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よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

ありそうな近未来に鳥肌『プラチナデータ』東野圭吾著【追記アリ】

少し前に嵐の二宮君主演で映画化されたようなので、ストーリーはご存知の方が多いかもしれない。テーマは国民のDNAをすべて登録してデータベース化し、犯罪捜査に使うというものだ。

 

単に現場に残された証拠物件と容疑者とのDNAを分析するのではなく、登録されたデータから血縁など容疑者に近いものを見つけ出し、身長体重はもちろん、モンタージュまで作ってしまうというものだ。

 

そして、その研究の中枢にいた主人公が、あろうことか、自分が分析していた事件の容疑者として、コンピューターに自分そっくりのモンタージュを提示され、身の潔白を示すため巨大な敵と戦うことになってしまう・・・。

 

 

小説も読んでいないし映画も見ていないはずなのに、常に既視感のようなものを感じながらの読書だった。テレビの刑事ものドラマで、似たような筋立てのものがあったように思う。

 

東野作品としては決して良いできとは思えないけれど、読んでいる間はハリウッドのジェットコースター映画のごとくグングン惹きつける。そこはやはり手練れの作品だ。夜更かしをして一気に読んでしまった。

 

展開はかなり予想がついてしまうのだけれど、なんといっても全国民のDNAを登録してしまおうとする権力側の勝手な計画の恐ろしさと、そのための手段などが、いま現実に進んでいる事態とシンクロして、近い将来に、いかにもありそうなリアルさで迫ってくる。

 

そして、万が一にも権力者の一族が犯罪者として暴かれるようなことがあってはならないため、「プラチナデータ」として特別に守られるシステムが秘密裏に構築される。主人公の「どのレベルの人間なら『プラチナデータ』に入れるんですか」という問いに、権力側の人間はサラリと言う。「政治家なら閣僚経験者かそれに準ずるクラス。役人の場合は、最低でも幹部候補生。コネクションの有無によっても・・・」そして、「警察なら?」の問いに、「キャリアであることが絶対条件」と。

 

 

DNA登録をより円滑に進めるため、国会で新しい法案を通すという言葉に対し、相手が「国が個人のDNA情報を管理するなんてことを、国民が許すはずがない」と反論する。それに対する答えは、

 

「国民が許さない?国民に何ができるわけですか?デモをしようが、演説をしようが、政治家たちは自分たちの通したい法案を着々と通していく。これまでずっとそうだったでしょ。国民の反対なんか関係ない。それに国民だって、どんなに無茶な法案を通されようが、怒っているのは最初だけで、すぐにその状況に慣れていく。今度も同じことです。最終的にはDNAを管理されるのも悪くないと皆が思うようになる」

 

なんとリアル!今まで私たち日本人はまさにこの通りだった。だから官房長官に「どうせ国民など、すぐに忘れる」と言い放たれてしまったのだ。

 

「いつの世にも身分というものは存在する。人間が平等だなんてことはあり得ないんだ」と、最終的に登場人物の個人的解決は図られても、国民の個人情報が丸裸にされるいっぽうで、VIPたちのプラチナデータはどこまでも守られていくという、国家レベルの企みは機密というベールに隠されて暴かれることもなく終わる。

 

6年も前の作品だけれど、今の政治状況と重なって、肌が泡立つような薄気味悪さを感じる物語だった。

 

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 浅間、穂高、志賀、那須、蓼科、水上、富山、

【追記】 

今日は夕方からスタンディングの会議があったため、ブログをアップしてすぐ出かけ、会議のあとママの会の仲間が少し相談があるというので、二人で喫茶店に行って話し込み、11時頃帰ってきた。洗顔や歯磨きを済ませて寝床に行って、何となくスマホでブログをチェックしてやっと置き去りにした文字を見つけ、冷や汗をかいてしまった。慌てて起き出して追記を書いている。

 

これらの文字は何かというと、この物語の登場人物の名前である。なぜか地名、それも信州とか高原とか、特定のイメージに関連したものが多くて、それに何か意味があるのだろうかと思ってしまったが、特別に意味を持たせたわけでもなかったようだ。なんだか、思わせぶりなネーミング。そして思わせぶり、のつもりもなく、入力して放置してしまった私・・・。

すみませんでした。