よんばば つれづれ

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これは絶対『竜の柩』も読まなくちゃ!『霊の柩』高橋克彦著

先週、最後のコグニサイズ教室のため訪れた市民館で、帰りに図書室に寄ったところ、高橋克彦さんの本を見つけた。

 

以前やっていた音訳ボランティアで、点字図書館から『火怨』という作品をあてがわれて、初めてこの方の作品に触れた。大和朝廷と東北の蝦夷との戦いを描いた物語で、音訳のために渡されなければ、決して自分では手に取らなかったであろう本だ。

 

同じく音訳で、子母澤寛の『逃げ水 上・下』を担当して時代物の面白さに目覚め、そのあと、この『火怨 上・下』で決定的になったともいえる。どちらも音訳作品化には苦労したけれど。

 

かつて私が音訳作品化したもの(音訳図書は、視覚障碍の方は全国から利用可)

yonnbaba.hatenablog.com

 

その後も何作か高橋氏の作品を読み、どのジャンルの作品も素晴らしくて信頼している作家だったので、分厚い本だったけれど迷わず借りてきた。そうしたら、『竜の柩』『新・竜の柩』それぞれ上下巻の本で、文庫版では『竜の柩』として6巻のシリーズになっているほどのボリュームの作品群の、これは続編ということだった。

 

それでも、とにかくちょっと読んでみようと読み始めたら、面白くて止まらなくなった。前作を読んでいなくても、これはこれで十分楽しめた。

 

歴史に残る竜の痕跡を求めていくうち縄文時代の日本に旅した主人公たちが、自分たちの暮らす時代に帰還するはずだったのだが、どうやら帰り着いた時代は大正8年の十和田湖畔だった・・・というところから話は始まる。

 

なんとか金を工面して、飛行機はもちろん新幹線もない当時の交通事情のなか、苦労して東京までたどり着く。生きている江戸川乱歩と出会ったり、関東大震災で崩れる前の浅草十二階に登ったりするうち、妙に懐かしさを感じさせるこの時代の居心地の良さに、このままこの時代に生きるのも悪くないかとも思うのだけれど、やはり家族や友人のいる本来の時代に戻るため、彼らは大変な工夫や努力をする・・・。

 

現代の日本に戻る手段として、主人公たちは大正の時代のイギリスまで渡る。飛行機のない時代だからもちろん船旅だ。行った先のロンドンでは、『シャーロック・ホームズ』を書いたコナン・ドイルと出会ったりする。

 

これから読もうとする方のためにあまり細部は書けないが、時間旅行物の定番の面白さにさらに二重三重の面白さが加わって、600ページ余の分厚い本もまたたく間に読み終わってしまった。これはぜひ、『竜の柩』シリーズも読むしかない!

 

 

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