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よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

一夜明けても噛みしめる、『64』の余韻

今朝id:takikioさんが私の以前のエントリ

yonnbaba.hatenablog.com

に最終回の感想を書き込んでくださった。

 

お婆さん猫たちの夜鳴き朝方鳴き攻撃で慢性睡眠不足の私は、10時からのドラマをリアルタイムで見るのは辛いので、録画予約していた。でも、最終回だし、やっぱりオンタイムで見たい!と思い、見てしまった。

 

途中これで本当に今夜最終回?これで主人公の娘のことから何から収集つけられるの?と心配になったが、放送時間も少し延長になっていたし、この作品特有の削ぎ落とせるだけ削ぎ落とした展開と表現で、見事に物語は収まる所に収まった。

 

何という作品だろう。「すごい!」の一言しかない。見なかった人に説明するのは難しい。見た人でも脱落してしまった人には分からない。ご親切なナレーションや理解を助けるためのサービスセリフは一切ないから(そのあたりが低視聴率の一因かもしれない)。

 

正直、まだ私も完全に消化しきってはいない。Yahooテレビの感想欄を見ると他の方々の鋭い見方に感心する。気づいていない伏線やショットがまだまだありそうだ。1話から全部録画するのだったと悔やまれる。この感想欄を読んでいて、あまりに皆さんの感想が素晴らしく、涙してしまった。素晴らしい作品は優れた感想を招く。ドラマによっては、高評価派と低評価派の読むに堪えない醜い泥仕合いになっているものもあるというのに。

 

主演のピエール瀧さんもこの人以外考えられないと思うほど、三上になりきった演技だったけれど、なんと言っても私は、幼い娘を誘拐され身代金も奪われた上に娘まで殺されてしまう悲劇の父親を演じた段田安則さんの渾身の演技を評価する。

 

ピエール瀧さん演じる三上、段田さん演じる雨宮、尾美としのりさん演じる目崎。この3人の父親と娘の物語が重要な要素だ。娘を思う強く深い愛情、皮肉で非常な運命に苦悩する、慟哭する、叫ぶ、嗚咽する、父親。

 

現実世界では自分のうっ憤を晴らすために我が子に暴力を振るい、言うことを聞かないから、泣き止まないからと、命まで奪ってしまう親もいる。この大きな差の間にあるものは何なのか。子を愛せない親は多くの場合、やはり自身も親に愛されなかった過去を持つのか。

 

 

Yahooの感想の中に、「電話を待っている家族がいる人は、声を聞かせてあげてほしい」という一文があった。木村佳乃演じる三上の妻の、失踪した娘からの電話を待つ狂わんばかりの焦燥感が視聴者の胸に迫り、そうした感想を引き出したのだろう。

1本の電話が、何年何十年の誤解の氷塊を溶かすかも知れない。

 

 

 

横山秀夫さんのこの作品、映画化もされるようだけれど、この良質な5時間のドラマを見た人をうならせるのはかなり大変だろう。ドラマを見ていない人に2時間余で分かってもらうのも大変そうだ。さて、結果はどう出るだろう。

 

 

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薔薇の庭の写真、おまけ。

 

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不思議な緑色の花。「イキシア」というのだそうです。