よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

庭木伐採と母さん鳩

朝ゴミ出しをしたときに、我が家の上の住人Sさんとお会いした。「木がまた大きくなっちゃったから切ってもらえない?」と言われてしまった。

我が家の庭木、と言っても鳥が運んだのであろう種から勝手に芽吹いた雑木なのだけれど、緑があるのはいいことじゃない?と呑気に構えて育つに任せたものだ。これまでにも何度も刈り込んでいる。一度などは、年に一度の「ゴミゼロ清掃の日」に自治会の役員の人がSさんに頼まれて、幹の真ん中から思い切りバッサリ切ってしまったこともある。窓から茂った緑の葉が見えるのが気持ち良かったのだけれど、ご近所に迷惑をかけているのであれば仕方ない、と諦めた。

ところが雑木の逞しさ。切られた幹からまた枝を伸ばし、じきにそれまで以上に大きくなってしまった。「ベランダの手すりに布団を干した時に、虫が移って来たりして困る」とSさんが気になさるので、枝が2階に届く前になるべく切るように気を付けてはいたのだけれど、ちょっとうっかりしているとどんどん育って、このところ少々私の手に余るほどになっていた。ベランダにスツールを持ち出して、Sさんのフェンスに近い部分だけは切っていたのだけれど、ついに警告が出てしまった。

今年Sさんは自治会長を引き受けるくじを引いてしまい、ご年配でもあり、事務的なことは苦手と仰るので、書類を作ることなどは私がお手伝いしている。でも、それはそれ、これはこれ。甘えていてはいけない。自分を叱咤して、脚立に上って伐採する決心をした。


長袖長ズボンを着て帽子をかぶり作業手袋をして完全防備。ゆえに蚊どもは唯一さらしている顔を集中攻撃だ。顔は虫よけスプレーをかける訳にもいかない。我慢、我慢。脚立を長く伸ばして狭い庭、というか共用スペースの勝手にガーデニングでいろいろ茂って足場の悪いところになんとか掛ける。そうしてバランスを崩さないように気を付けながら切って行く。切り落とした枝が落ちるところにプルーンバーゴがあり、涼しげな青い花が気に入っているので、これをなるべく傷つけないよう、小さめの枝から順に切って行く。バッサリやれば一度で済むのだけれど、小刻みに何度も繰り返す。

そうして何度も何度も切っていると、すぐそばで「クックー」と遠慮がちに声がした。私のすぐ目の前に鳩がいた。しっかり目が合ってしまった。彼女(たぶん)は巣に座り込んでいる。どうやら卵を抱いているようだ。周囲の枝がだんだん取り払われ、身の危険を感じて、「ちょっとー、やめてもらえません?」と抗議の声を上げたのだろう。

あともう少し、2か所くらい切れば仕上がり!というところだったのだけれど、それをすれば鳩の巣を脅かすことになる。小動物好きの私だけれど、鳥はあまり好まない。まして鳩は平和の象徴ではあるけれど、病気も媒介するし、フンは町の美観を損なう。我が団地内を我が物顔で闊歩し、人がそばを歩いても平然としていて逃げもしない小憎らしさで、ガーデニング部分の花や木も汚す。あまり好きではない相手だ。でも、子育て中とあってはちょっと話は別。また困りものの鳩が増えることにはなるのだけれど・・・。

一旦はそこで終わりにしようと思ったけれど、やはりあとちょっとだし、今のままではあまりに中途半端なので、彼女を怖がらせないように注意しながら、なんとか形が整うよう最小限の枝だけ刈り込んで終了させた。

途中2、3度バランスを崩しそうになってヒヤッとしたけれど、なんとか無事に作業終了。顔は何か所刺されたか分からないけれど、ここらにはデングウィルス所持の蚊がいる訳ではないし、かゆくても我慢していればやがて治まる。あとは伐採した木を市の規定の長さにそろえて、ゴミ集積所に運ぶ。

長男が中学生の時に、技術家庭科用に学校で購入した大工道具セットの鋸が、私のガーデニングに大活躍だ。十数年前正月用に買ったミニ盆栽、松と福寿草がすぐに枯れ、残った南天を玄関側の芝生部分に植えた。それがまあ、これがあの10センチほどの可愛らしい盆栽だったのかと疑うほどグングン大きくなり、数年ごとに鋸でギコギコ切らねばならないし、今回切った雑木もこれまで何度切ったかしれないし、アイビーも育ちに育つと茎は木になってしまう。たぶん息子の鋸は彼が学校で使用した時間の何十倍も私が使っている。何の手入れもしないのに、目こぼれもせずよくまだ働いてくれているものと感心する。


ブログ用に、卵を抱く鳩のお母さんの写真を撮ろうとベランダに出てカメラを向け、葉の間の彼女の顔がうまく取れるアングルを探していたら、飛び立ってしまった。無理もない。今日は朝から巣の周辺は大騒ぎで彼女はドキドキハラハラの連続だっただろうから、とうとう恐怖もピークに達して、卵をほっぽり出して逃げ出さざるを得なかったのだろう。ごめんね。

卵の写真だけ取って早々に室内に退散。しばらくすると母鳩は戻ってまた卵を抱いていた。今度は彼女を刺激しないよう室内から撮影した。

それにしても大きく葉が茂って巣はすっぽりとその中に隠れていたのが、いまやほとんど隠してくれる枝が無くなってしまった。母鳩と卵は天敵の目にすっかりさらされる格好だけれど、大丈夫だろうか。知らなかったこととは言え、なんだか罪なことをしてしまって気になってならない。



卵たち


母さん鳩、ニラミきかせてます。