よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

『この声をきみに』で味わう群読の魅力

全8回で、もう半分まで来てしまったが、NHK金曜夜10時のドラマ『この声をきみに』に魅せられている。

 

物語は、竹野内豊さん演じる大学の数学講師が、あまりにも数学に夢中すぎて、妻(ミムラ)に愛想をつかされ、ある日突然子供たちを連れて出ていかれる。けれども寝ても覚めても数学しか頭にないような夫は、なぜ妻が家を出ていったのかさっぱり分からない。

 

フィクションの物語などまるで受け付けなかったその数学〇〇の夫が、偶然出会った朗読教室で、群読という行為を知り、抵抗しながらも次第にその魅力に惹かれ、変わっていく物語だ。

 

その朗読教室の主催者を演じている柴田恭兵さんには、『あぶない刑事』のやんちゃなユージが、いつの間にこんなに落ち着いて魅力的な初老の男性に?と驚かされた。人間的深みをたたえた、温かで信頼できる人物像をみごとに表現している。

 

主人公を演じる竹野内さんは二枚目ぶりをすっかり消し去って、あまりに人の気持ちに無神経すぎる男になりきって、見る者の気持ちをイライラさせる。こんなにハンサムでも、こんな性格だとこれほど不愉快なんだ、と痛感させてくれる。

 

朗読教室の講師を演じる麻生久美子さんは、なんとなくどこか別の世界から来たひとのような不思議でミステリアスな役柄がピッタリだ。

 

こうしたそれぞれのキャストも魅力的なのだけれど、なんといってもこのドラマの一番の魅力は、劇中で朗読教室の生徒たちによって披露される群読だ。第一回には、いきなり谷川俊太郎の「生きる」で、心をギュッとつかまれてしまった。三回目の宮沢賢治の「雨ニモマケズ」ももちろん素晴らしかった。これらの詩は作品自体がもう圧倒的な力を持っているのだけれど、片桐はいり杉本哲太堀内敬子といった俳優さんたちが演じる朗読教室の生徒たちの群読は、詩の新しい魅力を見せてくれた。

 

こんなに気に入っているドラマなのに、先週の金曜日はスタンディングとそのあとの交流会(ミーティング)で10時ころに家に着き、すっかり忘れてバタバタしていて見逃してしまった。残念なことに「毎回探して録画」の設定もしてなかった。でも、調べたら再放送があるようで胸をなでおろしている。

 

NHK、朝のニュースや夜9時のニュースはもうまるで話にならないけれど、ドキュメンタリーやドラマでは、まだまだ、結構良作を作ってくれる。

 

 

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