よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

ひっそりと誠実に生きる日常の愛おしさ『桃色東京塔』柴田よしき著

昨日の民生委員の新年会のおかげで、今朝の定時の測定で体重が1キロ増えていた。落とすのは大変なのに、増えるほうはかくもあっけない。早いとこ調整しなくてはいけないのに、今日は今年最初の老人会で、ぜんざいをふるまった。お餅2個入りをしっかりたいらげ、減らすどころかますます増加してしまったかもしれない。明日の測定が怖ろしい。

 

さて、今年最初にご紹介する本は、市民館の企画コーナーで見つけたもの。昨年最後の本となった『春子さんの冒険と推理』の著者の作品だ。きっとまたほのぼのできるのではないかと期待して手に取った。

 

前作はプロ野球界に入るだけの才能はあったが、一軍にはいけないでいる夫と、優しく誠実だけれど特別美人ではない妻の春子さんの物語だった。

 

今回の物語の男女は警察という組織の中にいる。二人とも、キャリア組になれるような大学を出ているわけではなく、男性のほうは少々運にも恵まれて手柄が続き出世の階段を上りかけるが、不運なできごとでその道は閉ざされ、そのことがトラウマとなって、すっかり臆病な刑事になってしまっている。

 

女性のほうは職場結婚だった新婚の夫を殉職という形で失い、やはり心に大きな空洞を抱えながら生きている。

 

男性は警視庁勤務、女性は滅びゆきつつあるような故郷の過疎の村を抱えるI県の所轄署勤務ながら、二人はある事件の捜査で出会い、コンビを組むことになる。

 

二人とも飛びぬけて優秀な刑事ではない。特殊な仕事を別にすれば、どこにもいそうな若者たちだ。けれども、二人ともとても誠実だ。誠実だから、不器用にしか生きられない。どちらも、ちょっとした運命のいたずらで、周囲の関心や同情を引く立場になってしまった。そして、それに甘えることも利用することもできず、もがく。

 

こんな二人が出会ってからの日々を、いくつかの事件と絡ませながら連作短編集のような形で物語る。お互いに惹かれるものを感じながら、不器用な二人の恋愛は初恋の中学生のようにもどかしい・・・。

 

『春子さん・・・』のほのぼの感とは幾分トーンが違うけれど、期待を裏切らないまっすぐ生きる主人公たちと、周囲の人々、そして事件の顛末。小説やドラマのように華々しいことは起こらないけど、人生っていいよね、人っていいよね、という気持ちになる。なんでもない日常が愛おしく思えてくる、そんな気分にしてくれる作品だ。

 

タイトルはなんだか安っぽいお色気小説を連想させそうだが、乳がんの啓発活動のためにピンク色にライトアップされた東京タワーのことだ。ヒロインの故郷の過疎の村の名前は縹(はなだ、藍染めの色)村、その村の山でひっそり咲く山藤の藤色など、色も物語のポイントのひとつ。

 

 

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