よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

堺雅人三昧『日輪の遺産』、ネタバレあります

このところ続いているGyaO無料映画による堺雅人三昧。本日は『日輪の遺産』を見ました。浅田次郎さんの原作なのですね。未読です。

3人の中心的登場人物を演じる中村獅童さんと福士誠治さんがとてもいい演技をしていて、名優堺雅人さんがちょっと霞んでいる感じです。堺さんが悪いのではなく、堺さん演じる真柴少佐の人物像の描き方が浅いためだと思います。見始めてから、堺さんが主役だと思っていたけどこの作品の主役は獅童さん演じる望月なの?と思ったほどです。でもエンドロールでもやはり最初の名前は堺さんでした。なら、やっぱり描き方薄すぎでしょ。

原作ではもっと納得のいく描き方になっているようですが、少女たちが任務を終えた後なぜ自決という選択肢を選ぶのかという点が説明不足だと感じました。任務遂行の過酷さに比べ、М資金の隠し方も仕上げが雑でおかしいし、マッカーサーほどの人物があんなことで大金をなかったことにして諦めてしまうのもおかしいでしょう。最後の最後で、亡くなった人たちの姿をおばあちゃんの級長が見るのはいいけれど、家族まで見てしまうのはがっかりです。

テーマは悪くないし役者さんたちも好演なのに、脚本や演出で少し残念な作品になってしまいました。感動的で涙もいっぱい出ますが、泣く作品イコール良い映画ではありません。現代部分は級長だった少女の家族側と、アメリカの日系人通訳側との二本立てにせず、アメリカ部分は削ったほうがすっきりしたのではないでしょうか。

こうしたいくつかの惜しい部分はありますが、それでもとても見る価値のある作品だと思います。ほんの70年ほど前にこのような青春を過ごし、そしてそこで人生が断ち切られてしまった人もたくさんいたことを、現代を生きる私たちは少しでも多く知る努力をしなければならないと思います。「日輪の遺産」は他国から奪って秘匿した財宝ではなく、苦しい時代にも凛として生きた先人たちの思いなのでしょう。「忘れないこと」とその先人たちの死を無駄にしないようにすることが、亡くなった方たちへの一番の供養だと思います。