よんばば つれづれ

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「当日は私服でおいで下さい」って?

いつも拝読している神永曉先生の「日本語、どうでしょう」で、「私服」ってどんな服?として取り上げていた。 

 

japanknowledge.com

 

えっ?「平服」でなく「私服」で?そんな言葉遣いをするのだろうかと思い検索を掛けてみると、たくさんヒットした。おもに就職活動の面接の説明の場面で使われているようだ。全然知らなかった。

 

「みんなおんなじ」になってしまうリクルートスーツでなく、その人らしさの表れた服装をしてほしいという意図だろうか。それにしてもなんだかスッキリしない表現だ。私だったら、こんな言葉遣いをする企業の試験を受けるのは心配になってしまうが、いまどきの就活生たちは抵抗を感じないのだろうか。

 

そして検索にヒットした中に、「『私服でお越し下さい』と案内状には書いてあるのに
たまにスーツで来る馬鹿がいます。」という企業側の人の文章もあって、あまのじゃくな私は、スーツだってその人の私服でしょ、なぜ馬鹿呼ばわりされなきゃいけないの?と思ってしまった。

 

安倍首相も随分日本語の定義を変えてしまったけれど、いまや「私服」の定義も変わりつつあるのかも知れない。日本人が日本語で話しても、思いを伝えるというのは案外に難しいことではあるが、そもそも言葉の定義自体が違ってしまっては話が通じるわけがない。

 

天下の大企業からのDMの文章でも、テレビのコマーシャルの言葉でも、すっかりいい加減になってしまって久しい。採用担当者がこのような案内を学生に出し、新人教育に時間も経費もかけていられないうえに、そもそもちゃんと指導できる先輩や上司もいないのだから、どんどん仕事の場の言葉が崩れていくのも当然だ。

 

 

そして、言葉の定義以上に気になっていること。何年か前から、NHKのニュースの字幕で、助詞を省くことが多くなった(字数が足りないならまだしも、十分余裕のある時でさえ)。それと前後するように、言葉をなりわいとしているはずの人たちでさえ、助詞をおろそかにするようになった。いつの時代にもある、若者の特殊な造語や新語より、助詞の乱れは日本語の深刻な問題のように思う。

 

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これらはおもにNHKニュースでアナウンサーの語った言葉や字幕、ネット上のニュースの見出しだけれど、皆様はひっかかりをお感じになるだろうか。しょっちゅう目にし、耳にしていると慣れてしまうので、もう平気かも知れない・・・。

 

 

助詞のこと、5年前にも書いていました。

yonnbaba.hatenablog.com

 

 

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”猫はしゃべらないから、オカーサンにあげ足をとられなくていいね~”