よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

恐るべし、演劇老人集団「さいたまゴールド・シアター」

団員の平均年齢75歳という「さいたまゴールド・シアター」の『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』を、豊橋芸術劇場プラットで見た。

なんとエネルギッシュで前衛的!被告役の2人を除いて、ほとんど出ているのは老人ばかりだ。役柄も老人だけれど、演じているのも64歳から88歳までの高齢者たち。その人たちが終始叫んでいると言ってもいいくらいの激しいセリフの応酬をする。途中スローモーションの演出がある。本物のスロー画面を見るような見事な動き。おそらく普通に動く以上に集中力とエネルギーを要することと思う。

ストーリー。爆破の罪で2人の若者が裁かれている法廷に、彼らを助けるためにお婆さんの集団が武装して押しかける。看守を爆殺して法廷を占拠し、裁判官や検事を自分たちの手で裁き始める。老婆たちの時空を超えた怒りはどんどんエスカレートして、弁護士や孫である若者たちにまで死刑を宣告し刑を執行しようとする。やがて警察に包囲され、ヘリコプターは空から降伏を呼びかけるが・・・。


初演は学生運動が挫折して間もない1971年だという。けれども決して古さを感じさせない。老婆たちを突き動かす怒り、悲しみは、少しも消えていないのではないか、形は変わっていても・・・。虐げられる女たち、理不尽に踏みにじられる弱い立場の人々。今も福島の被災者は忘れられかけ、根本的な解決はないまま原発は再稼働されようとし、沖縄には基地が押し付けられ、世の中を暗い方に押し流す法案がどんどん成立していく・・・。むしろこの時代のための作品かも知れない。

舞台装置や効果も刺激に満ちている。とにかくこんなに攻撃的でエネルギッシュな高齢者の集団を見せられると、超高齢化社会も何するものぞ!という気になろうというものだ。ただ終始興奮状態、叫びまくっているので、もう少しメリハリがあってもいいかもしれない。

そして、惜しむらくはなんといってもセリフが聴き取りにくいことだ。声が小さめでも言葉がはっきりしている人もいるので、声の質や滑舌の問題だろう。それと怒鳴り過ぎたり、女性の場合は激した言い方をすると声が高くなりすぎたりするので、そうしたことも原因しているように思う。怒っている場面が多い場合には、難しいことだろうが、怒鳴り過ぎずに興奮した様子を演じるテクニックも必要に思う。


この作品は、入団資格が55歳以上という「さいたまゴールド・シアター」と、若者たちの「さいたまネクスト・シアター」のコラボレーションでできている。高齢者を前面に立て、若者たちは脇役に徹しているのだけれど、カーテンコールで両劇団の役者たちが混じり合って手をつなぎ、観客の拍手に応える様子は愛と希望にあふれ、とてもいい雰囲気だった。


さて、今年も残すところあと10日。明日から年末の家事にいそしむことにしよう。


今日も本文とは関係ないけど

懐かしの映画パンフレットその3 ご存じ『鉄道員』
世界中でどれだけの涙が流されたでしょう・・・