よんばば つれづれ

現在はこちらで書いてます https://hikikomoriobaba.hatenadiary.com/

いろんな味が楽しめるアンソロジー『隠す』アミの会(仮)

「アミの会(仮)」という名の、女性作家11人からなる会があることを、今回初めて知った。2015年に最初のアンソロジー『捨てる』(この時点では9名)を出版しているようだ。何作か読んで好きになった柴田よしきさんや、先日ブログで紹介した『わたしの本の空白は』の近藤史恵さんもメンバーのようだ。

 

今回私が読んだのはその会のアンソロジー三作目で、『隠す』という作品だ。11人の著者が、それぞれ「隠す」という共通のテーマで書いている。そしてさらに「あとがき」で、〈すべての短編には、共通の「なにか」が隠されています!さて、それは何でしょう?〉と読者に向けて挑戦状が提示されている。

 

可愛らしい物語から切ない話、はたまた少々後味の悪いものまで、11人11色のさまざまな作品が楽しめる。

理由・・・柴田よしき

自宅警備員の憂鬱・・・永嶋恵美

誰にも言えない・・・松尾由美

撫桜亭奇譚・・・福田和代

骨になるまで・・・新津きよみ

アリババと四十の死体・まだ折れていない剣・・・光原百合

バースデイブーケをあなたに・・・大崎梢

甘い生活・・・近藤史恵

水彩画・・・松村比呂美

少年少女秘密基地・・・加納朋子

心残り・・・篠田真由美

 

それぞれ面白いが、哀しすぎたり後味が悪かったりするものもあり、私はやはり柴田よしきさんの「理由(わけ)」が一番良かった。それからちょっと切ないけれど、「バースデイブーケをあなたに」は、毎年見事なバースデイブーケの届く、グループホームで暮らす90を過ぎた奈美子さんが素敵なおばあちゃんで、こんなふうに年を取りたいなと思わせてくれた。

 

「全作品に共通するもの」という読者への挑戦状に対する答えは、たぶんどなたも比較的簡単に見つけられると思う。

 

 

f:id:yonnbaba:20181128143240j:plain