よんばば つれづれ

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日本のテロの時代

数日前にちきりんさんが「理想の社会なんて信じるのはやめましょう」という、ちょっとショッキングな題のエントリを書いていた。(内容はコチラ


タイトルは刺激的だけれど、読んでみれば納得の、ちきりんさんらしい冷静な観察と意見だ。

人間はみんな身勝手だし、ワガママです。自分の子供だけ幸せならいいと思っている人と、自分の国だけ平和ならいいと思っている人が、みんなで集まって暮らしているんです。

誰だって自分がいったん握った権益は手放したくないし、自分が持ってない何かを苦労せずして保有している人がいる社会は「なんでやねん?」と思うんです。


でも、だからといって「そんな問題が一切存在しない理想の社会」なんて信じちゃイケないんです。だって・・

そんなモノは存在しないのだから。

そんなモノを信じたら、「どんな手段を使ってでも実現すべきだ」って話につながっちゃうんだから。


理想社会なんて信じるのはやめましょう。

ソレ、すごい危険な思想なんで。



そして改めて驚いたのが、そこに書かれていた1970年代頃の日本のテロ事件の多さだ。

1970年 よど号ハイジャック事件

1972年 あさま山荘事件                                   
     テルアビブ空港乱射事件(日本人テロリストが乗客ら26人を殺害、重軽傷者も70人以上)

1974年 在クエート日本大使館占拠事件
     三菱重工爆破事件

1977年 ダッカ日航機ハイジャック事件 


ちきりんさんの記事に驚いて、ウィキペディアで調べ直し、自分の記憶にもはっきりと残る主だったものだけを挙げてもこんなになる。この頃、国内はもちろん、世界各地で日本人がテロを起こしていた。「日本は(平和で安全な国なんかでは全くなく)歴としたテロ国家だったのです」とちきりんさんは書いている。そんなとんでもないことをなぜしたのかと言えば、「間違った体制を破壊し、理想の世界を実現するため」だったのだろう。


テロの温床は貧困だと思っていたけれども、1970年代の日本はすでに「一億総中流」という言葉が生まれるほど、国民の生活は豊かになっていた。貧困だけでは解決されない問題があったのだ。

確かに理想の社会を盲信するのは危険なことだ。人間は愚かで欲ふかで、信じられないような残忍さも秘めている生き物だということを十分わきまえたうえで、異質なもの同士がいかに折り合いをつけ、衝突を少なくして暮らしていくか、という方策をちょっとずつ詰めていくしかないのだろう。