よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

カイトくんの「おとといきやがれ!」

少し日にちがたってしまいましたが、相棒のシーズン11が始まりました。新しい相棒のカイトくん(成宮寛貴)、Yahooのみんなの感想欄ではファンのみなさんの評価もまずまずのようです。成宮くんは優しい人の役も悪役も上手な俳優さんなので期待していましたが、キャラクターの設定も魅力的でなかなか良かったと思います。がっちり出来上がった相棒の世界の中に、違和感なく収まっていました。

ストーリーは2時間かけるほどの内容ではなかったように思いますが、最後のほうで取調べを受けている領事夫人の賀来千香子さんがさすがでした。石坂浩二さん演ずる警察庁次長に電話をして二人の過去の意味ありげな関係をほのめかし、周囲の取調べの刑事たちに暗黙の圧力をかけたシーンに、領事夫人の恐ろしい腹黒さを感じさせ単調な話に深みを与えました。

でも、一番の悪者領事夫人以上に私の印象に残ったのは、カイトくんが父親である石坂さんに対してついた「おとといきやがれ!」という悪態でした。久々にスカッとする歯切れの良い啖呵を聞きました。リアリティという観点で言えば、今時の若い人がこんな古めかしいセリフを言うはずはありませんが、私はなんだかこのひとことにすっかり魅了されてしまいました。あの言葉を今時の言い方にするとどういう表現になるのでしょう。電話でのシーンでしたから「二度と電話してくるな」。でもこれではあの場面の感じが出ないので「うるっせい」とか「余計な口出すな」とかになるのでしょうか。でもやはり魅力は全然違います。

いまや世の中全体で日本語の語彙がどんどんやせ細っていっています。一番の元凶は、落ちぶれたりといえどもまだまだ影響力の大きいテレビだと思います。だからこそ、テレビはその力の大きさを自覚して、タレントがアドリブで作るバラエティーは仕方ないにしても、せめてドラマや報道番組では日本語を豊かにする言葉を積極的に使って欲しいと思います。私はかねがね現実に忠実にするだけがリアリティではないと考えています。今どきの聞きたくない言葉遣いをフィクションであるドラマの中でまで聞かされるのは辛いです。昨年放送された『それでも生きていく』はとてもいいドラマだったと思いますが、登場人物のセリフがあまりにも現実に即しすぎていて聞くのが辛く、何度も挫折しそうになりました。もっとちゃんとした日本語にしても十分ドラマは成立するのにと残念に思いました。


育ちがいいけれど父親に反感を抱いていて、ちょっとやんちゃなカイトくん。そこはかとない男の色気も感じさせる新相棒と、彼のお父さんのような年齢の右京さんがこれからどんな活躍を見せてくれるか、楽しみにしています。