よんばば つれづれ

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企業泣かせのクレーマー、じつは高齢者

数日前になるけれども、日経電子版に近頃のクレーマーの話が載っていた。いまやお客様は神様ではなく、自分の会社の社員が理不尽な顧客によって壊されてしまわないように、自衛しなければいけない時代になったのだそうだ。

ネットでは、コンビニやボウリング場などで従業員に難癖をつけて土下座をさせ、その様子を動画にとってインターネットにアップし、逮捕されるケースも出てきている。けれども日経の記事によれば、近頃のメールや電話で企業のお客様相談センターなどに文句を言ってくるクレーマーはもっと巧妙悪質になっていて、相談窓口の担当者が精神を病んでしまうことは少なくないと言う。

そしてもっと驚いたのは、そうしたクレーマーの中心をなしているのが65歳以上の高齢者だということだった。特に退職して時間を持て余している団塊世代が結構多いらしい。なかには、不良品の指摘に対し新しい商品と交換しても、なぜ不良だったのか原因をきちんと追究し報告書を提出しなさいと要求する人もいるそうだ。電話口で、まるで在職中に自分の部下を追及する口調で延々と問い詰めたりするのだそうだ。


そうした苦情に対応している人々の多くが、クレーマーとなっている高齢者はおしなべて寂しい人たちだと感じているという点も興味深かった。時間を持て余し、ひとりを持て余し、企業のコールセンターの担当者相手に、製品にいちゃもんをつけて会話をすることで寂しさを紛らす・・・なんて情けなく悲しい図だろう。


亀の甲より年の功とかお婆ちゃんの知恵袋とか年寄りをたたえる言葉があるように、古来高齢者はそれまでの人生の中から若い者には分からない多くのものを得ていて、悩んだ時困った時に助けてくれる存在だった。それなのに、いまや高齢者優遇の制度の中、やたら長生きして国の社会保障費を増大させるだけでなく、こんなとんでもないお荷物にもなっていたとは・・・。現代の高齢者が尊敬されないのも仕方がない気がしてくる。


団塊世代と言えばかつて学生運動に情熱を燃やした世代だ。エスカレートし、方法はとんでもなく間違ってしまったが、そもそもは体制の在り方に疑問を持ち、理想を求めて立ち上がり闘ったはずだ。就職するとほとんどの人が見事に「転んで」従順な企業戦士になってしまい、まあその結果日本の高度経済成長があったわけだけれど、身過ぎ世過ぎのためにお金優先に生きるうち、大事な精神まで売ってしまったのだろうか。

行動を規制される組織や役職から解放され、時間にゆとりのできた今こそ、再び世の中のために働くことのできるチャンスではないか。かつてより経験も積み、知識も知恵も増えた。今度こそ、以前のような性急で愚かな間違いをせず、長い老後を使って穏やかに息の長い活動をしていくことも可能なはず。


体制に反発し、慣習を疑い、既成の価値や秩序を手当たり次第に打ち崩してきたのが団塊世代だ。でも壊しただけで、まだまるで新しい秩序を創りだしていない。そのためにいまや家庭も地域も学校も、そうしてこの国そのものも、お手本がないまま、行くべき方向を見失いオロオロし続けている。


団塊世代よ、もうひと頑張りしてほしい。変革を、ウェーブを、創り出せる人たちのはずなのだから!



私はその直後のいわゆる「しらけ世代」とか「三無主義(無気力、無関心、無責任)」とか呼ばれた世代だけれど、数年早く退職したので今リタイア人生を同時に生きている。微力ながら自分のできる範囲で世のため人のために働きたいと思っているけれど、周囲は70代以上の方がほとんどだ。このまま後を引き継ぐ世代が出てこないと、消滅せざるを得ない団体も出てくるだろう。こうした社会活動まで、あなたがた団塊世代が壊し去るとは、まさか言うまい・・・と信じたい。