よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

本好きにはやっぱり楽しい『お探しの本は』門井慶喜著

先日、いつも利用する市民館に行くと、書架の一角に「連作短編」というコーナーができていて、そこで見つけた一冊『お探しの本は』。殺人も刑事も出てこない、本にまつわるミステリーだ。

 

***出版社のサイトの紹介文***

和久山隆彦の職場は図書館のレファレンス・カウンター。利用者の依頼で本を探し出すのが仕事だ。だが、行政や利用者への不満から、無力感に苛まれる日々を送っていた。ある日、財政難による図書館廃止が噂され、和久山の心に仕事への情熱が再びわき上がってくる……。様々な本を探索するうちに、その豊かな世界に改めて気づいた青年が再生していく連作短編集。

 

本にまつわる物語といえば、真っ先に『ビブリア古書堂の事件手帖』が頭に浮かぶ。本に関するうんちくを楽しみながら、物語の登場人物もそれぞれ魅力的で、長いシリーズもまだ物足りないほどに感じる。

 

『ビブリア・・・』同様、この作品もライトノベルのような装丁(と言いながら、何をもってライトノベルというのか分かっていないが)ながら、意外に現代の図書館を取り巻く問題も含んでいて、読みやすく楽しいうえに考えさせるものもあった。

 

「図書館ではお静かに」「赤い富士山」「図書館滅ぶべし」「ハヤカワの本」「最後の仕事」の5つの物語からなり、毎回、レファレンス・カウンター担当の主人公和久山隆彦が、周囲の仲間の協力も得ながら、かなり難しい条件の本を探し出す。その過程に書物の周辺の興味深い話があり、また正解に辿り着く謎解きの要素も味わえる。

 

なかなか魅力的な敵役として、市の財政難を理由に図書館廃止を主張する人物が、図書館長になって登場する。この敵とも味方とも判別のつかない興味深いヒールと、和久山のバトルを続編でもっと読みたいものだと思うが、物語の最後で主人公は図書館から市の総務課企画グループに配置転換となってしまうので、続編は期待できないのだろうか。

 

 

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