よんばば つれづれ

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思い出その2『徳川家康』、『逃げ水』

やっと10連休も終わり。世間の喧騒も収束に向かうだろうか。いや、まだまだ改元便乗ビジネスは続きそうな気もする。

 

さて、思い出しついでに、他社のブログサイトに書いた、音訳現役の頃のものを再掲。

 

 

2006年9月10日

三河にある点字図書館としては、 やはり『徳川家康』が蔵書になくては・・・ということで(大分以前にカセットテープの作品では作ったようだが)、現在山岡荘八の『徳川家康』全26巻を、 メンバー何人かで手分けして音訳している。

 

私は第4巻「葦かびの巻」担当。 これが私の音訳30作目。 10年目だから平均すると年3作。 ま、平均的なところだろうか。 一番多作だった年は10作ほど仕上げている。母がいなかった頃なので、休日は終日録音できたし、あまり調査も要らず、比較的読みやすい文章の作品が多かったということもある。

 

なのに、なんと去年はたった1作。 今年もこの「家康」が出来上がれば同じく1作になるが、 もし今年中に仕上がらないと初めてゼロを打つことになる。ううっ・・・。 現在本文は四分の三ほどまで進んでいるが、 巻頭に地図と系図があるし、 巻末には「徳川家康関係年譜」なんてものがくっついている! これがくせもの。どう音訳処理するか・・・。

 

カセットテープの時には巻頭に写真があろうが地図があろうが、 とにかくそれをなんとか処理しないことには進めなかったが、 パソコンによるデジタル録音の今、難しい部分や嫌なところは後で嵌め込めるので、 子どもの頃の夏休みの宿題のごとく、 やりにくいところはどんどんたまっていく。 したがって本文が8割近くできていても、 今年中に仕上がるかどうかは微妙なところ。

 

グループの掲示板を覗くと、 『「長束正家」はルビに「なずか」と有りましたが 新しい版では「ナツカ」.辞書類も「ナツカ」のみなので「ナツカ」にしました』 とか、 『会話文で「石田治少」「大谷刑少」とあるのは「イシダジブノショウ」「オオタニギョウブノショウ」と 読むんでしょうか』 などと難しい質問のやり取りが続いている。 みんな苦労してるんだ・・・。

 

図書館からは昭和42年発行の第一刷の本をいただいたのだが、 本屋さんで新しい版のを買うと、 人名などにかなりルビがあるという情報を得て買ったのはいいが、 巻末に年譜のおまけが付いているし、 ルビが結構あてにならなくてかえって悩ましいということも出てきた。 なかなか思うようには行かない。

 

私が携わった30作品の中で一番苦労したのは、 子母澤寛の「逃げ水 上・下」だろうか。 新撰組の隊士の名前がいっぱい出てきて、 有名どころ、過去のドラマなどの登場人物になったような人ならまだしも、 かなり下っ端の隊士まで出てきたので苦労した。 インターネットで調べると、 新撰組ファンの方のホームページがいっぱいあって、 いろいろな方の知識の深さに敬服した。

 

検索すると大抵のことは探せるが、 「よみ」まで触れているものは少ないので、 そんな時はメールアドレスがあれば問い合わせ、 多くの方にご親切なお返事を頂き助けられている。 またこの本(逃げ水)には漢文の白文が引用されていて青くなったが、 幸い校正者の旦那様にそちらの専門家がいらして、 書き下し文にしていただいて事なきを得た。 苦労したけれど、面白い作品だったし思い出深い。 自分の読書では決して出合えなかった楽しさを知った。

 

さて、母が部屋にひきとったので、 今夜も少し「家康」を読み進めるとしよう。 今年中の完成を目指して・・・。

 

 

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