よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

一途な思いが胸を打つ『いとしの儚100days LOVE』を見た

東三河の演劇団体合同の公演『いとしの儚(はかな)』を見に愛知御津まで出かけた。豊橋駅からJR東海の下り普通列車で2駅目。会場のハートフルホールはその駅から徒歩10分とのこと。スマートフォンであらかじめ会場までのアクセスを検索し、一番分かり易いサイトを見つけておいてから出かける。お出かけオンチで信じられないほどの方向音痴である私は、こんな直線距離ならたかだか十数キロしかないようなところに行くのも「はじめてのおつかい」の幼児のようにおっかなびっくりだ。

目的の駅で降りると実にのどかな駅前風景で、そばに同じくらいの年恰好の女性3人連れ。キョロキョロ周りを見て、私に「ハートフルホールは・・・」と聞いていらした。私もそこに行きたいんですけど・・・とスマホの説明を見ていると、「すごい、文明の利器を使いこなしてる」と驚かれた。「私達、まだ昭和だものねえ」などと仰っている。私だって思いっきり昭和だけれど。ともかく、スマホの案内で無事会場に着き、その方たちにも感謝された。良かった。


開場時間丁度くらいに着いたのだけれど、もう一杯人が列を作っている。すごい熱気。顔見知りの豊橋演劇塾のメンバーが会場整理をしていたので、取り置きを頼んだチケットの受け取り場所を聞き、受け取ってから列に並んだ。やはりいくつもの団体合同なだけに観客の数も多いようだ。昨日昼夜二回公演をして、今日は昼間の公演で、これで終演となる。


この演劇はもともと東京の扉座(一番有名な役者は「相棒」の六角さんか)という劇団の作品で、それを見た豊橋演劇塾の代表のコウタロー氏が惚れ込んでしまい、いつか必ず自分たちも取り組んでみたいと思っていたのが、今回やっと実現の運びとなったのだそうだ。他のいろいろな劇団も取り組んでいるなかなか面白い作品らしい。

ストーリーは、生まれついてのろくでなしのばくち打ち鈴次郎(劇団黒テント岡哲也客演)が、なぜか博打だけはツキにツイていて鬼にさえ勝ち、金を払えなくなった鬼から金の代わりにもらった女とのラブストーリーだ。その女が儚(はかな)。鈴次郎が望んだとおりの美女。ところがその女は鬼が墓場の死体を寄せ集め、生まれてすぐ死んだ赤子の魂を入れて作り上げたもの。100日たたないと本当の人間にはなれず、それまでに男に抱かれると水になってしまうという。

これで展開が読める方も多いだろうが、そう、あと一日というところで問題が起きて・・・という王道と言えば王道の恋物語。でもろくでなしのばくち打ちが主人公なだけに、半ば過ぎまでは「てめえ、ぶっ殺すぞ」のような汚い乱暴な言葉がこれでもかと飛び交い、男女の色っぽいことの表現もふんだんにあって、およそ清らかで美しい恋物語ではない。

なのだけれども、赤子の魂で生まれた儚が、この世で初めてぬくもりを持つ「ヒト」として触れた鈴次郎をひたすら恋い慕う。なんでこんなろくでなし、ひとでなしを・・・と思うのだけれど、儚はどこまでもけなげに鈴次郎を思う。この儚のいちずさに泣かされてしまった。


今日は何の寄り道もしなかったけれど、東海道線渥美線を乗り継いで帰ると、昼間の公演でも家に帰り着かないうちに日暮れて暗くなってしまった。玄関のドアを開けるとドリームが飛んできて、「どうしたの〜。もうご飯の時間ものすごく過ぎちゃってるよ〜。ゴアン〜。ゴアン〜」(彼女ほんとにゴアンって言えます)とせっつかれた。