よんばば つれづれ

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こっぱみじかい恋

今日もまたGyaO!で映画鑑賞。作品は「夜逃げ屋本舗」です。当時随分ヒットして続編ができたりテレビドラマにもなったりしたようですが、私は本日お初にお目にかかりました。

なんと言っても女性たちの髪形やメイクが時代を感じさせます。後の時代から見るとこんなにも流行っていうのはくっきりと分かりやすいものなのかと改めて思いました。バブル期のファッションですが、そろそろ時代はあぶくがはじけ出している頃でしょうか。派手な生活が癖になってしまった人たちが、徐々に今までのようには景気よくお金が入って来なくなって、借金まみれで挙句破産していく、それをうまく夜逃げさせてあげましょうというお仕事の話です。

中村雅俊演じる源氏社長の率いる夜逃げ(させ)屋集団が、フィクションとはいえまあ、プロフェッショナルでカッコイイ。でもその上を行くような信販会社の不良債権処理部門の凄腕秋川部長(大竹しのぶ)によって、だんだん彼らは追い詰められていきます。

最後のシーンで債務者たちの自己破産が続々と報じられるのは、結局源氏社長側の勝利ということでしょうか。しかもエンドロールの前に「自己破産みんなですればこわくない」というテロップが出ます(でもこれはジョークだと思いたい)。

源氏が秋川に向かって「貸さない優しさもあるんじゃないのか?」という言葉は正しい。宮部みゆきさんの『火車』を読んで、いかに借金地獄に落としていくサラ金の手口がひどいものかも知りました。それでも私は秋川部長の「借りたものは返すのが人間の守るべきルール」という言葉に頷きます。返せそうもないものは借りちゃいけない。だいたいお醤油やみりん(昔は近所同士でこういう貸し借りがあった)は借りてもいいけど、お金は借りちゃいけません。入った範囲で暮らさなきゃいけないんです。足りなければもっと稼ぐ算段をすべきで、今日借りなきゃ暮らせない人が、明日返せる訳がないのです、どだい。

こんなことを感じながら見ていたら、エンドロールで流れ始めた曲は、あら懐かしいKANさんじゃありませんか。長男がKANさんのファンで、高校生の頃にそれはそれはよく聴いていました。私はもれ流れてくるのを聞くともなく聞いていただけですが、覚えているものですね。すぐKANさんだ!と分かりました。曲は「こっぱみじかい恋」でした。


懐かしいなあ。我が家のプチ・バブル期(長男命名)。離婚して悩みから開放され、思春期の息子たちとちょっとおしゃれな貸家で憧れのモダンな生活。私の運転する車でよくレンタルショップにCDやビデオを借りに行き(必ずちゃんと期限内に返しましたよ)、ビデオはみんなで見て(テレビはリビングだけという考えでした)音楽はそれぞれの部屋で好みのものを聴いていました。ふたりとも私とよく喋ってくれて、まだまだ母親業真っ最中でした。

近頃は何がはやりの音楽かも分からず、どの曲を聴いてもあまり変わり映えしないように感じ、歌っている人の顔さえもあまり区別が付きません。70、80になった時もう60歳の頃をぱっーと思い出させてくれるような音楽がないということになるのでしょうか。なんだかちょっと寂しい気がします。