よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

賛否あなたはどちら『BORDER』の結末

・・・と言っても、最終回の視聴率14.4%なのだから見ていない方もたくさんいらっしゃることだろうが。

小栗旬演じる主人公石川刑事が、死者が見えるという特殊能力を持ってしまったがための消耗が激しくて、最終回の昨日などもう今にも死んでしまうのではないか、精神が壊れてしまうのではないかとハラハラしてしまった。それくらい真に迫る名演。(小栗旬ブラボー!!!)

最強の犯人と対峙して、ブロック塀に頭をガンガン打ち付けるシーンでは、「そんなことしたら脳の中の弾丸が動いて死んじゃうよ!」とドキドキ。息をつくことすら自分に禁じたいくらいの緊迫の1時間だった。

そして、そして、衝撃の、問題の、ありえないような、ラストシーンである。

あまりに唐突にポーンと放り出されたような結末でしばし呆然。

えっ、えっ、どういうこと?どう解釈すれば?

石川は正義と悪のBORDERを超えちゃったの?

でも同じ話の中で死んだ男の子に「指切りはできないけど」って言ってたよね。そして今までも死者と話はしても触れ合うシーンはなかった。

でも、石川の肩に死んだはずの犯人の手がガッシリとかかっていた(このシーンは長く語り継がれるのでは?と思えるほど秀逸)。ということは、犯人は死んでいないのか?

石川がビルの屋上から覗いて見た、地上に血を流し横たわる犯人の死体は石川の病んだ脳が生み出した幻影?

それとも、超えたのは正義と悪の境界でなく生と死のBORDERか?(犯人を突き落した後、石川も脳内の弾丸が動き、死ぬ。ラストの二人はどちらも死者、よって肩に手もかかる?)

見る側にさまざまな解釈を預け、いさぎよいほどのあっけない終わり方だった。

案の定、昨夜からネット上には賛否さまざまな感想や意見が飛び交っている。それでも極端に低い評価は少数のようで、このドラマに魅せられて見続けてきたファンの力を感じる。近頃どうも過剰なセリフや親切過ぎるナレーションで、分かり易すぎるドラマが多いので、こんなにそぎ落とし過ぎの終焉では非難ごうごうかと案じたが、杞憂だったようだ。

大森南朋演じる最強の犯人の犯行理由は、宮部みゆきさんの『模倣犯』の犯人と似た理屈だった。「何事もなければ光が当たることもなかった」「私が手にかけたことで世の注目を浴びる存在になれた」という屁理屈。実際にも時々取り上げられる「劇場型の犯罪」だ。そうした犯罪や犯人を生み出してしまう我々の生きる社会を、私たちは見つめる必要があると思う。



第七話の『敗北』といい、最終回といい、刑事物のドラマでは禁じ手ともいえるストーリーだけれど、現実には迷宮入りになる、つまり犯人を逮捕できない事件があるのであり、地位や権力のある者が犯罪を隠蔽していることもある。たまに「ドジを踏んだヤツがいた」場合だけが表面化してニュースになる訳だから、水面下にはどれほどあることか・・・。

そうした現実の中で、コインの両面の善と悪。絶対的な悪と、善はどう戦っていくのか。


BORDERの世界をもっと楽しみたかったけれど、安易にシリーズ化はしないほうがいいかもしれない。ストンと終って「続きは劇場で!」というあざとい商法は嫌いな私だけれど、『BORDER』についてはスペシャルか劇場版で、海外に逃げた高級官僚の息子の後日譚と、最終回のおまけを作ってくれたら見たいなと思う。


とにかく、深く考えさせられるドラマだった。