よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

DAISYコンソーシアムの思い出

音訳という作業を離れてから久しく忘れていたDAISY(デイジー)という言葉。Digital Accessible Information Systemの略称だ。過日セネシオ(id:cenecio)さんが私のコメントに触れて取り上げてくださったことで、頭の隅で埃をかぶっていたのを取り出した。

 

昔この音訳という活動に携わっている人を紹介した新聞記事を読んで、「音訳」というボランティア活動があることを初めて知り、興味を持った。たまたましばらく仕事をしないことになったので、好機到来とばかり、市内の点字図書館の音訳初級講座を受講した(月平均二回ある平日の日中の講座を一年間受講する必要がある)。

 

この時点ではまだ活動は全てカセットテープへの録音だったが、講座の中で講師からデジタル化が始まりつつあることが紹介され、合成音声による読み上げソフトの読み上げ事例も聞かされたが、まだまだ非常にぎごちないもので、とうてい長時間の聴取に堪えるレベルのものではなかった。

 

一年間の講座を修了したうえで実際の録音図書づくりの活動に入るには、当時4、5万円程度だったカセット録音機(音訳活動用にSONYが開発した高性能の物)や専用マイクロフォンを自前で用意するか、点字図書館の録音室(2ブースあった)を予約して利用するかだった。

 

こうした活動を何年かするうち、それまでのカセットテープの作品をパソコンに取り込んで、CD化する「編集」という活動も加わるようになり(それまで音訳活動には、読んで録音する制作者と仕上がったものを聞いて間違いを指摘する校正者とがあった)、多くはそれまでの読み手が並行して編集作業もするようになった。

 

そのアナログ音源をパソコンに取り込むソフトが、DAISYコンソーシアム(1996年に日本・スウェーデン・イギリス・スイス・オランダ・スペインの6カ国を中心に結成され、現在は約50か国が参加している)が開発したSigtunaというものだった。

 

録音図書のデジタル化は国の方針でもあったため、まだ当時はかなり高価であったパソコンが点字図書館に何台か配布されて、私たちはそれでなくても不慣れな(その頃まだ一般家庭でパソコンを持っていることはまずなかった)パソコンで、しかもサイズの大きな音声ファイルを扱い、今では考えられないようなスペックの低いパソコンが、しばしばご機嫌を損ねてフリーズしてしまうのと格闘した。

 

この時に、なにか国の方針が決まって予算が付くとどっと必要な機材は配布されるが、そののち修理などのメンテナンスの費用が付くことはいっさいなく、寿命が来た時に買い替えの予算もない(したがってデジタル化を続けるには、ボランティア自ら官民の助成金を取得するなどしなければならない)ということを思い知った(当たり前のことながら、こんなところまでやはり政治はつながっている)。

 

やがてDAISYの目指すデジタル化は、視覚障害者のためのカセットテープのCD化にとどまらず、聴覚障害者やディスレクシアの人たちにも対応するマルチメディアの製作に向かい、その技術習得のためボランティアメンバーを代表して、私は東京での一泊二日の受講を仰せつかったりもした(この費用も点字図書館からというか、国からの予算)。

 

この講座の中で初めてディスレクシアという障害を知り、トム・クルーズもそうだったという話を聞いた。そしてすでにアメリカでは、そうした子供たちも不自由せずに学べる教科書が作られていることを知った。

 

DAISYコンソーシアムの目指す、全ての出版物がリリースの時点からマルチメディアになり、どんなハンディキャップを持つ人もタイムラグなしに新しい出版物に触れることができ、子供たちが障害にあった方法で楽しく学べる時代が到来したら、どんなに素晴らしいだろうとワクワクした。

 

携帯電話が驚くほどの進化を見せたのに比べ、儲けにつながらない分野の歩みはやはりもどかしく感じるが、それでもやっぱり世界は少しずつ良い方に向かってはいる、と信じたい。

 

日本DAISYコンソーシアム

http://www.normanet.ne.jp/~jdc/index.html

 

DAISYコンソーシアム

http://www.daisy.org/home

 

日本障害者リハビリテーション協会

http://www.jsrpd.jp/index.php

 

 

yonnbaba.hatenablog.com

 

 

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あたしたちもたまに「にゃーん」って鳴いちゃって、録音の邪魔したっけね・・・。