渡辺謙さんがトニー賞を逃した。ちょっと残念だけれど、ノミネートされたことだけで十分すごいと思う。
あのブロードウェイ(って、まるでよく知ってるみたいだけど)で、対象期間中にどれだけの数の作品が演じられているのかも分からないが、でもとにかく、5人しかノミネートされないんだもの。
それなのに、トム・クルーズの『ラストサムライ』に出演が決まった時点まで、ほとんど英語が喋れなかったという渡辺謙さんが、55歳で異国でミュージカルに挑戦するというだけでも大変なことなのに、最高に権威ある賞にノミネートされたのだ。
しかもこの『王様と私』の王様の役は前に演じたユル・ブリナーの印象があまりに強烈で、それを打ち破って新たな喝采を得ることは本当に大変だったろう。プレッシャーと戦いながら、ニューヨークのアパートで自炊の独り暮らしを続けた強靱な精神力にも感心する。今後の活躍もさらに楽しみだ。
もうひとつ、ちょっと残念だったけれど、嬉しいニュース。去年20歳になった女子大学生が、12月の衆議院選挙で初めての投票だと勇んで投票所に行ったのに、選挙人名簿に記載がなくて投票できず、国を相手に訴訟を起こしたというもの。
昨夜のニュースで伝えていたので聞いた方も多いと思うが、通学の便を考えて転居したばかりだった彼女は、3か月以上住まないと新しい住所地で投票できないルールを承知していて、投票日には、わざわざ前に住んでいた三鷹市の投票所まで足を運んだ。それなのに、門前払いだったのだ。
初めての選挙に備えて、事前に各政党の主張を調べるなどして真剣に考え準備していたというだけに、彼女の落胆はさぞやと推察される。
選挙人名簿の更新時期と、新成人の誕生日のタイミングによってこうしたことが起きることは避けられないというのだけれど、現代のコンピュータ・テクノロジーをもってすれば、このような漏れを発生させないシステムなど簡単にできそうなものだ。要は、役所の側にやる気がないだけではないか。文句を言われなければ、たとえわかっていてもわざわざ面倒(仕事)を掘り起こさない。
彼女は、「初めての選挙ができずショックを受けました。若者の投票意欲が低いと言われるなかで、国がみずから若者の投票意欲を低下させるような制度を放置しているのは本当におかしいので、すぐに対応してほしい」と話している。国に対し20万円の損害賠償を求めているそうだが、訴訟費用の方が高いのではないか、カンパしてあげなくていいだろうか、と心配してしまう。
おかしいことはおかしいと、しっかり声に出すことができる頼もしい若者に、ちょっと、いえかなり、嬉しくなりませんか?
おかーさん、ゴアン!
ちゃんとテーブルについて待ってます。
しっかり要求を声に出してます、タノモシイ?