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よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

「夫さん」という呼び方

もうタイトルもご覧になっただけで、「ああ、あのドラマの話?」とお思いになった方もいらっしゃることだろう。そう、「夫さん」というのは、いま視聴率のわりにネット界隈では話題が盛り上がっているらしいドラマ『カルテット』で使われている言葉だ。

 

クラシックの奏者ではとても食べていけないし、そもそも、どう頑張ってもプロとして立つのは無理とうすうす自分でも気づきながら、それでも夢を諦めきれずもがいている30代の男女4人をめぐる物語だ。松たか子さん演じる「マキさん」の夫が、失踪中という特殊な状況でもあるためしばしば4人の話題に上るのだが、その際皆がマキさんの夫のことを「夫さん」と呼ぶのである。

 

脚本はこれまでも『Mother』『それでも、生きてゆく』『最高の離婚』など、次々に話題作を書いてきた坂元裕二さん。設定やストーリーのうまさとともに、坂元さんの脚本はセリフが非常に時代を映していきいきしている。『それでも・・・』など、少女殺人の加害者家族を描いた大変重くて深くて考えさせる良作だったけれど、登場人物の言葉やしゃべり方があまりにも時代を映したリアルすぎるもので、私などそこに少々抵抗を感じてしまったくらいだ。

 

今回の『カルテット』も俳優陣の達者な演技もあいまって、何気ないセリフのやり取りにドキッとさせられたり考えさせられたりすることが多い。そんな坂元脚本に「夫さん」と出て来たので、やはり今ごろの若い人は「ご主人」とか「だんなさん」と呼ぶことに抵抗があるのだろうなと感じた。

 

私自身、拝読しているブログにコメントを書いていて、ブログ主さんの配偶者の呼称にためらうことがよくある。以前は「ご主人」と言おうと「旦那様」と言おうと、別に現実には主従関係ではないのだし構わないではないかと考えていたが、近頃は、こちらはそういうつもりでも、言われた相手の方は不快かも知れない・・・などと考えてしまい、「お連れ合い」とか「ご伴侶」などの方がいいのだろうかと迷ってしまう。

 

でも、連れ合いだの伴侶だのという言い方はなんだか年寄りくさい感じがするので、若い人は使いたくないだろう。そう考えると、なかなか適当な呼称がない。そんなことで「夫さん」という呼び方が生まれたのかなと思うが、もしかしたら私が知らないだけで、もう若い人たちの間では普通にこの呼称が定着しているのだろうか。

 

呼称と言えば、名前を知らない人に呼びかけたい時にも、よくためらってしまう。「おばさん」はとんでもないし、「奥さん」も今どきそうでない確率も高いし、そもそもこの呼称も時代にそぐわなくなっている。結局「あの~」などとすこぶるあいまいな呼びかけになってしまう。相手が男性であっても同じだ。「もし、そこゆく方!」などと呼びかけたら、相手はどんな顔をするだろう・・・。

 

 

それにしても、あのどこやらの幼稚園の子供たちの動画を見ると、「ご主人」だの「奥さん」だのが厳然と存在するカッチリした「家庭」で構成される「国家」を美しいと考える人たちが、特権を発動できる立場にいるのだなあと痛感させられる。あれを見てぞっとする人たちもいれば、素晴らしいと感じる人も少なからずいるのだろう。ああいう教育をする法人が設立する学校に、入学させようとしている親たちがいるのだから。

 

 

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お母さんのお水、もらいます・・・。     猫は自由だ。