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よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

アンドリュー・ワイエス展「海からの風」

暮らし

受講のためにNHK文化センターに出かけたので、隣の豊橋公園内にある美術博物館で開催中の「アンドリュー・ワイエス水彩・素描展」を見てきた。

 

今回の出品作は丸沼芸術の森所蔵のものということで、代表作「クリスティーナの世界」などは習作のみで、本作品は写真しかない。「海からの風」も何点かの習作のみだったが、非常に心惹かれた。ぜひ完成作品を実物で観たいものだと思った。

 

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ネットからお借りした「海からの風」。実物はさぞかし素敵だろうなと思う。

 

ワイエスはとても体が弱くてまともに学校にも通えず、家庭教師から勉強を学び、絵については有名な挿絵画家だった父親から習ったそうだ。限られた狭い世界の中で生きたのだろうと思われるが、今回の作品展を見て、つくづく身のまわりのどんなものも描く対象になり得るのだと思った。要は描き手次第だ。クリスティーナの弟アルヴァロが農作業に使う、ブルーベリーを入れる桶やら手作りの一輪車など、何でもない農具さえもモチーフだ。

 

91歳まで描き続けたたくさんの絵のうちのかなりが、このクリスティーナとアルヴァロの姉弟が暮らす「オルソン・ハウス」を題材にしている。その家で暮らしていたオルソン姉弟も、きっと生涯のほとんどをその家の周囲数マイルというような、狭い世界で生きた人たちではないかと思う。

 

けれども、その絵に描かれた姉弟の世界は、なんとも豊かで静かで満ち足りていて、現代の私たちが失ってしまったものがあふれている。実際には決して裕福ではない暮らしだったのだろうし、ワイエスの絵も、クリスティーナが愛しいつも咲かせていたという花さえもあまり画面に描き込まず、地味でどちらかと言えば暗い色が多いのだけれど、画面から受ける印象は決して暗くない。おそらく清く貧しく生きる姉弟も満たされていたのだろうし、それを見つめる画家の目も温かい思いに溢れていたからだろう。

 

えむこさん(id:emukobb)がいらした日はおしゃべりなグループがいてちょっと集中できなかったそうだけれど、今日は幸い会場もすいていたし静かで、とても気持ちよく鑑賞することができた。ただ、今年は市制110周年ということで予算が付いたのか、豊橋市美術博物館は今改装工事たけなわで、いつもなら公園の門を入ってから緑豊かな通路をたどって美術館の玄関につくのだが、工事の柵が張り巡らされていて雰囲気は台無し。併設の喫茶もまだ改装工事中。工事終了後を楽しみに待つとしよう。

 

 

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今日も届いた採れたて野菜。キュウリなんてしおれた花びらがまだしっかりついている。