市民館から先日リクエストした本が届いているとの連絡をいただいたのだが、雨は降っているし足は痛いしで取りにも行けず、手持ち無沙汰でテレビをつけると、再放送の『相棒』(シーズン15 第13・14話 声なき者~突入~)をやっていた。
前後編の後編だったので詳しいストーリーは分からないが、少年が人質をとって籠城している話だ。籠城犯が途中で別な人間にすり替わっていて、どうやら必死でその犯人に成りすまそうとしている少年は、DVから逃げ出した母親と幼い妹を守ろうとしているらしい・・・というような内容だった。
DV夫がエリートのサラリーマンだか官僚というのはよくあることだけれど、その夫が所属しているのが「健全な家庭を守る会」という名称の団体で、その団体には政治家や省庁の上級官僚も多く加入していて、警察庁のエライさんもその一人で、事件に介入してくる展開になっていた。
その「健全な・・・」と称する会の主張は「妻は夫に従い、家庭を守り、子供を国家のために役立つ人間になるように育てろ」というものだった。あらら、近ごろあちこちで目にしているような・・・。
この頃あまり面白くなくなってしまったような気がして、このドラマを見ていなかったのだけれど、こんなに皮肉っぽいお話をやっていたとは!そういえば、このドラマはもともとかなり世相を反映し、権力に批判的なストーリーが多かった。
この回に対する感想を簡単にネットで検索した限りでは、この「健全な家庭を守る会」の主張を、いつの時代・・・と笑ったり現実味のないもののようにとらえているものが目に付いたが、自由民主党の憲法草案を読んだり、ときどきマスコミをにぎわす日本会議に所属する人たちの発言を見たりすれば、目指すものがあまりに似ていて怖ろしいほどだ。
このシーズン15の13・14話は、去年の2月に放送されたものらしい。ちょうど森友問題がマスコミに浮上してきて、塚本幼稚園やら首相の名を冠した小学校が話題に上り、日本会議の目指す家庭像や教育像が一般の人々の目にも触れるようになったころではないだろうか。
製作の時間を考えれば、当然こうした問題が表面化する以前に脚本は書かれていたのだろうから、制作者(脚本:太田愛 監督:橋本一)は、教育基本法の改正や自民党の改憲案等から、この国の行く末に不安を感じていたのかもしれない。
人気があり長く続いているこういうエンタメ作品で、こんなテーマを取り上げてくれていたとはと嬉しく思ったのだけれど、訴求力があったのはDVの方ばかりで、この自民憲法草案的家庭像の方は、時代錯誤で非現実的なものとしか見られなかったとすれば、とても残念だ。
間もなく三選され、改憲の発議をしようとしている人は、こういう家庭をつくることを国民に求めているというのに!
すみません、あたしたちは避妊して室内飼いで、オカーサンにはなれませんでした。したがって国家に貢献する子孫も育てていないニャ。