる。するとスッキリ症状が解消してしまう。

 

仕事を辞めてから、そのマッサージチェアにかかる回数もめっきり減ったが、先日久しぶりに使用したところ、「マッサージを始めます・・・」と音声ガイダンスは始まるのだが、しばらくするとガガガガッとすごい音がしてプツンと電源が切れてしまう。何度やっても同じで、いよいよ故障か、直すにもかなりかかるかもしれないと暗い気持ちになった。

 

出入りの電器屋さん(購入した電器店は廃業してしまった)に電話すると、マッサージチェアは医療機器になるので電器屋では修理ができないと言う。メーカーから直接連絡が行きます、ということで、昨日電話があり、今日サービスマンが来てくれた。修理できても数万円、下手をすると部品がありませんなんていうことになるかと案じたが、2万円弱だというので直してもらった。修理代が高ければ、もう少しコンパクトな新しいものに買い替えるのもいいかなとも考えていたけれど、思いのほか安く上がって助かった。

 

それにしてもハイテク時代で、修理確認のサインはタブレットの画面に指で書いてくださいと言われた。画面に線が現れるのに時間差があるため書きにくいこと。幼児のいたずら書きのようなサインになってしまった。納品書はそのタブレットを操作すると、別の小さな機械からプリントされてシュルシュルと出てくる。お年を召した方のなかには、タブレットの画面に名前を書くなんて面くらう方もありそうだ。

 

 

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無事に動くようになったマッサージチェア。ピンボケ・・・。

あの日から1年

国会の中と外とが熱く繋がりながら、数を恃む与党の力で押し切られ安保関連法が国会で成立してしまったあの9月19日から1年がたった。

 

 

今日は安保関連法に反対するママの会が全国で展開する行動の一環として、豊橋でも市の子ども関連施設「ココニコ」の前でアピールとビラ配りを行った。人数は3人だったけれど、豊田から参加の方が今まで駅前のスタンディングやパレードにも何回か参加したゴールデンレトリーバーの桃ちゃんを連れて来てくれたので、子供たちをどんどん引き付けてくれた。あとはピンク、白、ブルーのママの会カラーの風船とシャボン玉。

 

 

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桃ちゃん。保護犬で、辛い過去があるらしいですが、とてもおとなしいいい子です。

 

 

小さいお子さんの手を引いたりベビーカーを押したりといった親子連れが三々五々通り、ビラの受け取り率も高い上に、メンバーが話す経済的徴兵制自衛隊の新しいエンブレムの怖さなどに真剣に耳を傾けてくれる親御さんも少なくなかった。

 

 

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今日配ったビラ。私としてはこの「マジ日本ヤバくない?」というタイトルは好みではないけれど、たぶん、政治に関心の低い層には訴求力があるだろう。

 

 

このあと、豊橋駅前での平和音楽ライブ、それに続く「9.19を忘れない諦めない」の集会&パレードに参加して、遅い昼食代わりのスイーツとコーヒーで一服し、4時過ぎに帰ってきた。シャボン玉を買ったりネットプリントをしたりするので朝10時半頃から家を出たので、今日はほぼ1日活動だった。さすがに家に着くとグッタリだった。

 

 

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豊橋駅前。1周年の節目ということもあってか、参加者は多かったようだ。でも、この写真を見ても、とても「平和」という柔らかな雰囲気とは遠い・・・。

 

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名古屋は雨になったようです。

 

 

7、8月は参加しなかったので久々の集会&パレードだったが、なんだか終始違和感というか、なじめない感じがあった。行事の方は以前と変わらないので、私の心境の方が変わったためなのだろう。

 

集会ではまるで授業について行けない生徒(は、たぶんこんな思いなのだろう)のようで、スピーチする人たちの言葉が頭の上を空疎に通り過ぎていく。パレードではコールを唱和するのも列の中で歩くのも「楽しい」とは程遠く、なんだか気恥ずかしい思いがまとわりついていた。

 

継続や人数の大切さも分かるが、やはり旧来からの活動団体とともに行動するのは難しいと改めて痛感した。活動の趣旨には賛成している私でもこんな思いを抱く。まして、外から見る人たちの目にはどんな風に映るか・・・。活動する人たちは、そういう視点を持ってほしいと思うのだけれど・・・。

 

 

 

 

知らない世界へ行く友

せっかく純日本製の良い商品が出来上がったのに、不運なめぐり合わせで不良在庫になっているガーゼ寝巻のことをこのブログに書いたら、白魔女さんが海外のご友人へのプレゼントにしたいからと、思いがけなくたくさん買ってくださって、そのうえご自分のブログで紹介までしてくださった。

 

d.hatena.ne.jp

 

そのことを相棒(そもそも発案は彼女で、私は誘われて共同経営に参加した)である軽井沢の友人に知らせたら、喜びと感謝のメールが届いた。そしてそのメールには同時に想像もできない大変なニュースが綴られていた。

 

宮内庁から電話が入り、来月ベルギーの国王夫妻を招いての宮中晩さん会に夫婦同伴で出席してほしいと言って来たというのだ。電話のあと宮内庁から来たメールの案内によると、服装は男性はタキシード、女性は、白襟紋付、あるいは、ローブデコルテなのだそうだ。彼女のメールは、

 

「ローブデコルテなんて無理だから、一応、着物とすると、白襟紋付って何?インターネットで調べたところ、白い重ね襟の付いた色留袖のことらしい。10月11日って、もうひと月を切っているでしょうが。着物を今から誂えるのなんて、時間的に無理でしょう。だいたいそんな着物を誂えたりしたら、老後破産しちゃいそう。なんていう感じで、我が家は、目下、晩餐会狂想曲--状態です。」

 

と綴られている。

 

十何年か前にご主人が学士院賞を受賞なさったときも、天皇皇后両陛下ご臨席で、ご主人はタキシード、彼女は訪問着で列席したと記憶しているが、その時はたしか食事は受賞者本人だけだったようだし、なにより場所が宮中ではなかった。

 

もちろん、群衆の中から手や旗を振るのではなく、選ばれた客として天皇陛下にお目にかかれること自体、そうそう経験できることではないと思うけれど、海外の貴賓を招いての宮中晩餐会を経験できるなんて、もうまったく別世界のできごとだ。

 

ご主人は、今年皇居の講書始の儀天皇陛下にご進講もしたりしているため、彼女に「今度君を皇居に連れて行ってあげるよ」なんて言ってらしたようだが、彼女は取り合わず、遠い世界のことと思っていたそうだ。それが思いがけなく本当になる日が来たのだ。

 

 

実は、今回白魔女さんに買っていただいた私たちの商品「ゆめゆかた」と、この学士院会員でフランスのアカデミーの会員でもある「学者先生」とはかなり深いゆかりがある。

 

商品に入れた「ゆめゆかた」のラベルの画像処理が私たちの手には余り、結局ご主人の協力でなんとか仕上げることができたのだ。パソコンで作業をしたことのある方ならお分かりと思うが、パソコンというものは便利ではあるものの、案外ちょっとした作業でも大変な時間がかかり、画像をデザインし文字を入れ、イメージ通りのものにするのはかなり面倒だった。

 

学士院賞受賞の先生にこんなことをおさせして、いったいいくらの時給につくことか・・・と、私は申し訳ない気持ちでいっぱいだったけれど、とにかく私たちの力ではとても目指すところに到達できそうもなく、ご厚意に甘えるほかなかった。

 

 

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これがその「ゆめゆかた」のラベル。二つ折りになっていて、なかに洗濯法の英文表示や会社の所在地(友人の豊橋の住まいの住所だったので、今はそこには存在しなくなってしまったけれど)が印刷してある。画像の着物は千代紙を使って私が制作したもの。

ラベル部のみトリミングして新たに保存し、その写真をアップするのだけれど、何度やってもはてなのシステムのせいなのか、トリミング前の元の写真に戻ってアップされてしまう。ギブアップでそのままにする。

※9月18日11時過ぎ:今見てみるとなぜか写真がトリミングしたものに代わっていた。はてなの不思議!

 

 

私なぞ逆立ちしようが何をしようが絶対に覗くことのできない別世界へ、友人は行く。そもそも、私のようなものがそのような彼女の、友人の末席を汚していていいのだろうかとさえ思うけれど、いまは素直に、未知の世界の体験を聞くのを楽しみに待つとしよう。ただ、豊橋にいた時と違って簡単に会えない。ご主人の名古屋での仕事も終わったので、彼女がこちらに来る機会はほとんどない。じっくり話を聞こうと思えば、私が軽井沢に出かけるしかないのだが、出不精の私のことだから・・・。

 

 あとになりましたが、白魔女さん、勝手にリンクや言及、ご容赦ください。