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よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

久々のアメリカ映画『マネーモンスター』

映画というのは不思議なもので、見始めるとドンドン続けて見に行くのだけれど、一旦離れるとズッーッと見なくなってしまったりする。もっとも、これは私だけのことかも知れない。上映開始時刻の15分前に家を出て、歩いて行って間に合ってしまうという恵まれた場所に映画館がありながら、である。

 

我が豊橋にはいまやこのシネマコンプレックスが一館あるのみ。私が故郷に戻ってきた23年前にはまだ昔ながらの形の映画館が数館残っていたのだが、瞬く間にそのすべてが閉館してしまった。

 

ボウリング場やゲームセンターが併設され、スクリーンも大小合わせて18面あるシネマコンプレックス。昔の映画館を思えばシートも快適で、今はめったにないけれど、たとえ観客がいっぱいに入っても人の頭を気にすることもなく見られる。快適なのだけれど、たぶん私はこのアメリカ的な大きな映画館が好きではないのだ。このシネコンだけになってから、だんだん映画館に足を運ぶ回数が少なくなってしまったように思う。

 

 

でも、今日は久々にそのシネコンに出かけた。しかもさらに久しぶりの洋画、SPYBOYさん(id:SPYBOY)お薦めの『マネーモンスター』だ。やたらと長時間の映画が多くなった近頃には珍しく、99分という引き締まった作品で、グイグイ引き込まれ、登場人物と一緒に事件に遭遇しているような臨場感を味わった。

 

あらすじは省略するが、ジョージ・クルーニー演じるリー・ゲイツが司会を務める財テク番組が舞台なだけに、ウォール街に象徴される、金融が異常に肥大した社会がテーマ。アメリカの何年か後を追う日本だから、いずれこんなテレビ番組ができるのだろうか。思考停止でみんなと一緒大好きの日本人は、1%の富裕層にそれこそ思うままに操られてしまいそうだ。

 

番組が犯人に乗っ取られ、爆弾のセットされたベストを着せられたリーが、生き延びるため必死で犯人を説得しようとして、株価は需要と供給で決まるのだと言い、その証拠に、犯人が財産を失う元となったアイビス社の株をテレビ視聴者に買うように頼む。みんなが買えば必ず株価は上がり、アルゴリズムのシステムは買いに動き株価上昇で儲かる、自分の命のためにも買ってくれと訴えた。この場面で、情にもろい日本人ならいっぱい買いが入って、めでたく株価はうなぎのぼり・・・となりそうに思った。けれども、映画のアメリカ人は冷静だった。冷淡だった?あとのストーリー展開のためにもそうならざるを得ないのだろうが、ちょっと私には意外で、興味深い場面だった。

 

時代の申し子のような軽いリーだけれど、だんだん犯人に肩入れして行く。株価の裏側のカラクリを暴こうと報道に携わる人間の矜持に目覚めると、俄然カッコよくなっていくジョージ・クルーニーがいい。

 

 

犯人には同情の余地もあるし気の毒なのだけれど、やはり虎の子の母親の遺産を全て株につぎ込んだのは間違いだ。それもリーみたいないい加減な男が司会しているテレビ番組の情報を鵜呑みにして・・・と思ってしまう私は冷たいのだろうか。時給1500円でも仕事があり、彼女もいて、赤ちゃんも生まれるのだ。もう少し堅実に暮らすことは無理だったのだろうか。

 

現在のような金融資本主義の社会はおかしいと思うけれど、だからといって「はい、ではこのシステムは終わりにしましょう」なんてならない。とりあえずこの社会で1%の悪賢い人たちに搾取されないためには、99%の側がお金信仰を捨てることではないだろうか。幸い99%は圧倒的に人数が多いのだから、「金は天下の回り物!」と、仲間同士連帯し助け合えたら・・・と思う。

 

公私混同した舛添知事はみっともなかったけれど、そういう知事を生み、そのニュースを扱ったテレビ番組が高視聴率を取ったりする社会は、結局一般の人々もお金に興味津々なのではないか。

 

いまさら江戸時代や自給自足の時代には戻れず、お金がなくては生きていけないのだけれど、なんとしても、振り回されないようにしなければ!

 

 

それにしても、随分久しぶりに見たジュリア・ロバーツが変わらないどころか、かえって魅力的(私は彼女が美人だとは思えないが)になっている気がした。役柄がハンサムだったこともあるかもしれないが、化粧も服装もいたって地味なのに、『プリティ・ウーマン』の頃よりずっといい。女性が時間を味方にするのはとても難しいことだけれど、素敵に年を重ねている人を見るのは嬉しい。

 

 

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