よんばば つれづれ

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豊川海軍工廠を舞台の小説『ハイネさん』出版記念イベント参加

昨日は友人に誘われ、隣の豊川市の桜ヶ丘ミュージアムという所に出かけた。友人の友人が豊川海軍工廠にまつわる小説を出版し、その出版記念イベントがあるという。

 

昨日のイベントを紹介した地元紙の記事

地図上で空爆を追体験 | 東日新聞

 

著者住田真理子さんは関西の出身の方だけれど、縁あって豊橋の住人となり、隣の豊川海軍工廠の跡地見学を体験して衝撃を受け、その後いろいろな資料を調べたり体験者の話を聞いたりしたことをもとに、四つの短篇小説を書き、それがこのたび地元の出版社から出版された。

 

豊川海軍工廠4つの物語 | 東日新聞

 

まだ私が豊橋ユネスコ協会の会員だった2年前に、豊川海軍工廠の見学会に参加して書いたエントリ

 

yonnbaba.hatenablog.com

 

会場の桜ヶ丘ミュージアムではちょうど海軍工廠展を開催中で、最初に学芸員の方の説明を聞きながら展示された工廠の模型や地図や写真、体験者の方々が描かれた空襲時の絵などを見て、そのあと部屋に入り、当時女学生で動員されて工廠で働いていて空襲を体験した女性と、当時10歳で、帰宅しない5歳上のお兄さん(この空襲で犠牲になられた)を案じて空襲直後の工廠に来て惨状を目にしたという男性の二人が体験談を語られた。

 

男性の語り部の方は、豊橋市の高校から参加していた6人の生徒にとりわけ熱っぽく、体験談そのものよりも、現在の日本や世界の危険な状況を訴え、18歳になれば選挙権を持つのだから、どうすれば戦争を避け平和な世界を作れるのか、しっかり考えて自分の意見を持ってほしいということを語っていた。

 

戦争体験者が高齢になられ、直接話を伺うことがだんだん困難になるなか、文字や映像で記録することと同時に、そうした資料や記録からプロの書き手がきちんと再構築した物語や、映画・ドラマといった形で伝えていくことは、いっそう重要になると思う。

 

 

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より多くの人に手に取ってもらいたいと、装丁も柔らかな雰囲気。物語もとても読みやすいものになっている。住田さんは兵庫県のご出身なのに、会話には三河弁もふんだんに取り入れられている。こうして地元の戦争の記憶を、文学という形にしていただいたことに心から感謝したい。