よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

残念だった最終回『サイレント・プア』

なんだか安っぽい恋愛ドラマで終わってしまった。

始めから展開の甘さが気になることは多々あったけれど、珍しい職業分野に光を当ててくれたし、私の関心のあるテーマだったので、期待をもって見続けていた。

豪雨で住民を避難させるという設定で、今まで登場した人たちをうまく再登場させて後日譚を想像させながらのストーリーは、最終回としていい展開だった。

弟を死なせてしまったというヒロインのトラウマが、弟が生前に祖父に出していた手紙によって癒されるということだったようだが、なぜあのタイミングで弟の手紙の存在を明かしたのか、そこのところの説得力がないのでご都合主義に感じてしまう。おじいちゃんはもっと早く見せて、早くヒロインを救ってやればよかったのに。

出水の危険があるという時に、おじいちゃんもお母さんもクリーニングの片付け作業がノロノロで、せっかちな私は気になってしまって話に気持ちが入らなかった。緊迫感をまるで感じさせない演出には物足りなさを感じた。総じて演出はおとぎ話っぽくて、それがサイレントプアという切実なテーマを扱っていながら、良くも悪くも、なんとなくのほほんとしたおっとりムードを作っていたように思う。

心の傷を抱えた無口なヒロインを深田恭子さんが演じたのだけれど、演出が甘いせいかあまり仕事のできるCSWには見えず、切迫した場面も妙にのんびりした頼りない人に見えてしまった。要求すればもっと違うヒロイン像を演じられる女優さんだと思う。

また、いくら大切なホームレス仲間の遺品だとしても、コーヒーカップひとつに命をかけるというのもあまりに大げさでしらけてしまった。いい人ごっこもいい加減にして、ホームレスのおじいさんを説得しなさいよ!と思う。あんなにしてまで、ヒロインと福祉課長(だったかな)の恋愛話を盛り上げる必要など全然ない。あまあま、ベタベタで、私にとってはとても後味の悪い作品になってしまった。

結局あのドラマは社会福祉協議会とか、CSWとかの仕事を描きたかったのではなく、福祉を舞台に、献身的に弱者のために働く美しい女性のスーパーウーマンぶりや、可哀想なトラウマ話や恋の話を描きたかっただけなのか・・・。

せっかく世相にも合った良いテーマだったのだから、社協のメンバーのチームとしての仕事ぶりや、現代社会の抱える貧困や人間関係などの問題に焦点を絞っていたら、見ごたえのある作品になったと思う。毎回の問題の解決も必要以上にヒロインの手柄にし過ぎ、誰もがヒロインばかりを頼り過ぎていた。福祉のプロとしては、そういう仕事の仕方は失敗と言える。

一般受けするためには多少妥協せざるを得ないのだろうけれども、NHKなのだから、視聴率やスポンサーの思惑といったことに縛られなくていいのだから、きちんと真摯にテーマと向き合ってほしかった。