よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

変人中年ヒーローの『隠蔽捜査』今野敏著

昨 年の冬ドラマで杉本哲太古田新太のダブル主演で放送され、視聴率は芳しくなく、結局この後しばらくして月曜8時(水戸黄門の後の枠)のTBSのドラマ枠自体も消滅してしまった。

 

でも、この『隠蔽捜査』は間違いなくとても良い作品だった。脚本も矛盾やご都合主義的なことがなくしっかりしていたし、登場人物それぞれが魅力的に描けていて、それをさらに芸達者な俳優陣が生き生きと演じていた。登場人物はほとんどおじさんばかり(それも結構ムサクルシイ部類の)だったにもかかわらず、ドラマの醍醐味を楽しめた3か月だった。

 

で、その原作が市民館の図書室にあったので借りてきた。一気に読んでしまった。頭の中ではもうどうしても竜崎は杉本哲太だし、伊丹は古田新太だ。それが別に邪魔ではなく、心地よく脳内で動き回ってくれる。やはりドラマが良かったのと、彼らが役になりきっていたからだろう。

 

特に杉本さんは近頃パワハラやらセクハラやらの嫌な上司役や夫役が多くて、またしかもそれを実にうまく演じるのだけれど、合理的思考に徹するあまり、頑固で変人だが結果的にまれにみる正義感の強い好漢になってしまう、正反対ともいえるイメージのこの竜崎を見事に自分のものにしていた。

 

小説のほうはこれがシリーズの第一作で、単純な暴力団員同士による殺人と思ったものがとんでもない展開を見せる事件と、竜崎の息子の薬物使用の問題とを描いている。初犯で未成年なのだから、警察庁のキャリア官僚の竜崎の立場なら簡単にもみ消すこともできるのに、官僚は法を守って国家のために働く者だと呆れるほどかたくなに思い込んでいる彼には、真実を隠蔽することなど考えられない。結果、本庁から現場に飛ばされ第二話以降につながる展開となる。

 

融通はきかないし家庭人としてはまるで役立たずで勝手で、決して竜崎は好人物として描かれている訳ではないのだけれど、ああ、世の中にこんなに原理原則を守り徹底的に合理主義的な官僚がいてくれたら・・・と願ってしまう。優しさだの思いやりだのというあいまいなものなどなくてもいい、頭脳明晰で基本を守るだけのことじゃないか。なのになぜ現実社会はこうもダメな公務員や議員やらであふれているのだろうと、むしろ不思議に思えてくる。完全に竜崎ワールドに引き込まれている・・・。

 

もうこれはシリーズを読み進むしかないだろう!    

 

 

ドラマの続編も見たい・・・けど、たいてい続編は質が落ちるのでそれは見たくない・・・。

 

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せめて涼しげな写真を・・・。孫が小さかった頃、信州にて。

 

 

なんと「隠蔽捜査」が「操作」になっていた。今日まで全く気付かず・・・。変換の時てっきり初回で「捜査」になっていると思い込んでいたのだろう。思い込みの恐ろしさ。打消し線の使用がうまくいかないので仕方なく書き直した。2015.9.10