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よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

マッチョな人、マッチョな国は、「いちばん!」が好き?映画『スノーデン』を見た

先週、金曜スタンディングのあとミーティングがあり、その時にメンバーの一人が映画『スノーデン』がとても面白かったと話していた。『沈黙』を見たいと思っているという人が何人かいて、私もそう思いながら、3時間はちょっと長いなあ・・・と躊躇している。

 

映画を見るのは好きなのに、なぜか映画館まで出かけるのが億劫でなかなか腰が上がらない私なのだが、この時のひとことが引き金になったのか、土曜日はスンナリと映画館に出かけることができ、『スノーデン』を見てきた。

 

映画の趣旨とはまるで関係ないけれど、いちばんに感じたのは、「やっぱりマッチョは嫌い」! 映画の冒頭に、主人公スノーデンがアメリカ軍の部隊で訓練を受けているシーンが出てくる。その訓練を指導している上官の言葉のなんと下品で汚いこと!(でも不思議なことに、国会中継など見ていると、そうした汚い言葉が好きそうなおじさま方が少なくない感じがしてしまうのはなぜだろう)スノーデンは大怪我をして、それがきっかけで軍をやめるのだが、なぜ彼のようなタイプの人が軍隊を志したのか不思議なほどだ。

 

Wikipediaによれば「スノーデンは『自由の為の戦い』を望んでイラク戦争への派遣を自ら志願するなど意欲のある軍人だった」とあるので、まっすぐな正義感から、自国の戦争を真に正しいことと信じていたのだろう。

 

このまっすぐな正義感は、自分の能力を最大限に発揮して諜報のためのプログラムを作る際にも、そしてそれが決して真の正義のための使われかたではないと確信し、孤独で厳しい戦いに突き進む時にも、原動力になったのだと思う。

 

ストーリーは、まだほんの数年前に世界中を騒がせた大ニュースの主人公の話なので、初めから展開は分かっている。スノーデンが証拠となるデータのコピーをとっている最中に上司がやっくるシーンなど、彼が無事にロシアに逃げおおせたことをニュースで知ってはいてもドキドキしてしまった。

 

主人公の職場の仲間や、彼を励まし支え続ける恋人など、周辺の人物も魅力的だ。またスノーデンに温かく接する、閑職に追いやられているらしい上司役のニコラス・ケイジも良い味を出していた。

 

魅力的な周辺人物と言えば、香港でスノーデンの独占取材をするガーディアンのスタッフ、とりわけ女性カメラマンも魅力的だった。アメリカはまだこうした硬派の報道魂を持ったジャーナリストがいて羨ましく感じた。

 

 

だいぶ昔の映画007シリーズに、「情報を制したものが世界を制する」と口にする悪役が登場した記憶がある。まだ情報というものの価値が一般的にはそれほど重要とは認識されていない頃だったと思う。そして、その当時の重要な情報とは、特別な立場にある特別な人たちの情報のみだったと思う。

 

けれどもテロが日常化し、犯罪も複雑化した現代においては、権力に収集される情報はまさに普通の市民の普通の日常、まるごとすべて、である。その中から不穏なことに繋がりそうな芽を摘んでいく。そういう努力を続けなければ、世界最強の国でいられない、というような主人公の上司の台詞があった。

 

富も権力も高い技術力も素晴らしいものには違いないが、真の価値は使い方による。自国ファーストや自分の行政区ファーストを叫ぶのは自由だけれど、全ての国が、全ての自治体が、「いちばん」になることはできない。どこかが「勝て」ば、どこかが「負け」る。

 

日本には「負けるが勝ち」という素晴らしいことわざがある。「勝つの大好き!」「いちばん大好き!」なマッチョな方々に、ぜひ教えて差し上げたい言葉だ。

 

 

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