よんばば つれづれ

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池上彰さんの心を打つ話

日経新聞サイトで池上さんの教養講座『今じゃない、人生に役立つ学び方』を読みました。人生の三分の二以上が過ぎてしまって今更人生に役立つって、と自分に突っ込みを入れつつもどうしても読まずにいられない興味を覚えました。

東工大で池上さんの講義を受けている学生さんたちが、もっと早い時期に「人生について相談できる場があったら」と思い、中高生を対象にした池上さんの講演の企画を学祭で実現したのだそうです。参加した中学生や高校生の質問も大変真摯で質も高くて驚きますが、彼らの質問に答える池上さんの言葉が学ぶことの本質をとらえていて心を打ちます。

日本で一番頭がいいことを証明するために東大の理科3類に行く、その人たちがバブル景気のとき、一番収入のいい外資系証券会社の会社説明会に大挙して出席したそうです。〈医学を志して人の命を助け、弱い人の力になるということには関心がなく、「学力日本一」を示したくて医学部に入学していただけだから、その学力を利用して金もうけをする道を選ぶことにもこだわりはなかったのかもしれませんね〉と池上さんは評しています。

リーダーの条件、やりたいことがまだ分からない場合の進路など、中高生のひとつひとつの質問に答える中に池上さんの人間性が現れ、なぜこの人に多くの人々が惹かれるのかが分かるような気がします。きっと、説明が分かりやすいからだけではないものがあるからだし、そもそも多くの人に分かりやすく解説するのは簡単なことではありません。おそらく技術だけでもできないでしょう。

多感な中学時代は「進学率のいい高校へ」、そしてその高校では「いい大学へ!」。そんな学問に疑問を感じてへそ曲がりな私は周囲の本流に逆らうような道を選んでしまいましたが、のちに自分自身子供たちの学ぶ仕事に関わって、想像力を深めたり広げたりするためにこそ学ぶ、よりよく生きるために学ぶのだと気づきました。吸収する能力の高い時期になぜもっと学ばなかったかと後悔しきりです。池上さんのこの講義のような話を私も中学生の頃に聞きたかった!でも愚かで怠け者の私はそれでも目を覚ますことはできなかったかもしれませんが・・・。

何かを始めるのに遅すぎることはない、とも言います。ともかく、人生の三分の二を過ぎていようが五分の四を過ぎていようが、学ぶ姿勢を持ち続けたいと思います。