よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

『ボーダーライン』終わっちゃった

夏も秋も次回が楽しみ、と思えるドラマが少ない中で、『ボーダーライン』は久しぶりに惹きつけられて見た。でも連続5回の作品なのであっという間に終わってしまった。NHKはつまらないドラマをダラダラと長く続けるかと思うと、もう少しじっくり見たいと思うものをあっけなく終わらせたりする。もちろん、長ければいいというものでもないのは朝ドラで何度も実証済みだけれど・・・。

大変な仕事なのに、今まであまりドラマなどに取り上げられることのなかった、消防署という職場がとても新鮮で良かった。警察と病院はどのシーズンでも複数のドラマが扱っていて、少々食傷気味でさえあるが、反対にめったに取り上げられない職種もある。物語が作りにくいとか、撮影に困難が伴うとか、さまざま理由があるのかも知れないが、もう少し色々な仕事にスポットが当たると面白いのではないかと思う。

昨年有川浩さん原作の自衛隊を舞台にした『空飛ぶ広報室』がドラマ化されたけれど、出演者皆の好演もあって楽しい良い作品になっていた。『フリーター、家を買う』(あら、これも有川さん原作だ)では、主人公が土木作業員のアルバイトをしていた。大手建設会社ではないところが新鮮だった。ストーリーももちろん良かったが、道路を作る仕事の魅力などもドラマの中できちんと伝えていて、こういう仕事をしている人への敬意も感じられて良かった。

警察内の部署ごとの対立や病院の派閥争い、高級官僚の汚職、天下りといった社会問題を絡めるのもいいけれど、あまり続くとうんざりしてしまう。世間が刑事とか医者とか聞くと反射的に偉い人!と思ってしまった時代なら、そうした展開も一応の意味があったかも知れないけれど、今やほとんどそれが「当たり前」くらいの感覚になってしまっている。


人は、「どうせ信じてもらえない」と思うと、投げやりな気持ちになってしまうのではないだろうか。反対に、信頼されればその信頼に応えたいと思うのが、普通の人間の感覚だろう。こんなに、頑張る仲間の足を引っ張る刑事や、金銭欲や名誉欲の突っ張った医者ばかり描いていたら、その仕事に携わっている方はウンザリした気持ちにならないだろうか。一所懸命にやったってどうせそういう風に見るんでしょ、どうせそう思われのなら・・・という気になってしまう人が出ないかと心配してしまうのは私の取り越し苦労だろうか。


なんにしても、悪を暴く物語もいいけれど、地味な仕事にまじめに取り組む人を扱ったドラマも見たいと思う。それに触発されてそういう仕事を目指す子供達が出てきたら、なおいいなと思う。何年か前にNHK広島が制作した『帽子』というドラマがあった。何十年も帽子作り一筋に生きた老人が主人公の静かな話だったけれど、とても良い作品だった。現代では帽子屋という仕事はもう存在しないかもしれないけれど、その道一筋の職人仕事の尊さは伝わるかも知れない。

・・・などと考えても、インターネットなどに押されて苦しいテレビ界は、良い原作を探したり優秀な脚本家を育てている余裕などないだろう。手っ取り早く、話題の作品を書いた脚本家、名前だけで数字の稼げる俳優やタレント、果ては芸人まで引っ張り出して使いまわし、かくてテレビには似たようなドラマ、毎度同じような出演者が氾濫することになる。ああ・・・。