よんばば つれづれ

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堤幸彦監督『くちづけ』 誰もが当たり前に幸せを求められる社会に

夕方5時半、スタンディングするのなら家を出る時刻だ。でも、今日は休ませてもらうことにする。日曜日は「ソングスペシャル」。平日は仕事の都合で参加不可能な保育士さんたちが先々週の日曜日あたりから参加してくれて、日頃子供たちと歌っているお得意の歌を歌いながらスタンディングをしてくれている。

 

先日交流会で今後の方針を考えた時に、立とうと思う人は毎日立ってももちろんいいけれど、基本的に今後来年の選挙までは週に一回金曜日はスタンディングをすると決めた。その時に保育士の方から、平日は無理なので、自分たちは今後も日曜日に歌いながらのスタイルで続けるということになった。

 

明日9月28日は、また集会&パレードがある。なんとか天気が良いといいのだけれど。昨日もスタンディングの前に何人かで仲間を増やす作戦会議をしたとき、マスコミに取り上げてもらいやすくするために、「着ぐるみを着てパレードを行う」とか「パレードの先頭にチンドン屋さんを頼む」などという意見が出たのだけれど、非常に天候に左右されるリスクがある。なにしろ今までは3回のうち2回雨に降られている。

 

いまでさえ、私たちの存在を見ないようにして行き過ぎる人も多いのだから、来年の選挙の頃には「忘れてしまう」人もかなり増えるだろう。それ以前に、もともと政治を気にもしていない人も相当いるだろうから(何しろあの強引な特別委員会の採決があっても、内閣の支持率は数パーセントしか落ちないのだから)、相当心してかからなければならない。現実社会では正義や正論が必ず通るものでもない。無理が通って道理が引っ込んでしまったり、長いものに巻かれてしまいがちなのが浮世なのだ。

 

 

今日はスタンディング欠席を決め込んで、GYAO!で『くちづけ』という映画を見た。俳優の宅間孝行さんの原作・脚本で、堤幸彦監督の2013年の作品。フィクションくらいハッピーエンドになるといいのだが、これはとても切ない。でも悲しいからこそ見る人の心を揺さぶり、こんな貧しい社会でいいのか!と訴えることができるのだろう。

 

知的障碍の娘(貫地谷しほり)持つ漫画家(竹中直人)が、癌で余命僅かと知った時にどんな選択をするのかという、もうこれだけで大体読めちゃうよと言われそうな物語だ。へそ曲がりであざといお涙ちょうだいは嫌いな私だけれど、見始めてすぐ物語に引き込まれ、すっかり泣いてしまった。もちろん、泣けるからいい、とは思わない。じっさい辛口レビューもある。登場人物がステレオタイプという批評もはずれてはいない。

 

それでもなお、援助がなければ生きていけないであろう子を残して、先に行かねばならない親の悲痛な思いは見る者の胸に迫る。大変さが分かっているだけに、安易に人の善意を頼ることもしない。ハンディキャップを持つ人が全て純粋で善人である訳でもないかもしれないが、それでもやはり、「容疑者を検挙できない警察が知的障碍者を疑い問い詰めて冤罪をでっち上げるから、犯罪者に占める割合が不当に高くなっている」と父親が叫ぶシーンなど、あちこちにリアルな現実社会を切り取って見せていると感じた。

 

 

医者の家族が営むグループホーム「ひまわり荘」で何人かの障碍者は心の平安を得て暮らしているが、経営難で続けられなくなり引き受ける家族のいない者は居場所を失う。これから海外に自衛隊を派遣するようなことが増えれば、軍事費はますます増大していくことだろう。首相は能天気にGDP600兆円などと言っているけれど、国力が落ちていく要素ばかりの今日、そんなことが絵に描いた餅であることは誰の目にも明らかだ。そうなれば、ますますこうした分野への予算は削られていくことにならないだろうか。

 

 

昨日は15年後を描いたドラマから、ブログを読んでくださった皆さんもいろいろ近未来を想像してくださったようだ。どうも明るい要素の少ないこの国の未来だけれど、せめて弱い立場の人々は、今よりは暮らしやすくなっていてほしい。私自身は現在ピラミッドのかなり下の方に位置しているとは思うけれど、それでもまだあと少しは我慢して暮らすこともできる。お互いがちょっとずつ融通し合って助かることがあれば、譲り合いたい。

 

でも、なんと言っても、政治を司る人たちや官僚の人たちに、弱いものを思いやる心を持ってもらいたい。不便や苦労を知ろうという、謙虚な気持ちを持ってもらいたい。考え努力した末に、それでもできないこともあるだろうけれど、最初から無視されているのではたまらない。

 

身近な所では、今日お隣の豊川市の市長選挙が告示された。夕方のニュースでは自公推薦の現職と共産の新人の2人が届け出たと言っていた。はたして3期目を狙う現職市長か、反自民・公明の風が吹くのか。3か月スタンディングを続けて来た。少しは手ごたえが欲しい。やっぱり私は100年後をじっと待つことはできない・・・。

 

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映画公式サイトより