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よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

足を切断かもって、簡単に言わないで

昨日母がお世話になっている施設から電話を貰った。「先日お知らせした左足指の傷が悪化して壊死してしまったため、放っておくと広がる危険もあり、足を切断することになるかも知れません」と言う。その施設を運営している母体の病院で受診しているので、必要なら直接医師から話を聞いてくださいと言われるので、昨日の午後病院に行き先生から話を伺った。

足を切断というのは壊死が進むのを防ぐためでなく、傷口から細菌に感染して敗血症などになった場合に、そうした処置が必要になるということだった。今の年齢では手術自体が相当負担になるだろうし、極力注意して対応し、そのような事態にならないようにしたいとのことだった。左足指に傷ができたとの連絡をいただいてから「壊死」と知らされるまでほんの数日だったので、なぜそんなに急に悪化したのかと伺うと、脳梗塞心筋梗塞のように、足指の部分で血管が詰まり急速に壊死に至ったのでしょうという説明だった。

いますぐ切断の必要があるということではないと分かって少々ほっとはしたものの、それでもやはり壊死は徐々に進むだろうし、細菌感染の危険性が高いことに変わりはないので、昨日の夜はなかなか寝付けなかった。今の施設に移ってから足のむくみが出ないので少し油断があった。行ったときには我流のマッサージをするようにしていたけれど、母が痛がることもありだんだん軽くさする程度になっていた。

ごめんね、お母さん。せっかく97歳までどこも切ったり縫ったりすることなくきたのに、ここまできて足を切断なんて、嫌だよね。私が気を抜いたために、せっかく2年前足つぼマッサージで右足指を治したのにまた悪くしてしまって・・・と考えて、そうだ、足つぼマッサージだと思った。前回お世話になったマッサージ師の方にまた出張施術をお願いしてみよう。褥瘡だった前回と違い、今度はもう壊死してしまっているから回復は無理かもしれない。でもせめて進行を防ぐ、あるいは遅らせることならできるかも知れない。

それで今日早速その方に連絡を取った。ところが何回電話しても留守番電話だ。携帯にもお出にならない。留守電に電話をほしい旨入れておいたが連絡がない。何か事情があって現在は仕事をなさっていなかったらどうしようと心配になった。けれども幸い午後になって連絡を下さり、今日時間を作って施設まで出向き母を診て下さった。

前回の時は使用するクリームがハーブエキスのものだったが、今はさらにいいクリームがあると言われる。値段は以前の3倍以上だけれど、なにしろ前回その方の施術を受けて目覚ましいほどの改善があったので、疑り深い私も素直に応じる。今日も母の夕食の時間までたっぷり1時間、そのクリームを塗ってマッサージ、と言っても前回と同じくかなり状態が悪いためさほど力を入れてもんだりすることはできず、手のひらで包んで温めたり、優しくさすったりから始められた。

けれども、そうしてその方が触っているうち、あら不思議、魔法にかけられたごとく母の死んだような足に生気がよみがえり、石膏製のようだった足に柔らかさが出てくる。だんだん全身の血行も良くなったようで、母のほっぺは乙女のようにきれいなピンク色になった。

私がちょっと足裏を押すと「イタイ」と怒るのに、半ば過ぎからはかなり足裏のツボを押したり指の付け根あたりをもんだりするのに全く痛いという言葉を発さず、むしろ終始心地よさそうな穏やかな顔つきだったのも不思議と言うしかない。

やはりプロフェッショナルだ。ゴッドハンド。その方は大丈夫、この壊死した足ももっといい状態に戻りますとおっしゃる。実際隣の小指など、始めた時とはまるで違って健康そうな指になっていた。今まで下肢全体が作り物のように動かなかったのに、今日は途中から母自身がモゾモゾと動かすしぐさがしきりに見られた。この調子なら現状維持どころかかなり回復も期待できるかもしれない。

昨日の重い心はどこへやら、今夜は安心して眠れそうだ。それにしても、人間の内に秘められた回復力に改めて感嘆。めぐりが悪くなって支障が出ても、そのめぐりを改善してやれば驚くほど素早く、健康な状態に戻ろうとする。97歳の肉体にして!