よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

アフガニスタンが近くなる『ソルハ』帚木蓬生著

ちょうど、少し前にペシャワール会から会報が届き、少雨と闘う中村医師たちの奮闘ぶりを読んでいたが、これはそのアフガニスタンを舞台にした、ビビという少女の成長物語だ。

 

ビビが5歳の頃の豊かなカブールのバザール(市場)の思い出から物語は始まり、希望にあふれて入学した学校で、ビビはロケット弾の砲撃によってクラスメートを失う。ソ連軍の去ったあとのアフガニスタンは、いくつもの勢力がひしめき内紛が絶えない状態だった。

 

やがてタリバンが制圧し紛争はなくなるが、コーランをねじ曲げて自分たちの都合の良いように解釈して圧政を敷くタリバンのために、女の子であるビビは学校に通うことが許されなくなる。大人の女性は目以外をすっぽり覆うブルカの着用を義務付けられ、男性の付き添いなしに外出することもできない。闘いこそなくなったものの、音楽も踊りも禁止という窮屈な暮らしを強いられる。

 

そうした中、タリバンの目を盗んで中学生の女の子たちに勉強を教え続けていたビビの母親は、タリバンに殺されてしまう。父親のもう一人の妻レザと、ビビの兄にあたるレザの息子たちと、母親の遺した教えに従って学ぶ意欲をなくさずに成長するビビが、15歳になるまでの日々を主にビビの視点で描く少年少女向けの物語だ。

 

始めのうちは子供向けの語り口に少々もの足りなさを覚えたが、一時期ニュースでしょっちゅう耳にしていたものの、私たちにはあまりなじみのない文化習慣のアフガニスタンという国が舞台なだけに興味をひかれ、だんだん物語に引き込まれていった。

 

「あとがき」で著者は、身近にいたアフガニスタンからの農業研修生の女性ライラを紹介する。ちょうど物語の主人公ビビと同じくらいの年齢のため、同じような社会的背景を持っていて、彼女は戦闘によって荒れ果てた故郷に、日本で学んだことを生かして昔のように、ザクロを始めとする豊かなフルーツの実りをもたらしたいと言う。

 

この実在のライラの登場は読者にいっそうアフガニスタンを近く感じさせるし、そのあとに収められた30ページにわたる「アフガニスタンという国」には、アフガニスタンや同じように紛争や混乱に直面している国に、日本がどんな援助をすべきかという著者の思いがあふれている。

 

イスラム教もアフガニスタンという国も、言葉としてはアメリカの同時多発テロ以来いやというほど耳にしているけれど、本当に知る機会は少ない。物語として楽しみながら、そこに暮らす人々の普段の暮らしぶりや考え方に触れられた。お子さんのいる方なら、一緒に読んで感想を話し合ってみるのも良さそうだ。

 

 

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例のごとく、お料理は写真に撮るのも忘れて、一晩で回復した胃袋の中へ・・・。

かろうじてデザートのみ撮影。本日の友人とのランチ会。