よんばば つれづれ

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未曾有の大災害時を千載一遇のチャンスととらえる人たち

5月3日の毎日新聞に、もともと改憲論者で自民党の勉強会で講師も務めていた憲法学者小林節氏が、自民党批判に転じたきっかけとなった出来事が「大災害、改憲の好機」として書かれていた。

 

2011年3月11日の東日本大震災直後、福島第一原発の緊迫した状況が刻々と伝えられていたころに、中山太郎外務大臣から「やっと憲法改正の入り口が見えましたね。今なら国民や野党から緊急事態条項への理解を得られる」との電話が小林氏のもとに入ったのだそうだ。電話のあと、ポーランドの緊急事態条項に関する資料も送られてきて、「シンポジウムを開こう」と持ちかけられたという。

 

その時、小林氏は「危機への対応は法律で準備すべき。私は権力というものに対して楽観的すぎた。緊急事態条項は立憲主義には危険だ」と思ったそうだ。そしてその後自民党批判に転じた。この小林氏の感覚はとても人間的なものだと思う。

 

 

今回の熊本地震のあとも、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が「熊本県を責めるわけではないが、緊急事態条項があれば国が前面に出て対処することができたであろうと思われます」と記者会見で語っている。

 

14日の地震の後、安倍首相は「屋外にいる避難者を今日(15日)中に屋内の避難所に入れる」とさも救いの神のように宣言したが、その言葉を聞いて熊本県知事は、「人々は避難所が足りなくて外にいる訳ではない、屋内にいるのが怖いから外にいるんだ。まるで現場のことが分かっていない」と感じたそうだ。

 

そうして16日の本震が起き、多くの方が倒壊した家の下敷きになった。「国が前面に出て対処する」ことが絶対に必要なことかどうか、櫻井氏にさらに問うてみたいものだ。

 

 

国民が大変な災難に遭って苦しんでいるときに、自分たちの主張を通す「千載一遇の好機!」とばかり行動を起こそうとする人々。家が壊れかけて戸締りが手薄になっているのにつけ込んで、泥棒を働く最低の輩とどれほどの違いがあるだろう。安倍内閣を支持する人たちは、こうした下劣な面々が、あの国この国の脅威から本当に「国民を守ってくれる」と思えるのだろうか。

 

 

同じ毎日新聞が4月30日に掲載した「東日本大震災被災自治体調査」の記事には、原発事故直後、国が混乱を避けるためにSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の公表を控えたことから、福島県川内村、「国は国益優先、混乱防止、秩序維持のためであれば一人一人の命は後回しになる可能性が高く、正しい判断をするとは限らないことを学んだ」と答えたことを載せている。

 

アンケートに回答した自治体のうち唯一宮城県女川町をのぞいたすべての自治体が、災害時の緊急事態条項は必要だと感じなかったと答えている。

 

去年の秋、あれだけ多くの国民が「現時点で安保法制必要なし」と考えていたにもかかわらず強行採決してしまった安倍政権のことだから、緊急事態条項についても、本気になれば国民がどう思っていようが自治体がどう望もうが、やりたいようにやってしまうことだろう。その巨大な暴力にどう立ち向かうか・・・。

 

 

先日「安保法制違憲訴訟の会」から現況報告と「安保法制違憲訴訟を支える会」の発足案内、およびカンパ依頼が送られてきた。原告の一員になりたいと思って申し込んだのだけれど、この法によって被った具体的な損害等を文書で上げなければならず、自分にはあまり当てはまらないような気がして、最初に届いた書類を返送しないでそのままになっていた。

 

「支える会」のメンバーにならなれるし、資金面でも毎度のことながら貧者の一灯のわずかな金額だけれど協力しようと思う。

 

会のカンパ依頼のサイト

資金カンパのお願い | 安保法制違憲訴訟の会

 

 

悪辣な絶対権力者と、正道でコツコツ地道に闘う市民。なんかヒーローもののような構図だ。でもヒーローものは必ず最後は正義が勝つのだ!

 

 

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大丈夫?それで息できてるの?