よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

電話リレーサービスの話

今朝のNHKのニュースで紹介された話。ご覧になった方も多くいらっしゃることだろう。

 

聴覚障害の女性が、買い物に行った先で、夜の10時過ぎキーを車内に残したままドアをロックしてしまった。助けを呼びたくても電話はできない。誰かに頼もうにも、夜遅くて周囲に人もいない状況で、寒いし心細いしでとても困ったそうだ。

 

次に紹介されたのは聴覚障害のご夫婦。18年前、妊娠中の奥さんが予定より早く産気づき、今にも生まれそうになった。救急車を呼ぶか迷ったが、時間は真夜中で近所の人にも頼めず、病院にFAXを送ったものの、返信はない。結局、自宅で出産することになった。幸い赤ちゃんは無事に産まれたが、18年たった今でも、電話ができない態勢が変わらないことに不安を感じ続けているという。

 

こうした聴覚障害の方々の不便を解消するため、2013年に「電話リレーサービス」という団体が生まれた。これはパソコンやスマホのテレビ電話で、手話通訳者が間に入って当該機関に電話連絡を入れてくれるというサービスだ。

 

ところがこれは民間の試験的な事業で、対応時間も午前8時から午後9時までだ。対して、アメリカやイギリスなど世界20か国以上では、こうした電話リレーサービスは国が整備する公共サービスで、その多くは24時間対応で運営されているという。

 

昨年10月奥穂高聴覚障害者3人組のパーティーが遭難した。警察や消防に直接電話ができない中、頼ったのが、この民間の電話リレーサービスだった。オペレーターに連絡が寄せられたのは午後5時半。日暮れも近く、事態は緊急を要していた。


大至急救助を要請する必要があるが、現在の民間の事業では、110番や119番への通報は取り次がないことになっているのだそうだ。万が一、手話を誤って伝えた場合の責任を負いきれないためだという。


取り次いだオペレーターは、悩みながらも、命に関わると判断し、遭難した場所や状況を逐次、長野県警に連絡した。サービス時間外の夜中0時過ぎまで対応し、翌朝の救助につないだ。その結果、寒さで衰弱した50代の女性1人は亡くなったが、男性2人の命は助かった。



全日本ろうあ連盟 小椋武夫理事
「公共インフラとしての電話に、ろう者はアクセスすることができません。
アクセスすることができないということが、社会参加や日常生活の障害になっています。」

 

慶應義塾大学 川森雅仁特任教授
「緊急通報ができないというのは、その人の生命に関わることです。
まだ確保されていない、保障されていないことは、人権的にも問題があると思う。」

 

どうも日本では「福祉」はいまだに「お上からのほどこし」。特に福祉政策の一番おおもとに関わる方々に、その意識が強いように思う。どんな条件のもとに生まれた人も、等しく自由に快適に人間らしく生きる権利があり、それを保障するためにあるのが福祉なのだという認識がない。だから「生産性云々」という言葉も平気で発してしまう。

 

 

かつて日本は儲けすぎて世界中から責められた時代もあったのに、なぜこんなにも貧しい三流国のまま来てしまったのか。やはり弱い立場の人の当然の権利に、無頓着な国民が多かったからではないだろうか。これから坂を下っていく時代、よほど心して声を上げ要求しなければ、どんな悲惨なことになるか。

 

弱い立場の人達への想像力をなくさないようにしたいものだと思う。人生何が起こるか分からない。今関係ないと思っている人でも、いつ弱い立場に立たされるかしれないという想像力も持ちたい。

 

 

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かみさま、おねがい・・・。  (かわいい子猫ちゃん、ウェブ上からお借りしました)