横浜の病院で起きた事件、点滴の液にどれくらい混ぜたのか知らないけれど、その混入で命が奪われてしまう恐ろしい界面活性剤。ちょうど我が家の息子たちが思春期の頃に、その界面活性剤が環境ホルモンの一種でもあると問題になり、毎日朝シャンする彼らへの影響を考え不安になったのを思い出す。
その後そうした体や環境に悪いものを使っていないというシャンプーに出合ったが、かなり値段が高いことや、購入方法が面倒だったことから、いつの間にかまた普通のシャンプーに戻ってしまっていた。
私はもともと細くてボリュームのない髪質なのだけれど、年齢とともにますます頼りなくなり、ただでさえ広かったおでこがいっそう広くなってくる気がして、3年ほど前に思い切って石けんシャンプーに切り替えてみた。
そうしたら、明らかに洗髪の際の抜け毛の量が減った。20年以上前に一度石けんシャンプーにしたことがあったのだが、あまりの使い心地の悪さに諦めざるを得なかった。それ以来いくら体や環境に良くても、石けんシャンプーは無理と思い込んでいたけれど、世の中は着実に日進月歩していた。
3年前から使い始めた製品は、一般的なシャンプーと同じ使い方で、専用のリンスを併用すればとくにギシギシした感じもなく洗い上がる。髪もいかにも健康的な感じがして自分では大いに満足していたが、美容院で「傷んでいるからトリートメントした方がいいですよ」と言われ、それからずっとシャンプーのたびに洗い流すトリートメントを使って来た。
たしかにトリートメントをすると髪のつやや手触りは格段に良くなるのだけれど、なんだか抜け毛の量は元に戻ってしまったような気がしていた。石けんシャンプーや専用リンスは、ボトルの裏の成分表示を見ると実にシンプルで種類が少ないのに、トリートメントは怖ろしいほどカタカナだらけの難し気な名前がビッシリ並んでいる。
考えてみたら、これではせっかく石けんシャンプーに変えた意味がないと思い、トリートメントはやめることにした。そのかわり、つややしっとり感が欲しい時には「椿油」を使うことにした。
この椿油がまた、非常に成分シンプルで安心、しかも使い心地も良い。なんとなくベッタリしそうで敬遠していたのだけれど、なぜトリートメントなどに手を出さず初めからこれを使わなかったかと悔やまれるほどだ。そうして、みごとにまた抜け毛は減った。
洗剤だったかシャンプーの工場で、原液を運んでいた作業員が転んでその液を大量に浴びて亡くなった事件すらあるというほど、合成洗剤は怖ろしいものを使っている。あのビートルズでさえ洗髪は一週間に一度だったという昔と違い、現代はほとんどの人が毎日のように髪を洗う。短い時間ですぐ洗い流すものだけれど、実際に毛の抜け方がはっきり分かるほど違うのだから、かなり影響はあるのではないだろうか。
もしかすると現代人は、ツヤツヤで指通りなめらかになると思い込まされながら自分の髪を傷め、それを防ぐためにトリートメントを使わせあられ、あげく薄毛になって増毛剤や増毛法やかつらのお世話になる羽目に追い込まれているのかも知れない。それでなくてもストレスの多い社会で、髪には過酷な環境なのに・・・。
せっけんシャンプーとリンスのシンプルな成分
対照的なトリートメント