よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

『女性たちの貧困』ひとり親の先輩として

録画しておいたこの番組を見た。クローズアップ現代で以前取り上げた若年女性の貧困の深刻化という問題が大きな反響を呼んで、その追跡調査報道ということらしい。「調査報道」なので調査したことをお知らせするだけということなのかもしれないけれど、あまりに上っ面だけの取材で、なんだか見ていて違和感を持った。

母子三人ネットカフェで暮らす家族。一か月以上の連続利用は割引価格で1日1900円だというが、母親用と姉妹用の2ブース利用しているようなので、一か月の利用料は10万円を超える。どう考えてもちゃんと家を借りるほうが安い。まとまったお金がないのだろうけれど、行政には困窮者のための資金貸与などの施策があるだろうし、だいいちネットカフェで暮らしているくらいなら、支援してくれる団体をインターネットで探すこともできるだろう。本人たちはそうしたことを知らないとしても、なぜこの番組は生活を改善する方策を示さないのだろう。

ニュースウオッチ9の中で生活保護の切り下げが貧困層を苦しめている件を扱った時にも感じたことだが、こうした人たちは多くの場合カップ麺や菓子パンなどを食べている。所持金が何百円というレベルになってしまうとそうならざるを得ないのかもしれないけれど、本当はお米を買って自炊するのが一番安上がりだ。

もちろん一番の問題は教育や福祉(先進国中この分野に使う国の予算は最低レベル)にあるのだろうが、貧困に苦しんでいる人たちは情報弱者である場合が多いので、いま現に困っている人々を救うには、まず使える公的援助や民間の支援団体を教えてあげることだと思う。安心して暮らせる住まいを確保し、安上がりで健康的な食生活や家庭管理(ゴミ屋敷のようになっていることがままある)の仕方を指導することも必要ではないだろうか。

番組の中で私大の学費を稼ぐため愛媛から休みのたびに上京して働いている女性が出ていたが、あんなに大変な思いをして大学を出て、それで未来は開けるだろうか。一方で大学を出ながら正社員の仕事に就けず、学生時代のバイトをそのまま続けていて奨学金の返済もあり苦しいという女性も登場していた。本当に食いはぐれないためなら、中途半端な大学に通うより技術を身に付けるような選択肢もある。

社会的弱者の問題を扱うとき、当事者を責めるとバッシングを受けかねないし、権力者側の問題を突いて弱い者の味方のふりをするほうが簡単だ。マスメディアはたいていこういうスタンスだ。でも今回のNHKの番組はこうした立場も取っていない。ただ困っている人たちを画面に引っ張り出し、問題を掘り下げるでもなく、現状での解決可能な方策を提示するでも、国のお粗末な社会保障を糾弾するでもなく、最後は中卒後バイトで親を助けながら勉強して保母になるための学校に合格した女の子の笑顔で締めくくった。つまりうがった見方をすれば、自己責任で頑張りましょうと言いたかったのか、とさえ言える。

NHKスペシャルと銘打って放送するには少々扱いが浅すぎた。せめてシリーズ化するなどして、もっと問題の原因を掘り下げたり、解決策の提示や先進各国のこの面での施策の紹介などもしてほしい。と注文したいけれど、あのトップをいただく局では難しいか・・・。