よんばば つれづれ

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映画『僕のワンダフルライフ』と攻めるTBS

猫の次は犬、という訳ではないけれど、今度は三度生まれ変わる犬が主人公の映画『僕のワンダフルライフ』を観た。『ボブ・・・』の時の予告編で目にしてはいたが、特に見ようとは思わなかった。ところが、例によってSPYBOYさんの素敵なレビューに接し、しかもラッセ・ハルストレム監督の作品と知って、がぜん観たくなった。

『選挙前のニュースあれこれ』と映画『僕のワンダフル・ライフ』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)

 

 

ラッセ・ハルストレム監督は『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』で知った。あまり恵まれているとは言えない境遇に置かれたイングマル少年が、人工衛星に乗せられ宇宙を旅することになったライカ犬とわが身を引き比べながら、つらいことを乗り越えていく物語だった。

 

スター・ウォーズやインディー・ジョーンズなどの派手なハリウッド映画全盛だった80年代の、スウェーデン製の地味な映画だ。けれどもこの作品は高く評価され、ハルストレム監督はこのあと世界を舞台に活躍するようになった。

 

ハルストレム監督作品は、『ギルバート・グレイプ』『サイダーハウス・ルール』『ショコラ』など、つらい境遇に置かれた主人公の物語が多い。しかも幸運な展開や大逆転があるわけでもなく、けっこう試練の多い日々がたんたんと描かれることが多い。それでも、見終わったときにじんわりと「思うようにならない人生だけど、生きるって、まんざらじゃないな」と思わせてくれる。

 

今回の『僕の・・・』は犬が主人公。「ワンダフルライフ」は、この犬にとってのワンダフルライフなのだ。でも、ハルストレム監督作品の主人公だもの、捨て犬だし、保護施設からもらい受けてくれた里親には、帰り道で早速暑い車内に置き去りにされ、あやうく死にそうな目に合わされるという不幸ぶりだ。

 

その危機から救ってくれたのは、少年イーサンとママだった。イーサンと幸せな日々を過ごし、二人(一人と一匹)は固いきずなで結ばれる。

 

青年になったイーサンを襲う不幸。やがて人間よりはるかに寿命の短い犬には、定めの別れの日が来る。でも、犬は挫折したイーサンが心配でたまらない。イーサンを思うあまり、彼は三度も生まれ変わる・・・。

 

途中ちょっと心配なシーンもあるが、ちゃんと犬に危険はないように撮影されているそうだ。そうして、たぶん・・・と思う経過で落ち着くところに落ち着くのだけれど、かわいらしくけなげな犬を楽しみ、心を洗う涙にくれて、大満足の1時間40分だった。

 

 

今日はこれだけで充分なのだけれど、このところ果敢に攻めているTBSに敬意を表して、ぜひとも触れておきたい。昨夜の『池上さんに教えてもらう前と後』という番組だ。

 

池上彰さんが選んだ6枚の写真から見えてくるタブーということで、北朝鮮金正恩一族のコンプレックス、中国の驚くほどのキャッシュレス化などの紹介のほか、「富士山の上空はどこのものか?」と問いかけ、横田制空権の範囲内なのでアメリカのものだと紹介した。そのため大阪や福岡に向けて羽田を飛び立った飛行機は、あえて東方向に飛んだあとターンして、その制空権を避けて飛ばねばならないことを説明した。

 

このほか、北の挑発に対しミサイル迎撃システムPAC3を広島に備えたため。広島は再び核の危険にさらされていることや、過去に使用された迎撃システムの驚くほどの命中率の低さや、命中した場合の破片の危険などに言及した。

 

オーストラリアの潜水艦の写真は、一部分をアップすると「MITSUBISHI」の文字が見え、日本製であることがわかる。池上さんは、日本政府はいまや武器輸出を「防衛装備品の移転」と言い換えて輸出に力を入れ、隠れた軍需大国だと紹介した。

 

このことについての街頭インタビュー風景に「えっ三菱が武器輸出?株買おうかな」と言う男性がいて、横にくっついていた女性も「上がるよね」。皆が皆ではないだろうが、いまの若い世代はこういう感覚かといささか衝撃を受けた。

 

このほか、国連の議場で、核兵器禁止条約に反対した核保有5大国の席に、被爆国日本の人々から折り鶴が置かれたニュースに触れ、アメリカの核の傘に守ってもらっていると思っている日本が参加しなかったことも紹介し、これでいいのかと疑問を提示した。

 

先日の林修先生の歴史教科書の番組といい、昨日の番組といい、

yonnbaba.hatenablog.com

 

この時期にこのような番組を放送するTBS(制作はどちらもMBS)には、大いに敬意を表したいと思う。どちらもバラエティーあるいはとっつきやすい娯楽情報番組として作られているところに非常に価値があると思う。政治は自分と関係ないと思っている人たちが、こういう番組を見て、政府というものは、知らないところでこんな恐ろしいことをするものなのか、と気づいてくれるといいなあと思う。

 

 

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