よんばば つれづれ

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『ビブリア古書堂』やら『マスカレード・イブ』やら

入院して1週間もしないうちに、嫁からの『思い出のとき修理します』の4巻、そして『花だより』を読み終え、次に『ビブリア古書堂の事件手帖~扉子と不思議な客人たち~』を読み始めた。これも入院に備えてネット通販で購入しておいたものだ。

 

ビブリアシリーズも面白くて何冊か読んだのだけれど、何巻まで読んだのか分からなかったため、読書記録を調べることなく、とりあえず最新刊を選んだ。ちょうど今、この作品を映画化したものが公開されているようだ。ヒロインの栞子さんは黒木華さんとのことで、テレビ版の剛力彩芽さんもかなり原作のイメージとは違ったが、黒木さんも魅力的な女優さんではあるが、栞子さんではない、気がする。どなたかの映画評に、栞子さんは二次元の人で、どんな女優さんが演じてもしっくりはしないだろうという言葉があったが、まさにそうかも知れない。

 

ライトノベルのジャンルに入るこのシリーズは、本が好きなものにとって書籍に関する蘊蓄は非常に魅力的だが、文章自体はもともといくぶん軽い。この最新刊はヒロインと古書店員五浦大輔との間に生まれた子供である扉子が登場し、四篇の本にまつわる話が収められている。栞子が六歳の扉子にせがまれて語る形式になっていることもあってか、よりいっそう軽い物語になってしまったように感じた。

 

 

これでほとんど手持ちの小説は読んでしまい、あとは読むものが足りなくなった時のために用意した、何度も繰り返し読んでいる円地文子版の源氏物語と、光琳出版社版の『宙(ソラ)ノ名前』、そして嫁が西村玲子さんの本とともに見舞い時に持ってきてくれた、本とコーヒーの特集された雑誌『CREA』。これらは合間あいまに読むことにして、まだまだ入院の日々はこれから折り返しというところで、もう少し小説を読みたかった。

 

私が入院した聖隷浜松病院は、ボランティアで移動図書館が週に一回来てくれていたので、結果的には重たい本をこんなにたくさん用意していかなくてもよかったのだが、入院用の案内パンフレットには、病院内の本屋さんと図書コーナー(これらの場所まで一人で行けるようになるのに、どれくらいかかるか分からなかった)の案内はあっても、移動図書館の説明はなかったので致し方ない。

 

移動図書館のほかに、各病棟フロアのデイルームにも本が置かれていたので、まだ一人で別な棟にある図書コーナーなどまで行く自信のない間は、その本を借りて読んだ。

 

その一冊目が東野圭吾さんの『マスカレード・イブ』である。プロフェッショナルなホテルマン(ウーマン)の山岸尚美と、シアトルで企業弁護士をする父親を持ち、自身も警視庁のエリート候補生の刑事新田浩介の二人の視点で、交互に物語が語られる形で、4つの連作短篇になっている。

 

東野さんらしいグイグイ読者をひきつける文章で、一気に読んでしまった。人気があってシリーズ化されているようで、これはその第二弾の作品らしいが、この作品から読み始めても特に支障は感じなかった。

 

『刑事のまなざし』薬丸岳著。これもデイルームの本。テレビで椎名桔平さんが主演したドラマが良かったため、主人公の夏目は終始脳内で椎名さんが演じている感じで読んだ。罪を犯した少年たちの更生を助ける法務技官から刑事に転身したという、この異色の刑事の静かで温かなたたずまいが非常に魅力的な作品だ。

 

『主よ、永遠の休息を』誉田哲也著。実際にあった東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件を彷彿させる14年前の事件を軸に、現在と過去を行き来しながら、主人公の新聞記者(正確には通信社記者)が、その事件の意外な真相に迫る物語。主人公の記者と被害少女の二人の視点で交互に話が語られる。少々救いのない終わり方で、読後がつらい。

 

 

これでほぼデイルームの本も興味をひかれたものは読みつくし、あとは源氏を少し読んだり、CREAをパラパラ読んだり、西村玲子さんのきれいな挿絵や、月や星の写真を楽しんだりして、二週間の入院生活を終えた。

 

 

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『宙ノ名前』。以前紹介した『空の名前』の姉妹版。 

 

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