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よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

「穂の国音楽マエストロたち」第3回杉浦充さんの箏に感涙

暮らし

豊橋出身で、今は当地を拠点に、箏のライブ、作曲、地元FMラジオ局のDJと幅広く活動なさっている杉浦充さんが、今日の講座の講師だった。さすがラジオのレギュラーを持っていらっしゃるだけあって、おしゃべりも軽妙で会場はすっかり充ワールド!

 

山田流と生田流の2種類の十三絃箏、十七絃箏、二十絃箏と4つの箏を披露してくださった。幅はもちろん二十絃がいちばんあるが、長さは十七絃の箏が最長で、2メートル10センチもあるのだそうだ。前回のチェンバロも運搬が大変そうだったけれど、これだけの箏を持って演奏活動に飛び歩くのも大変だ(何事もやはり体力は大切)。

 

空手の静と動の世界を表そうと作曲したという「以静成動 以動成静」を、低く力強い音色の十七絃の箏で演奏してくださったのだけれど、曲と箏の特性がマッチして印象的だった。講座の始めに山田流の十三絃の箏で演奏された流麗な「さくら」とは対照的な箏の魅力があふれていた。

 

休憩をはさんだ後半では、二十絃の箏を使ってジャズや演歌を演奏、そして箏に合わせて「上を向いて歩こう」をみんなで合唱した。そのあと、また杉浦さんの作品2曲を演奏してくださったのだけれど、そのうちの「PRAY~祈り~」にまつわる話が素晴らしかった。

 

2011年3月11日の震災の時、杉浦さんは録音のため東京麻布のスタジオにいらした。最初は何が何だか分からないほどの衝撃、しばらくしてこれは大変な地震だ逃げなくてはと気付いたそうだ。外に出ると周囲のビルが信じられないほどの揺れ方をし、東京タワーが折れ曲がってしまうのではと思うありさまだった。

 

その日はそのスタジオに泊まり、そうして帰宅困難者に。やっと東名高速が走れるようになって帰路についたのだけれど、ラジオからは信じられないような情報ばかりが流れ、対向車線は被災地に駆り出される消防自動車などの救急車両が続々と・・・いう中、やっと豊橋に帰り着かれたのだそうだ。

 

それから6年近くたって、なんだか世の中ではあれほどの震災が、だんだん忘れられつつあるように感じる。日本も世界もますます不穏な雰囲気になり、弱い立場の人を顧みないようになってきている。あの大震災を忘れないため、そして今も大変な思いをしている被災者の方々を応援するために、この「祈り」という曲を作られたのだそうだ。

 

それまで楽しいおしゃべりで会場の笑いを誘っていらした杉浦さんがしてくださったこの体験談は、ほとんど震災の影響を受けずさして苦労もしなかった私には、強い印象を与えた。当時、直後の混乱の中を応援に行かれた看護師さんのブログを読んで涙したり、その後もさまざまな方の体験談や震災関連の出版物も読んできたけれど、やはり体験した当人からじかに聞く話は文字とはかなり違う。

 

この話を伺った後の、祈りの思いのこもった演奏は格別心に響いた。どうか、この体験談とこの曲の演奏を、末永く、また一か所でも多くの場所で続けていっていただきたいと願う。

 

アンコールに応えて再度十七絃の箏に替えて『ワンダフル・ワールド』を演奏してくださって、充実の第3回講座の終了となった。

 

 

昨日「おしどり」のマコケンさんの話を書き、そして原発事故後の福島をテーマにした『象は忘れない』を読んでいた所に、思いがけない今日の音楽講座での震災体験談とそこから生まれた祈りの曲との出合いだった。

 

そうそう、SPYBOYさんのブログでは、「トモダチ作戦」に参加した米兵への支援基金を紹介してくださっていた。➡ 城南信用金庫 『象は忘れない』にはこのトモダチ作戦の話も出てくる。

 

 

 

杉浦充さんの演奏

 

 

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