またいっちょうあがり、ヘンテコ日本語
「ヨアライしなくていいんです」とテレビから聞こえてきました。ええっ!?という感じで大急ぎで画面を見ると、国分太一くんの台所洗剤のコマーシャルです。ものすごく汚れた一枚のお皿を食器洗浄機に入れ、そのメーカーの新しい洗浄機用洗剤が、見事に汚れを落として見せるというものでした。
ヨアライは「予洗い」でした。この言葉、私はこのコマーシャルで初めて聞いたと思ったのですが、私が知らなかっただけで、普通の言葉なんだろうかとネットで検索すると、このCMだけでなく、シャンプーのサイトやら洗濯に関するサイトが出てきました。でもやはりおもに年配の人たちで、この言葉に違和感を感じている方々もいるようです。
食器洗いにしろ衣類の洗濯にしろ、汚れがひどい時は「下洗い」をするものと思っていました。ヨアライという言葉の前に、おそらく洗濯機のコース洗濯ボタンなどに、「予洗」なる熟語が以前から使われるようになっていたのでしょう。「prewashing」に当たる言葉として「下洗い」では送り仮名が必要だしスッキリしない(もしかすると『下』という文字も嫌われた?)ということで「予洗」が生み出されたのではないでしょうか。
だいたい経緯は想像が付きますが、それでもやはり音として聞こえてくるヨアライにはぞっとしてしまいます。洗濯機や食器洗浄機のボタンならいざ知らず、影響力の大きいテレビのコマーシャルで、わざわざヨアライなる言葉を使う必要はなかったのではないでしょうか。それとも、こうした論議が巻き起こり評判を呼ぶことまで計算していたのでしょうか。
どちらにしろ、こんなにも日本語の語感に鈍感なメーカーは好きにはなれません。