よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

とてもいいです『刑事のまなざし』

秋ドラマ、あまり力を入れて見ているものはありませんが、『刑事のまなざし』は地味な作品ながらなかなか良いドラマだと思います。

万華鏡を用いたオープニングの映像と音楽は、同局の名作『JIN』を思い出させます。法務技官から警察官に転身した主人公を椎名桔平が好演しています。彼の上司を演じる要潤さんも『空とぶ広報室』のはっちゃけた役とはまるで別人で、スマートで温情のある上司役をとても抑えた表現で魅力的に演じています。松重さんも渋いし、本庁捜査一課のエース役の北村有起哉さんも素敵です。刑事ドラマによくある、上層部がやたらと主人公や彼を含む現場といがみ合っている設定がないのも好感が持てます。

ストーリーも毎回人の心の奥底のひだまでを描いていて胸を打つものがあります。主人公がそこまで暴かなければ、善意ゆえの罪で片付いてめでたし・・・じゃないと思うのですが、そのまた裏にある事情まで踏み込んでいきます。でも辛くても非情でも、真実に目を向け真正面から取り組まない限り、罪を犯した人間に真の救いはないと彼は信じています。

昨日の第8話では心を病んだ女子高校生の担当カウンセラー(主人公を尊敬する大学の後輩)に、「子どもたちの抱える心の闇が分からなければ、自分の足で見つけるしかない」と助言した言葉が光っていました。自分自身も、「刑事のまなざし」を持ってみてそれが分かり、少年鑑別所の技官時代にそこまで理解していたらとの悔いがあるようでした。同情したり寄り添いたいと思うのは簡単だけれど、本当に人を理解したり味方になったりするということの大変さを突いています。

脚本がしっかりしている(敬語などに多少問題がないではないが)し、演技陣も演出も良いのでしょう。8時という放送時間帯や話題になる派手な出演者もない点などが影響してか、視聴率は振るわないようですが、キャストの話題や物語の新奇性などに頼らない良心的な作品です。ぜひシリーズ化して主人公の植物状態の娘さんも目覚めさせ、夏目刑事一家に幸せが戻るところまで描いてほしいものです。(今シリーズでそこまでいくかもしれませんが)

薬丸岳さんの原作も読んでみたいと思います。