よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

宮沢賢治をひとり語り 林洋子さんの世界

長年宮沢賢治の作品のひとり語りをなさっている、林洋子さんの舞台を見に。会場は穂の国豊橋芸術劇場(プラット)のアートスペース、200席余のこぢんまりした空間なので演者との距離が近い。

開演時刻が来て場内が暗くなり、チリーン、チリーンと澄んだ鈴の音。微かな音からだんだんはっきりとして、やがて鈴を手に白い衣装の林さんが登場する。仏教の世界を描いている(と思われる)『四又の百合』にふさわしい、冷厳おごそかな空気が流れる。艶があって良く響く声が、人物によって声音を変え、聴衆を独特の境地に引き込んでいく。物語は実に賢治らしく、冒頭に出てくる、ありがたいお方の名からして”ショウヘンチ”(正徧知)という難解さ。話の最後は「二億年ばかり前、どこかであったことのような気がします」で終わる。地球ではないどこかほかの星の話?

休憩を挟んで、次はよく知られた『なめとこ山の熊』。林さんは賢治の作品から独特の音を感じると言われ、『なめとこ・・・』の場合はそれが琵琶、しかも薩摩琵琶だったそうで、それでこの作品を演じたいがために薩摩琵琶の師匠に弟子入りなさったそうだ。確かにとても効果的だった。

演じ終えて舞台から下がって行かれる足どりは、やはり年齢(八十代半ばくらいか)を感じさせるけれども、演じているときのエネルギッシュさや声の若々しく艶やかなこと。さすがプロフェッショナルだ。機会があったらまた別な作品を拝見したいと思う。



林さんが主宰する「クラムボンの会」のHPより