住み開き第4回目と防災訓練でHUGをするの巻
日曜日だというのに、午前9時半からの校区の防災訓練に参加しなければならず、朝のノンビリブログ訪問もできず、隣の小学校の体育館へ。案内に「暖房がありませんので服装にご留意ください」とあったので、しっかり着込んで。予定では2時間の長丁場だ。
防災訓練というからには動きのある内容だと思い、午後は「よんばばんち」の日なのでなにか電話が入るかも知れないと思ったがスマホは持たず、ポケットにハンカチのみ入れて、手ぶらで出かけた。
ところが体育館に行ってみると、会議テーブルでいくつもの島を作り周囲に7、8人分の椅子が並べてある。受付で名前を言うとすでにグループ分けが決まっていて、所定のテーブルに行くようになっていた。
関係者の挨拶と地区の「避難所開設要員」の紹介のあと、市の防災リーダー養成講座を受講した方からプロジェクターを使ったその報告があり、そのあと今日のメインのプログラムと思しき「避難所運営ゲーム」が始まった。市の防災危機管理課員のゲームについての説明が長くて少々だれたけれど、始まってみたらこれが結構面白かった。
大地震が起き地域の住宅は全半壊多数、被災した人々が避難所になっている小学校の体育館に避難してくる。グループのリーダーが次々読み上げる「避難してきた住民の内容カード」に合わせて、スタッフである私たち参加者がどんどん場所わりなどを考えて対応していくというものだ。
避難者のカードは世帯数で200ほど、人数にすれば何百枚分もあり、内容も90代の認知症の親と一緒、犬を連れて避難、引きこもりの息子がいる、全盲で盲導犬と一緒、カナリアだの猫だのペットの種類も様々。子供がぜんそくの発作を起こしていて、受診の必要がある、外国人家族、旅行途中で被災し帰宅困難になった団体、テントを持って来たのでそれを張りたい、風邪で熱があり咳も出ている・・・とさまざまで、グループのメンバー7人頭を抱える。
途中途中で200人分の毛布が届けられます、場所を確保してくださいとか、ポータブルトイレ何十個が搬入されます設置場所を考えてくださいとか、トイレが山盛りになっています処理してください・・・などの課題も入る。
そんな混乱の中、「首相が視察に来ることになりました、受け入れますか」には、メンバー全員「お断り!」と即答だった。
ニュースでどれほど目にしたか知れない避難所で、いろいろ大変だろうなと思ってはいたが、今日のこのゲームをしてみて、東北の方々、熊本の方々は、こうした大変な困難を切り抜けながら避難所を運営していらしたのだなあと、改めてそのご苦労の深さに思い至った。
そして、避難所を運営する主体となるのは地域住民なのだと言われ、いままで何となくそうした事態に陥った時、避難する住民は「お客様」意識でいた自分に気付いた。運営に参加はしても、それは「お手伝い」だと思っていた。
これまで防災訓練というと、ほとんど「逃げる」ことで終わっていたのが、このところの大規模災害の連続で、「逃げる」ことが終わったあと長く続く避難所生活の運営の大変さに焦点が移っているのを感じた。
このゲームは静岡県で考案されたのだそうだ。「hinanzyo unei game」の頭文字をとってHUG(ハグ)と名付けられたのだという。やってみるとなかなか面白く、けれども躊躇うこと判断に迷うことの連続で、非常に役立つと感じた。面倒くさい説明を長々とするより、まずはやってみて、そのなかで段々に理解させていくのでも十分できるように思った。そうして救急救命と同じで、一回やって知っているからではなく、何回か繰り返して行って問題点を順次解決していくことで、地域の防災能力を向上させることができると感じた。
予定を少しオーバーして、後片付けを終えて帰宅するとほとんどお昼だった。手早く昼食を終え、午後は「よんばばんち」。こちらは今回超おしゃべりな参加者があり、私がうまく仕切りきれなかった恨みが残る。
今回、私はこんな社会状況だからこそあえて、「明るい未来を想像しよう」というテーマにしていた。アスリートがイメージトレーニングをするように、日々心塞ぐようなニュースばかりだからこそ、明るい未来をイメージし、そこを目指そうよ!と思ったのだが、あまりそちらには発展せず、語りたい人の得意分野の話や、またしても現在の問題点の話になってしまった。そもそも私自身、この場はあまり政治的にするつもりはなく、ゆるい語りの場で良いと思っているのだけれど、参加した方たちがどのように受け止められたかが少々気になる。
先日のNHKスペシャル「マネーワールド」のラストで、アメリカの大富豪が口にした、「小さなヨットにいる人たちの方が、もしかしたら(超豪華ヨットの)私より楽しんでいるかも知れないね」という価値観の世界の話なども、もっとできたらいいなとは思う。
午前中の防災訓練でも、阪神淡路の震災の時、消防や警察などに助けられた人よりも、地域の救助で救われた人の方がはるかに多かったという報告があった。緊急時には、もしかしたらどんなにお金を積んでも、おにぎり一個が手に入らないかも知れない。世の中が順調に回っているときには、現代はお金さえあれば大抵のことは解決できるかもしれないけれど、緊急時には身近な人と人の繋がりや信頼がモノを言うように思う。
静岡県のHUGの紹介ページ: